Ommo's

古い曲が気になる

やっと”春来る”という感じだよ、母さん

2014-04-30 | 日記・エッセイ・コラム

 桜が咲いて、やっと”春来る”という感じになった。
  

 一昨年、六月。末期がんの母がベッドから起き上がれなくなっても、母の寝ている部屋の窓から庭がみえた。わたしは雑草をむしったり、母が好きな花の苗を買ってきて植えたり、手入れをした。亡くなるすこし前まで、母がじぶんで操作できた電動ベッドで上半身を起こすと、母は自分の庭をよく見ることができた。

 晩夏、母は亡くなった。そしてつぎの春。わたしは、なんだかもう、母の庭の手入れをする、その気力も失せて、ときどき長けた草を抜くだけで荒れるにまかせた。

 ことしも、その荒れ果てた母の小さい庭の、枯れた雑草の中から、まずこの水仙の花芽がのび、花が咲いた。その花を机にかざった。
  

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町支寛二さんと帯広

2014-04-25 | 日記・エッセイ・コラム

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 わたしは、ロックバンド”ペニーレン”を、”キャデラック・スリム”としてメジャーデビューさせた。だが、デビューする前の曲のアレンジは、すべて町支さんだ。

 浜田省吾ライブの忙しい時、『ホテルふくいに泊まって、デビューさせようとするバンドの、曲のアレンジをやってくれませんか?』と、わたしは言った。

 なんと、町支さんは帯広にきてくれ、バンドの曲のアレンジをしてくれた。まったく寝ずに、譜面を書いて、ライブでやる全部の曲の総譜を書いてくれた。

 

 

 

 


カンフル罪・帯広ライブ、前売券発売は、26日から

2014-04-24 | 日記・エッセイ・コラム

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 6月に開催する『カンフル罪』帯広ライブの前売券は、4月26日(土)午後8時から、ブルースハープで発売する。

 

 6月14日(土)開場 15:30 / 開演 16:00

    6月15日(日)開場 17:30 / 開演 18:00

    会場/ ブルースハープ    帯広市西1条南10丁目4 アポロビルB1F

    前売/ ¥5000    当日/ ¥5500  (いずれもドリンク別料金)

 ※一部立ち見席になります。前売りで予定枚数が完売した場合、当日券の発売はありません。

  カンフル罪 オフィシャルサイト http://www.r-s.co.jp/kanji/kanfuru/live.html


悩ましい、お稲荷さん

2014-04-23 | 日記・エッセイ・コラム

 

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   父親の”バカ殿御膳”に、細巻きの寿司とお稲荷さんを追加すると、まず、それからバクバク食べる。それで、毎日つくることになった。毎日のことなら、飽きるだろうと思うのだが、まずその二品から食べはじめる。『毎日だしても、これが好きなのか?』と、そんなことで、翌日もまた作ることになる。

 

 毎日つくるとなると、味付のお稲荷さん用油揚げを買って酢飯をつめるより、素の油揚げを買って、醤油とみりんと砂糖と酒で煮たほうが、コスト的には安いか? と、悩んだ。だが、しかし、どう考えても、素材のコストもそれほど違いはない。ガス代もかかる。そして、何より時間のロスが大だ(わたしも、ジジイだ。残された人生の時間は、中学生より、そんなに多くない)。

 

 それで、やはりスーパーで売ってる、味付油揚げにすることにした。

 

 お稲荷さんの素材を、油揚げから煮てつくるべきか、既製品で済ませるべきか? じつに悩ましい。と、この話を娘にすると、大笑いされた。

「おかしな親子だね、まったく。おじいちゃんのコロコロも普通じゃないけど、お父さんも、何をそんなに毎日毎日、ムキになって料理してるの。毎日、旅館か割烹のお膳みたいでなくても、弁当屋やコンビニで買って、はい、とテーブルに置ておけばいいでしょうに‥‥‥まったく、おもしろい親子だね‥‥‥」

【業務用チルド】味付けいなりあげ40枚


ファド

2014-04-23 | 日記・エッセイ・コラム

 

  毎夜、夜明けまで、けっこう長い文章をこのブログに書く。だが、それを読み返すと、わが文章、クソ面白くない。で、削除する。という、そんな日々だ。

 

 

 

 この数年、ファドをもっと知りたいと、ポルトガル語が気になっていた。

 ポルトガルの音楽じゃなく、ブラジルの、ボサノバを聴いてるとき、その歌詞をあんまり気にしていなかった。サウンドだけ。愚かだった。

 

