なでしこリーグ第3節、INAC神戸レオネッサ対ASエルフェン狭山FCも、おもしろかった。狭山は、昨年第8位、今季2試合は完敗、無得点だ。リーグ下位チームと、前期無敗で優勝したチームの試合だ。ワールドカップ優勝の主要メンバーがいる神戸。いっぽう、狭山は、働きながらサッカーをやっている人たちのチーム、まさにフット・ボール・クラブだ。
だが、きょうは王者・神戸を相手に、3-2の大健闘だった。エルフェン狭山のデフェンスもフォワードもすばらしかった。とくに、神戸の怒涛の攻撃を3点におさえたゴールキーパー有馬静佳(しずか)は、みごとだ。3失点は、どれもキーパーのミスとはいえないゴールだった。どんな有能なキーパーでも反応できないシュート・コースとタイミングというものがある。
いっぽう、INAC神戸のキーパーは、緊張感を持続するのがむずかしいのではないだろうか。王者・神戸が、ひたすら攻める一方的な試合だ。きょうの場合も、神戸のシュートは、26。相手の狭山のシュートは、6 だ。神戸のコーナーキックは、12。狭山は、2。
これでは、神戸のキーパーは、ゲーム感覚が鈍化して突っ立てるだろう。きょうの狭山の2ゴールは、神戸のキーパーがおさえることができた失点だった。
なでしこジャパン・日本代表のGKには、こういう下位チームで、怒涛の攻撃をうけてゴールを守っている、有馬静佳のような選手も招集してはどうだろう? スピードも勇気もある。飛び出しのセンスは抜群だった。高く跳ぶし、デフェンス陣への指示も的確だ。うまい。
いまはプロとして生活を保証されている王者・INAC神戸と、全員が働きながら、あるいは大学に通いながらのエルフェン狭山とは、まったく違う環境にある。つまり、プロとアマチュアのチームが混在している、というのが、いまの、なでしこリーグのおもしろいところでもあるのだろう。
エルフェン狭山の選手は、昨年まで月会費を払っていた。今年はそれが無くなったのが嬉しいという。ワールドカップ優勝で注目されるまで、遠征費や合宿の費用は、選手の自己負担のチームがほとんどだったのだ。日本代表チームに招集されても、職場や家族に迷惑をかけるからと辞退する女性たちがいた、というのが女子サッカーの現実なのだ。
日章旗をつけたユニフォームも自費、海外遠征も自己負担という、信じられないことを日本の女子サッカー選手は耐えてきた。ほかのオリンピック種目の競技では考えられない劣悪な環境でサッカーをつづけているわけだよ。
そういう仕打ちをしながら、ワールドカップで優勝すると、世間も国も、手のひら返し。菅直人は、首相官邸に呼びつけて、政治ショーに利用しようとした。笑うよな。(そのあと、民主党政府は、女子サッカー振興の予算と、日本代表のために金をつくったのかね?)