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「密約文書」破棄の可能性--東郷和彦元外務省局長が証言

2010年03月26日 | 国際・政治

核持ち込みなど日米間の四つの「密約」問題に関する外務省調査チームと有識者委員会が提出した「報告書」(3月9日)をふまえて衆院外務委員会で3月19日、森田一(元運輸相)、西山太吉(元毎日新聞記者)、斉藤邦彦(元外務事務次官)、東郷和彦(元外務省条約局長)の4氏の参考人質疑が行われました。

その中で、笠井亮衆議院議員(日本共産党)が、東郷和彦元外務省条約局長に対し、核持ち込みの「密約」合意文書である「討論の記録」(1960年1月6日に署名)について「2国間で『了解して作成』され、両国政府代表が頭文字署名している場合、公式の『合意文書』となるのではないか」とただしたのに対し、東郷氏は、「交渉の過程で双方の考えるところを記録として残す内容について意見の一致があるという意味であれば、合意文書と申し上げてもいい」と述べ、「合意文書」との認識を示しました。
さらに東郷氏は「前任者からの資料を引き継ぎ、整理していく過程のなかで文書(『討論の記録』)があったと認識した」と答え、条約局長も歴任した斉藤氏も歴代の条約局長が後任に引き継いでいたことを認めました。

マッカーサー駐日大使が1960年1月7日にハーター国務長官に送った電報で、藤山愛一郎外相とマッカーサー大使が「英文の原本に頭文字署名した」とする文書のなかに「討論の記録」があり、日本が保持のために複写するとしています。これに関して東郷氏は「私が整理したなかに、コピー(複写)はあった。ただ署名欄に何が書いてあったか記憶がない」と述べ、頭文字署名つきの「討論の記録」の存在の可能性を示しました。
笠井議員は、1960年1月9日にマッカーサー大使がハーター長官に送った電報で、「討論の記録」を含む日米安保条約関連文書の全リスト(17文書)があげられていることを指摘。リストの存在をただしました。
東郷氏は「条約局長室のなかに残っている文書には(リストは)なかった」と述べる一方、「安保条約に関連するすべての原資料は北米局に所管される。条約局にあるのはその一部のコピーだ」と述べ、リストの存在を否定しませんでした。
また、東郷氏は「外務省の内情をよく知る人から、情報公開法施行前に(核持ち込み「密約」の)関連文書が破棄されたという話を聞いたことがある」と証言。外務省内で関連文書が意図的に廃棄された可能性について言及しました。

東郷氏の国会でのこの証言で、リストの存在が明らかとなったことから、外務省は同氏の了承を得て同日、日米の核持ち込みの「密約」に関して東郷氏が作成し、後任に渡したファイルの文書リストを公表しました。そして、同省としてこの密約関連文書が意図的に破棄されたか否かを調査する意向を表明、岡田外相は同省OBら関係者からも事実関係を聴取する考えも示しました。
このリストには、1960年の日米安保条約改定時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使による「討論の記録」の写しや、東郷氏の父・文彦氏が北米局長当時の1968年に作成し、歴代政権の「密約」引き継ぎの説明資料として使われた「装備の主要な変更に関する事前協議の件」など58点が記載されているといいます。

また、1972年の沖縄返還時、米軍基地跡地の原状回復補償費400万ドルを肩代わりした問題で機密公電をスクープ報道し、その後国家公務員法違反罪で有罪が確定した元毎日新聞記者の西山太吉氏は、「(肩代わりは)秘密の取り決めのジャンルに入る」として、明確な密約であると主張。当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領の合意議事録の存在が確認された沖縄への核再配備について、有識者委の報告書が「密約とは言えない」と判断したことに対しては、「誤認だ」と批判しました。

 

【参考】2010年3月20日付け「しんぶん赤旗」、3月19日配信「時事通信」など

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「核持ち込み密約」の存在を認め、廃棄を(2)

2010年03月25日 | 国際・政治

昨日に引き続き、3月9日に外務省調査チームおよび「有識者委員会」(座長・北岡伸一東大教授)が公表した日米間の四つの「密約」調査の報告書について、その問題点、政府の対応の問題点などについて更に見ていきたいと思います。(サイト管理者)

■「有識者委員会」の調査結果

調査対象だった四つの「密約」とその結果は、
1.1960年1月の安保条約改定時の、核持ち込みに関する「密約」=【▲「暗黙の合意」=「広義の密約」としながらも「密約」と認めず】
2.朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する「密約」=【●「狭義の密約」と認める】
3.1972年の沖縄返還時の、有事の際の核持ち込みに関する「密約」=【▲「密約」と認めず】
4.沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに関する「密約」=【●「広義の密約」と認める】
(関連記事:2009年9月23日付け当ブログ)