 アントニオ・カルロス・ジョビンの WAVEがでたとき、わたしは、北海道・帯広の、レコード屋のあんちゃんになったばかりだった。

 

 

コリゼウ~ライヴ・イン・ポルトガル

 

 http://www.youtube.com/watch?v=lh9YHtZzHfk


『カーニバルの朝』再考

2014-04-20 | 日記・エッセイ・コラム

 

   ジョージ・ベンソン、アル・クルー&チェット・アトキンス  カーニバルの朝 http://www.youtube.com/watch?v=ALyI-i9WZHI

 すごいギター巨匠たちの、すごい演奏、ギターバトルだ。だが、なぜか、いまこの映像をみて、演奏を聴いて、おもしろいが‥‥‥素直な感想は、熱い、というより、暑苦しいわな。と、思う。もちろん、わたしはもうジジイで、ぶ厚いステーキをバクバク食べる、という元気いっぱいではない‥‥‥。

 

 

 この曲『カーニバルの朝』は、詩の内容も、曲想も、熱く表現する曲じゃないだろな、と思う(いま、わたし、ジジイになって)。

 一年かけて準備した激烈な祭りが、やがてはじまる。その朝、その夜明けだ。それを表現してみごとだ。クール、とは、これだろな。じつにシンプルで、美しいメロディーだ。

 

  何日かまえにも書いた。クドくなる。が、わたしは、この名曲『カーニバルの朝』のカバーでは、エゼッチ・カルードーソが、大好きだ。

  エゼッチ・カルードーソ  カーニバルの朝 http://www.youtube.com/watch?v=nVkDfnGobmI

 

 

 

 


エノケンの『らくだの馬さん』をみたい

2014-04-19 | 日記・エッセイ・コラム

 

  落語『らくだ』のことを書いた。

 小学生のとき、エノケンこと榎本健一が主演する『らくだの馬さん』という東映映画をみた。原作の落語を知るまえに、映画をみたわけだ。小学生には強烈な映画だった。子供には、可笑しい、おもしろいを超越して、「なに? この話?」、デタラメで怪奇で、シュールな怖さがあって‥‥‥‥わたしは、大好きだった‥‥‥‥小学生だが‥‥。

(落語『らくだ』を知らない人は、YouTubeに、落語をきわめた師匠たちの映像がいろいろある。みてほしい。立川談志師匠の映像もある、ようだが、わたしは、まだみてない。なんだか、酒の肴を吟味してから、構えてみなきゃ、と思うのだ‥‥‥YouTubeを‥‥談志師匠の『らくだ』を‥‥‥)

 

 わたしは、小学生の低学年だった数年、父子家庭のボウズだった。父は、義理の兄と起業したばかりの会計事務所が忙しく、朝、一日の食事代を置いて、さっさと出勤していった。朝飯は、小学生の兄とわたし、じぶんたち二人で作って食べて、帯広北栄小学校に登校した。

 

 父と母が離婚して、父子家庭になった当初は、お手伝いさんというか家政婦さんがきてくれた。だが、父の病的でヒステリックな猜疑心を恐れ、つぎつぎと辞め、ついにはだれもきてくれなくなった。

 

 で、朝、父は、その日の食費を置いて出勤し、わしら小学生・兄弟で、町内の野々村商店で食材を買って、じぶんらの食事をつくる、という生活になった。「おまえたちで作らなくても、川北屋のラーメンか、更科のそばを、出前で取ってもいいんだゾ」という含みで、それなりの金額が、毎朝、テーブルに置いてある。

 わたしと兄は、出前なんかとらない。ふたりで、野々村商店にでかけて、食材を買って、じぶんたちの夕飯・朝飯をつくる。そうして、残したお金で、ふたりで帯広の映画街にでかけるのだ‥‥毎日のように。(帯広の映画街まで、子供の足でも、15分くらいのところに住んでいた)。

 

 若い人は信じられないだろう。このブログを読んでくれている、わたしと同世代の人は、わかると思う。帯広のような人口の少ない街でも、いちおう、十勝平野の中心都市だ。街のなかには、たくさんの映画館があったのだ。(山口でも、福岡でも、地方の小さい町にも映画街があって、繁華街の中心だったのじゃないでしょうか?)

