昼、札幌の鈴木さんと有楽町であった。夕方の便で北海道に帰るという。東京フォーラムの地下でピザを食べながら、ビールを飲んだ。
30数年前、鈴木さんは、レコードメーカーの営業マンで、北海道の東、道東地域を担当していた。わたしは、帯広駅前のレコード屋の店長だった。だから、月に2回はかならず顔をあわせた。それ以来、友人だ。
レコードの仕事がおもしろい時代だった。もちろん、CDは、まだない。ウォークマンもない。レコード・プレイヤーが家庭に普及しだしているときで、若者が、LPレコードをやっと買える時代になってきた。
洋楽では、ジャズがまだまだ売れていて、フュージョンというジャンルにも発展してマーケットを拡げていた。ロックは、ティーンエイジャー相手のシンプルな音楽から、成熟してきていた。ビートルズがそのトップを走っていた。ニューロック、アートロックといわれる、クリエティブで前衛的なグループがぞくぞくと登場していた。そして、ボサノバやポール・モーリア・グランドオーケストラのようなイージーリスニングのソフトな音楽もよく売れた。
ポップスでは、サイモン&ガーファンクルやカーペンターズのような、一家に一枚のメガヒットのグループが活躍していた。
邦楽は、岡林信康が、はっぴいえんどをバック・バンドにつかい、広島の吉田拓郎がエレックレコードからデビューして、アンドレ・カンドレは、井上陽水の名前でポリドールレコードから再デビューした。矢沢永吉とジョニー大倉のキャロルは、鈴木さんの会社、日本フォノグラムから発売された。
そして、ついに、荒井由実が登場する。CBSソニーからは、五輪真弓、そして、浜田省吾がデビューする。
レコードの仕事が、おもしろい時代だったのだ。
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ひこうき雲 |
ユーミンのデビュー曲「ひこうき雲」は、若くして亡くなった友だちのことを歌っている。天上にのぼっていく子の命を、ひこうき雲で象徴している。
荒井由実 ひこうき雲 http://www.youtube.com/watch?v=GMUqBe1mCEQ
荒井由実 あの日にかえりたい http://www.youtube.com/watch?v=DY6Vkfvct7Q&feature=related
五輪真弓の「恋人よ」は、交通事故で亡くなった木田高介さんへのレクイエムだ。木田さんは、元ジャックスのメンバー。31才の若さで亡くなったとき、五輪真弓のプロデューサーだった。歌詞は、恋の終わりを歌っているように書かれているが、『この別れ話』は、もっと深刻でリアルなのだ。
木田さんは、東京芸術大学打楽器学科に在籍中、ジャックスのメンバーになり、ドラムス、サックス、フルート、ヴィブラフォンを担当した。ジャックス解散後は、アレンジャー、プロデューサーになって、多くのニューミュージックのミュージシャンをてがけた。「神田川」「旅立ちの歌」「結婚するってほんとうですか」「私は泣いてます」など、木田さんのアレンジは多い。
わたしは、リリィの北海道コンサート・ツアーのプロモーターだった。木田高介さんは、リリィのプロデューサーで、バック・バンド、バイバイ・セッション・バンドのドラムスでリーダーだった。わたしたちは、冬の北海道をいっしょに旅をした。
五輪真弓 恋人よ http://www.youtube.com/watch?v=VDRyyOyrUpM&feature=related
浜田省吾 生まれたところを遠く離れて http://www.youtube.com/watch?v=v-f-9arnV6c
浜田省吾 遠くへ http://www.youtube.com/watch?v=Jl-_VisVQvQ&feature=related
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生まれたところを遠く離れて |
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恋人よ |
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リリィ 心が痛い http://www.youtube.com/watch?v=6twHEWWvBoo&feature=related
荒井由実 海を見ていた午後 http://www.youtube.com/watch?v=ar_twSQbTlc