というものでした。

■「核持ち込み密約」を「暗黙の合意」=「広義の密約」としながらも「密約」を否定

四つの「密約」のなかで、最大の焦点なのは「日米核密約」です。
この点で「有識者委員会報告書」は、密約文書である「討論の記録」の存在は認めていますが、「暗黙の合意」などとして「広義の密約」としながらも、明確な合意は存在していなかったとしていることは重大な問題だと指摘しなければなりません。

この「日米核密約」は、日本に寄港したり飛来したりする米艦船や航空機が核兵器を搭載していても、1960年に改定された現行安保条約第6条の「事前協議」の対象外とし、この方式での核兵器の持ち込みを条約上の権利としてアメリカに認めたもの。すでに「密約」の疑惑は1970年代以来たびたび指摘されてきましたが、2000年の国会で日本共産党の不破哲三委員長(当時)が、1960年の安保改定時に当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が署名した「討論の記録」を突きつけ、「密約」の存在を指摘、決定的にしました。

今回の「報告書」では、この「討論の記録」のコピーが外務省のファイルから発見されたとして、その存在を初めて認めて、自民党政府が繰り返してきた「密約はない」という説明がまったく虚偽だったことを証明しました。しかしながら、今回の「報告書」が極めて重大なのは、その存在を認めた「討論の記録」の「2項C(※1)だけをもって、日米間に核搭載艦船の寄港を事前協議の対象外とする『密約』の証拠と見ることは難しい」、「日米両国間には、核搭載艦の寄港が事前協議の対象か否かにつき明確な合意はない」」などとして、こともあろうにこの「討論の記録」を「核持ち込みの密約」そのものであることを否定しているということです。

しかし、「討論の記録」は、米軍機や米艦船の「日本領海や港湾への立入り」は「現行の手続きに影響を与えない」と明記しており、旧安保条約と同じように、改定安保条約でも核兵器を自由に持ち込むことを保障したものであることから、通過や寄港は事前協議の対象外とする、明確な「密約」であることは明らかです。しかもこの「討論の記録」は日米間の公式の合意文書であるとともに、日米安保条約の一部をなすものだからです。

(※1)【2項のC】=「『事前協議』は、合衆国軍隊とその装備の日本への配置、合衆国軍用機の飛来(エントリー)、合衆国艦船の日本領海や港湾への立ち入り(エントリー)に関する現行の手続きに影響を与えるものとは解されない。合衆国軍隊の日本への配置における重要な変更の場合を除く」

(つづく)

【参考】2010年3月10日付け「しんぶん赤旗」など

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「核持ち込み密約」の存在を認め、廃棄を(1)

2010年03月24日 | 国際・政治

この間、昨年9月から着手していた日米間の四つの「密約」調査で、3月9日に外務省調査チームおよび「有識者委員会」(座長・北岡伸一東大教授)が公表した報告書についての報道を紹介してきましたが、この報告書の問題点、政府の対応の問題点などについて更に見ていきたいと思います。まず初めに日米核密約「討論の記録」を紹介します。(サイト管理者)

日米核密約「討論の記録」 全文===============================

 核兵器持ち込みの日米密約である「討論の記録」の全文は次の通りです。

 1、(日米安保)条約第6条の実施に関する交換公文案に言及された。その実効的内容は、次の通りである。

 「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更ならびに日本国からおこなわれる戦闘作戦行動(前記の条約第5条の規定にもとづいておこなわれるものを除く)のための基地としての日本国内の施設および区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする」

 2、同交換公文は、以下の諸点を考慮に入れ、かつ了解して作成された。

 A 「装備における重要な変更」は、核兵器および中・長距離ミサイルの日本への持ち込み(イントロダクション)ならびにそれらの兵器のための基地の建設を意味するものと解釈されるが、たとえば、核物質部分をつけていない短距離ミサイルを含む非核兵器(ノン・ニュクリア・ウェポンズ)の持ち込みは、それに当たらない。

 B 「条約第5条の規定にもとづいておこなわれるものを除く戦闘作戦行動」は、日本国以外の地域にたいして日本国から起こされる戦闘作戦行動を意味するものと解される。

 C 「事前協議」は、合衆国軍隊とその装備の日本への配置、合衆国軍用機の飛来(エントリー)、合衆国艦船の日本領海や港湾への立ち入り(エントリー)に関する現行の手続きに影響を与えるものとは解されない。合衆国軍隊の日本への配置における重要な変更の場合を除く。

 D 交換公文のいかなる内容も、合衆国軍隊の部隊とその装備の日本からの移動(トランスファー)に関し、「事前協議」を必要とするとは解釈されない。

(注)2000年に日本共産党の不破哲三委員長(当時)が米政府解禁文書から入手した「討論記録」の訳。これは、外務省の調査で見つかったものと「修辞的な部分を除いて同じ」(同省調査報告書)ものです。