 

 わたしの親の世代、戦争を生きぬいた若者たちの、最大の娯楽が、映画だったのだろう。(世界中で、そうだ。制作側の度胸もちがう。だから、1940年代後半、50年代、60年代初頭の映画の凄さは、どんなテクニックも勝てない)。

 

 

 そんなわけで、兄とわたしは、小学生のとき、映画館が、突然、母がいなくなった寂しさを癒してくれる場だった。

 

 エノケンの『らくだの馬さん』を、ずっと観たいと思っているのだが‥‥‥‥

 


橋本くんが『虚業成れり』を送ってくれた

2014-04-18 | 日記・エッセイ・コラム

 

  わが帯広三条高校の同級生、橋本くんが、本を送ってくれた。『虚業成れり「呼び屋」神彰の生涯』(大島幹雄著 岩波書店 2004年)。

 父親の介護に疲れはて、長い冬に倦んでいる、わたしを元気づけようと、優しい配慮なのだ。

虚業成れり―「呼び屋」神彰の生涯

 

   友人たちが、いろいろ気づかってくれる。ありがたいことだ。

 

 

 深夜にBSで、桂枝雀のドキュメンタリーを再放送していた。『貧乏神』で大笑いした。晩年、桂枝雀師匠は、『らくだ』をやろうとしていた、という。

 

 『らくだ』は、上方落語の名作だが、明治の後半、東京の落語家の演目にもなったという。もちろん上方の落語家も好きだが、わたしは、古今亭志ん生の『らくだ』も好きだな。高校生のとき、レコードをもっていた。そして、文庫本になった志ん生速記録というような本も買った。志ん生の落語のような文章を書きたくて、志ん生の語りをノートにコピーしたものだ。

  古今亭志ん生  らくだ http://www.youtube.com/watch?v=qD9s8tMdT1o

志ん生全席落語事典―CD&DVD691

 『らくだ』は、古典の名作だが、桂三枝の『ゴルフ夜明け前』は、なんど聴いてもおかしい。新作落語の傑作のひとつだろうな。三枝師匠の話芸のすごさにも感動する。

  桂 三枝  ゴルフ夜明け前http://www.youtube.com/watch?v=_hqNZQ_00TI


なぜか、『カーニバルの朝』

2014-04-18 | 日記・エッセイ・コラム

 

 真夜中に月をみながら歩いていると、なぜか、『カーニバルの朝(Manha de Carnaval)』のメロディーが浮かんできた。きっと、きのう、アントニオ・カルロス・ジョビンの Wave のことを考え、いろいろトム・ジョビンの曲を聴いたせいだろう。

 

 この美しいボサノバの名曲、『カーニバルの朝(Manha de Carnaval)』は、アントニオ・カルロス・ジョビンではなく、ルイス・ボンファの曲だ。ジョビンとボンファは、朋友。この曲は、映画『黒いオルフェ』のサントラのために作曲され、音楽ディレクターが、アントニオ・カルロス・ジョビンなのだ。

  エリゼッチ・カルドーゾ カーニバルの朝(Manha de Carnaval)http://www.youtube.com/watch?v=nVkDfnGobmI

Solo in Rio 1959

   ルイス・ボンファは、ブラジルの作曲家で、ギターの名手でもある。この曲の美しさ、すごさは、妙に力をぬいた粋さにあるのかな。いかにも、あの時代のブラジルの、きわめて、理知的な新しい音楽、”ボサ・ノバ”らしい名曲だ。

  ルイス・ボンファ&カテリーナ・ヴァレンテ カーニバルの朝 http://www.youtube.com/watch?v=zBBzQKxUE1M

 

 

  わたしが、レコード屋のあんちゃんになったばかりのとき、なぜか、このボサノバの曲を、超絶技巧のギタリストたちが、好んで演奏していて、大好きだった。

 

  バーデン・パウエル  カーニバルの朝 http://www.youtube.com/watch?v=GGoca5m-loY

 

  ラリー・コリエル、ジョン・マクハリン、パコ・デ・ルシア ”カーニバルの朝” http://www.youtube.com/watch?v=QsFOyuFtb9U

 

 

 

 


マルタイ棒ラーメン

2014-04-17 | 日記・エッセイ・コラム

 

「酒ばかり飲んでいるから、食欲もないんだ」と、森本くんにいうと、「また、マルタイ棒ラーメンでも送りますか?」といってくれる。(今回は自分で発注するから、だいじょうぶ)。

 

    すこしまえに、森本くんが、九州のいろんな食品をおくってくれた。そのなかに『マルタイ棒ラーメン』が入っていた。「じつは、これが好きなんだ」と礼をいうと、驚ていた。どうして、この九州のインスタント・ラーメンを、北海道の人が知っていたのか? と。

 

