ジョン・レノンと最初の妻、シンシア。
昨夕、NHKテレビは、ビートルズの特集を放送していた。ビートルズ時代の、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの才能には、いまさらだが、あらためて驚く。とくにジョン・レノンの存在感と、その創造力は、神がかっている。
しかし、きのう放送の映像にもあるが、ビートルズ最晩期の「レット・イット・ビー」のセッションでの、ジョン・レノンは、小野洋子とスタジオでベタベタしていて、完全にオーラを失っている。1971年に、最初にこの映画をみたときは、いったいこの男、どうなってしまったんだ、と思ったものだ。
仕事場であるレコーディング・スタジオに、彼女をつれこんで、いちゃつく。他のメンバーが、露骨に嫌な顔をしているのに、いっこうに気にしない。あの映画の公開で、ジョン・レノンは、世界の音楽ファンを唖然とさせ、失望させたのはたしかだ。
いま、映画「レット・イット・ビー」は、ビデオにも、DVDにもなってない。まるで封印されたようだ。
ジョン・レノンは、この日本人の女にひっかかって、美術学校の学生のときから、デビューまえの貧乏バンドマンの時代、ずっと物心ともに助けてもらってきた糟糠の妻を捨てた。
役者やミュージシャンや作家が、デビューして売れ出して金ができると、貧乏時代をささえてくれた女を捨てるのは、めずらしいことじゃない。とくに、売れてるミュージシャンは、やたらモテる。たいがいは、糟糠の妻を捨てて、若いモデルとか、若い女優とか、つまり若い美女と再婚する。
しかし、ジョン・レノンが、世界を驚かせたのは、学生時代からいっしょにいた妻を捨てて、若い美女とはかけはなれた女と再婚したことだった。(1969年、ジョンと洋子は結婚した。ジョン・レノン29才、小野洋子36才だった)
ジョン・レノンと小野洋子は、「ベッド・イン」というアホなイベントをやったり、「ツゥー・ヴァージンズ」という、ふたりの醜悪なヌード写真をジャケットにした、クズ音楽のLPレコードを発売して、前衛芸術家を気取った。
ミュージシャンとしても、アーティストとしても、まったく創造力の輝きのかけらもない、幼稚で、醜悪なだけの行動と作品だった。ジョン・レノンほどの天才アーティストも、パートナーを誤ると、思いあがった、ただの奇人になるわけだ。
そのあとも、ジョン・レノンと小野洋子は、「ラブ&ピース」をキャッチフレーズにして商売をしていく。この偽善商売は、いまもつづいている。
ビートルズ解散後、ジョン・レノンは、ひじょうに政治的な言動をするようになる。反戦運動から逸脱して、アナキストとして、反国家、反キリスト教の発言をくりかしていく。反権力、労働者階級の英雄を気取るが、突然、すべてのシーンから消える。こんどは、子育てだという。
ここでやっと、政治的な発言も、前衛芸術も、「ラブ&ピース」も、億万長者のミュージシャンの、気まぐれな遊びだった、と、みんなは気づくわけだ。まだ、気づいてない人たちも多いが……