(つづく)

【出典】2010年3月10日付け「しんぶん赤旗」

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「日米同盟」に思考停止--マスコミ九条の会が「普天間問題」でシンポジウム

2010年03月23日 | 国際・政治

沖縄の海兵隊の「7割」がグアムに移転する。日本が頼んだからではない。
米軍自身の世界戦略による「再編計画」のためだ。
なのに、なぜ普天間の代替基地を差し出さなくてはならないのか?
メディアはなぜこれらの事実を伝えないのか?
安保改定から50年、普天間問題に象徴される日米同盟のゆがみを明らかにし、 真っ当な世論の形成をめざす!
シンポジウム■「『普天間問題』のウラに隠された真実--進行中の米軍グアム統合計画の意図を探る」

3月20日、マスコミ九条の会は都内の日本記者クラブでシンポジウム「『普天間問題』のウラに隠された真実--進行中の米軍グアム統合計画の意図を探る」を開催しました。

最初に、国際問題ジャーナリストで沖縄在住の吉田健正氏が「米軍のグアム統合計画の実態」について基調報告を行い、続いて、軍事評論家の前田哲男氏とジャーナリストの鳥越俊太郎氏の討論が行われました。コーディネーターはマスコミ九条の会の呼びかけ人である桂敬一氏が務めました。

前田氏は、「ウラ安保に食われた日米関係」と題し、日米安保協約の50年を振り返り、「50年前の安保の解釈をめぐって、密約と呼ばれるものが今なお生き続け、かつ増殖し続け、安保体制、安保構造全体を規定している」と指摘。憲法の枠内という「表の安保」と「裏の安保」という二重政策が長く続いてきた問題点を指摘しました。
また、鳥越氏は「普天間問題」をめぐるメディアの役割と責任について発言。「大半の政治家・官僚・マスメディアは日米安保体制ありきで話を始めているが、その出発点を取り払い、ゼロベースで考える必要がある」と指摘しました。そして「少なくとも普天間基地は日本から撤去を。その先はアメリカが考えるというのが交渉の筋だ」と語りました。

また、吉田氏は「マスメディアが日米同盟について思考停止に陥っている」と述べ、「真実を探求するジャーナリズム精神をもう一度身につけてほしい」と語りました。

【参考】2010年3月21日付け「しんぶん赤旗」など
マスコミ九条の会 http://www.masrescue9.jp/

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「日米同盟」と平気で言う感覚

2010年03月22日 | 国際・政治

2010年3月21日付け「しんぶん赤旗日曜版」の『メディアをよむ』コーナーで、法政大学教授の須藤春夫さんが最近の普天間基地移設や密約問題をめぐるメディアの報道で「日米同盟」という言葉が頻繁に登場していることについて、「日米同盟の用語を当然のように使うのはおかしい」と指摘しています。まったく同感なので、その概要をご紹介します。(サイト管理者)

須藤氏が具体的に指摘した番組としては、NHK総合テレビが3月12日夜に放送したシリーズ「日本の、これから」で『いま考えよう日米同盟』と題した討論番組(90分)。須藤氏は同番組を「タイムリーな企画」と評価しつつも、前述の指摘をしたものです。
須藤氏は、この経緯について、NHKが昨年10月「ニュースウオッチ9」の特集『あすの日本』で、「アメリカが細川政権誕生を契機にアジア太平洋の安全保障戦略を見直し、これに沿って日米同盟の強化に向けて動き出した」と報じていた点を指して、この認識からすれば、日米同盟の本質は、安保条約を基盤とする軍事同盟であり、単に両国の友好関係を表わす概念ではないと指摘します。

さらに須藤氏は、朝日新聞編集委員である早野透氏によるCS放送での日本共産党・志位和夫委員長へのインタビュー(2月19日)を示して、この時、最近のメディアが日米同盟という表現を平気で使う感覚について「長い政治記者は(この)言葉が出てきた時はみんなびっくりした」との話を紹介しています。

須藤氏は指摘します。「なぜ今、日米政府は同盟深化を声高に叫ぶのか」。「その問題点を多角的に浮き彫りにするのが公共放送の役割ではないか」と。
そのうえで、須藤氏は3月14日に放送した『日曜討論 密約・普天間 どうする日米同盟』でも、中国や北朝鮮の脅威を理由に米軍の抑止力を期待する日米同盟強化の意見ばかりだった。登場した専門家も日米安保体制を支持する論者で占められていた点にも、苦言を呈しました。そして日米安保の異常性と問題を事実に即して指摘し、ただちに廃棄してこそ真に対等な日米関係が生まれると主張する論者を登場させない不可思議を指摘しました。

【参考】2010年3月21日付け「しんぶん赤旗日曜版」『メディアをよむ』コーナーから

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