   わたしが、長く住んでいた千葉県・東京メトロ東西線、浦安駅ちかくのスーパーでは、普通に売っていた。首都圏には、九州出身者も多く住むし、転勤で福岡勤務だった人たちもたくさんいるのだろう。それで九州ご当地・インスタントラーメンが、ふつうに売られていたのかも知れない。札幌・ベル食品の缶入りラーメンスープを探すほうが、やっかいだった。

マルタイ マルタイラーメン 164g

ラーメンスープ華味正油味240g

 

   カブス vs ヤンキースの、田中将大の投球は、みごとだった。野球の天才たち、ベースボールのモンスターみたいなメジャーリーグの選手を相手に、まったく怯まない。開幕3戦目の登板、きょうの投球が最高だった。なんだか、どんどん良くなっていく。


WAVE

2014-04-16 | 日記・エッセイ・コラム

 

 

  昨夜が満月だったが、今夜もじつに美しい月だ。

   わたしの引きこもりは、重症で、きょうは、午後8時まで二階の部屋にいた。階下におりて、父親の顔をみなきゃならん、と思うだけで、気が滅入る。

   ブログに書いた『劇ヤセだ』を気づかって、九州の森本くんが電話をかけてくれた。いわば "慰問デンワ" で、「大丈夫ですか?」「あんまり大丈夫じゃないんだ」と、また長い音楽の話になった。

    森本くんと話しをしていて、やっと、今日を生きる気力がわいてきた。一日じゅう、誰にも会わず、まったく人と話をせずに、無言の老父と暗い生活をしているのだから、こうして、こっちのココロが崩壊していくのだろう。

 

波

Wave

   アントニオ・カルロス・ジョビンの名盤『WAVE』が、初夏のような、いまの九州の気候にふさわしい、と、森本くんがいう。なんとも羨ましいかぎりだ。

      アントニオ・カルロス・ジョビン  Wave http://www.youtube.com/watch?v=a6KDpB6skA4


"俺は、女にモテるんだ” のお父様

2014-04-15 | 日記・エッセイ・コラム

 

  "俺は、女にモテるんだ” のお父様は、なんだか肥ってきたが、わたしは、劇ヤセ。体験したことのない体重だ。体重計にのるのが、おそろしい。

 

 老老介護の現実は、こういうことなんだろうな。超老人は、なんにも考えないから、寿命をさらにのばし、世話する老人は、命をけずる。

 

 ストレスだろう。もう食欲もない。いつまでつづく、この地獄。考えるだけで、気が重いわな。

 わたしは、”女にモテる”ことなど、あり得ないと、そのコンプレックスで、震えながら人生を終わるのだが、 "俺は、女にモテるんだ” と、人まえで豪語するのも、あんまり粋じゃないわな。


土曜日、ブルースハープにいった

2014-04-15 | 日記・エッセイ・コラム

 

 先週土曜日のこと、ずいぶんひさしぶりに帯広の街にでた。

 

 3百メートルほど離れたスーパーから遠くにいくのは、3月9日の”まっちゃん・げんちゃん”ライブをみるため、ブルースハープに出かけて以来のこと。わたしの鬱症、ひきこもりが、いかに重症か、ということでもある。

 30年くらい前、この町に住んでいたときは、毎晩毎晩、街のなかで夜明けまで飲んだくれていたものだが、いまは、まったく飲みに出ない。行きたいところがない。ただ、ゆかさんのお店ブルースハープだけ、愉快に過ごせる。去年の花見で知りあった、素敵な人たちと会えるのも、ブルースハープのたのしみだ。

 土曜日も、常連のおふたりと、たのしい時間を過ごすことができた。不思議なことに、その日の夕暮れ、その二人と話をしたいな、と思っていた。今夜、ブルースハープで会えたらいいな、と思ってもいた。

 その夜、父親の夕飯がずいぶん遅くなった。老父の夕飯は、いつもデタラメな時間だ。なるべく暖かいうちに食べてもらいたいから、食べる態勢を察知して、キッチンに立ってバカ殿御膳の支度をはじめる。きょうは、ブルースハープに行けないな、と諦めかかったのだが、突然、父の病的なコロコロが終了した。

 

 父親は、好きだった散歩ができないので(すこし家から離れただけで、方向を失って帰ってこれない)、代わりにコロコロをはじめた、と母がいっていた。そのコロコロは、常軌を逸している。一階の部屋全部をコロコロする。ときどきソファーで休んで、タバコをふかして、お茶を飲んで、テレビを大音響でみて………。

 長いときで7時間、短い日で、3時間くらいコロコロをしている。居間のジュータンも半分づつはがして、ジュータンの下のフローリングをコロコロする。『敷物の下だぞ、一日でどれほど汚れるんだよ………きのうも、そこ、何度もやってたろ!』と、わたしは見ていてイラつくのだが………やめろ! とは言わない。

 『しかし、あんなダンディーだった男が、こうなるかね』と、わたしは、その父のコロコロ姿をみていて、なんだか悲しくなる。

 

 つい最近まで、「俺は、女にモテるんだ」と、恥ずかしくもなく口にするやつで、たしかに、わたしより10センチ以上背は高く(終戦直後のむかしでは、長身だ)、若いときは、たしかにハンサムだった。わたしの弟が、比較的、父の風貌をついでいるかな。わたしは似ても似つかぬ、ハンサムとは遠くはなれた異形だが………祖父・祖母によく似ていると伯母たちにいわれたが………まあ、ともかく、わたしは、明治の人たちの体型、人相なわけだよ。

 老父の話にもどろう。週に2度も散髪にいって、テーラー沢田で仕立てたスーツでビシッときめて、鏡のまえで服装を確認してから外にでる。仕事をリタイアするまで、そういう男だった。若いときは、大きなバイクに乗っていて、そんなに自家用車というものを持っていないときに車を買った。毎朝、出勤するまえに、その車を水洗いして、セーム革で車体の水滴を拭きとる。そうして、仕事にでていった。

 

 その ”俺は、女にモテるんだ” のダンディー男は、わたしが25年ぶりに故郷にもどったとき、ボロボロに崩壊していた。

 白髪の長髪は、肩まであって、まったく櫛をいれないからグチャグチャだ。(わたしは、ハゲだが、父と兄と弟は、ジジイになっても髪がある)。髭は、のび放題。両手の爪は、ホラー映画の怪人か悪魔のように、のびている。なんで? こんなこ汚い姿でいるの? と母にたずねると、風呂にまったく入らないという。風呂に入ったときだけ、自分で髪を切り、髭をそる、という。

 

 ひと月に1回、風呂に入ったらいいほうで、母が、何度も何度もうるさく言って、やっと入る、というのだ。

 

 この、風呂月1回………これも、わたしには、衝撃だった。父は、朝風呂に入って、晩酌のまえにまた風呂に入る、という風呂好きで、温泉好きだった。リタイアしてからは、車の運転が好きだから、毎日、午後には、十勝のどこかの温泉までドライブするという老人だった。

 

 「えッ? おやじが、風呂に入らない?」、ショックだった。のび放題の長髪、髭の、こ汚いツラで、コロコロしている。あれだけ雄弁で、うまいしゃべりが売りの男が、まったく無言だ。無言でコロコロ、7時間。

 介護保険で、出前の散髪も高くない。「床屋に行きたくないなら、家に来てもらおうか?」と父にいうと、「いらない!!」と怒鳴る。「そろそろ爪切らないと、生爪するぞ」というと「夜、爪切ると縁起が悪い」と、いいやがる。

 そのとき、わたしは、末期がんの母の看病していて、もう余命何日か、という覚悟しているときだった。『なににィ? 縁起が悪い、だと! いま、おれの母さんが死ぬ。あんたに50年以上つくした奥さんが、死のうとしているんだ。この世で、これ以上、悪いことが、あるかい? クソ・ジジイ! なにが、夜、爪を切ると縁起が悪い、だ。よくも言えるな!』と、ひどく腹が立ったものだよ。

 

 

 老いとは、残酷で、無残なものだ。その崩壊した父の姿を、毎日みている、わたしの気分も、つらく、悲しい。そして、あすは、わが身だ。

 

 

 

 

 


『こもちにしん』でワイン

2014-04-11 | 日記・エッセイ・コラム

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    帯広、金曜の朝、午前7時。

    夜のあいだ、また雪がちらついた。凍土の中から、枯れ草をかきわけてチューリップの葉が顔をだしていたのだが、凍りついてしまっているようだ。大丈夫か? チューリップ。

   東京で最高気温26度という日、ここ帯広は、5度。

 

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   近所のスーパー・テキサスでみつけた『こもちにしん』、じつに美味そうだ。しかし、原材料、つまりニシンはアメリカ産とある。国内産のニシンでは、こんな安価で販売できないのだろう。大きなニシンだ。値段は、250円。安い。

  今夜は、『こもちにしん』でワインにする。

 

  子持ち鰊が美味い。ワインを飲みながら、この鰊をつくった北海道・余市町のお店のHPをみている。

    北海道(有)丸山 山本商店 http://www1.ocn.ne.jp/~syama01/index.html