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報ステ「菅首相インタビュー」で露呈したマスコミのふがいなさ

2021年01月13日 | 国際・政治
コロナ禍拡大への迅速な対策が求められる菅義偉首相のテレビ出演では昨年12月21日のTBS系「news23」で、その頼りなさがいみじくも露呈されましたが、このほど1月8日のテレビ朝日「報道ステーション」に搭乗した菅首相に対して今度はテレビ朝日のアナウンサーや政治部長の突っ込みのふがいなさが露呈。マスコミの姿勢に批判の声が上がっています。2021年1月10日配信「論座」の記事と2021年1月9日配信「デイリー」の元司会・古舘伊知郎氏の指摘を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<報ステ「菅首相インタビュー」に見るテレビ朝日の忖度>
~この政治家にしてこのマスコミあり~


須藤靖氏(東京大学教授 宇宙物理学)


緊急事態宣言発令を受け、1月8日のテレビ朝日「報道ステーション」に、菅義偉首相が出演した。その発言には何も目新しいものはなく、予想通りの内容の薄さであった。しかし、今回はそれを批判するのが目的ではない。そこに同席したアナウンサー、テレビ朝日政治部長、コメンテーターたちの質問やコメントへの失望を述べたいのだ。朝日新聞社の系列であるテレビ朝日の番組に対する批判であるからこそ、この論座はまさに適切な場であろう。

番組を見逃した方も、テレビ朝日のサイトから視聴できる。簡単にまとめておけば、緊急事態宣言、医療体制、東京五輪の3つのテーマが設定され、それに対して、アナウンサーの司会のもと、菅首相が意見を述べるというスタイルであった。さすがに、繰り返し批判されている下を向いた原稿棒読みは避けていたものの、単なる感想を並べ立てる迫力のなさは相変わらずだった。時折、うまく言葉が出てこない時には、アナウンサーがそれを補ったり、先回りしてフォローしていた。結果的に、首相よりもアナウンサーのほうがはるかに長時間発言し続けたはずだ。また、首相の発言には、多くの国民がより深く聞きたいと思うような曖昧な要素だらけであった。にもかかわらず、横にいた2名は、鋭く問いただすわけでもなく、あたかも国会での与党代表質問を彷彿とさせるような遠慮がちの質問しかできなかった。
 
例えば、緊急事態の対象拡大や延長の可能性について尋ねられると、「1カ月頑張ってやらせて頂きたい」。1カ月後に結果が出なければどうするつもりかとの質問にも、「仮定の質問には答えられない」との既視感のある回答。それらをさらに追及せずに、それで良しとする出演者には唖然とさせられた。


■大学院の学位審査の場合は
 

とはいえ、政治・国際でも経済・雇用でもなく、科学・環境の筆者に過ぎない私がなぜあえてこの問題を取り上げるのか。それは、大学院修了時の学位審査における公聴会・口頭試問との類似性が頭をよぎったからである。

毎年1月は、大学院学生の修士論文と博士論文の審査で、教員は大忙しとなる。私の所属する物理学専攻の場合、自分が研究室で指導する学生以外に、毎年平均して2〜3名の修士論文と、3〜5名の博士論文の審査員に割り当てられる。修士論文の場合は約1時間、博士論文の場合は約2時間の公開審査会において、提出者の発表および質疑応答がなされる。提出論文の内容と審査会での議論を総合して合否が判定される。

修士論文が不合格となる例は極めて限られているものの、博士論文は(審査会までに取り下げられるものも含めると)大体1、2割が継続審査となる(理由は知らないが、博士論文の場合には不合格という判定は存在せず、半年から1年かけて修正した上で再審査を受けることになっている。これも教育的配慮によるものだろう)。博士論文の場合には、その内容が博士号の学位にふさわしいものであるかを客観的に判断するために、5名の審査員の中に指導教員は入らない。委員会での議論における忖度を排するためである(昨今の言葉で言えば利害関係者のコンプライアンスといったところだ)。

とはいえ、審査員すべてがその分野の専門家であるわけではなく、本質的な問題点の指摘だけではなく、単なる誤解や理解不足に基づく質問やコメントも少なくない(むしろ外国では、意図的に異なる分野の審査員を入れるのが必須とされていることもある)。しかし、それらに対して、科学的・論理的に説得力のある受け答えができなければ、合格とはならない(博士論文のほとんどが、審査会終了後数週間以内に、その議論を踏まえた修正を行い再提出が求められるのはそのためだ)。


■形式的で生ぬるい質疑応答
 
さて、今回の菅首相の「報道ステーション」出演は何を目的として企画されたのか。本来は、1月7日の首相記者会見こそ、論文審査会の公聴会に対応するべきものだったはずだ。しかし、いみじくも「いま一度、御協力賜りますことをお願いして、私からの挨拶とさせていただきます」という結語の言い間違い(?)が象徴するように、下を向いた原稿棒読みの姿勢からは、あくまで他人事に過ぎず、首相としての自らの責任を国民に示す決意は何一つ感じられなかった。

繰り返しになるが、そのことを批判するのが今回の意図ではない。むしろ、その直後に行われた、報道関係者からの形式的としか思えない極めて生ぬるい質疑応答、さらには重要なポイントに対しては首相自身ではなく「指導教員」に対応する尾身会長に回答を委ねていた点こそ、より深刻である。
 
緊急事態宣言という異常な状況にありながら、国民の意見を代表して、首相に対して堂々と疑問を述べ、問題点を糺すことができないとすれば、報道関係者として記者会見に同席する資格はない。万が一、それが首相側によって課せられた条件であるとするならば(それが正しいのかどうか私には全くわからない)、断固拒否すべきである。自分たちが報道する情報を得るためではなく、国民の声を適切に伝え、当然の疑問に対しては明確な回答を引き出すことこそ、彼らの責任である。

報道側で記者に対してそのような基本的な教育がなされていないのか、はたまた、記者会見で発言を許された記者たちが自ら忖度した結果なのか。いずれであろうと、その生ぬるさが政治に反映されるのは当然であろう。


■テレ朝はなぜ放送したのか
 
言うまでもなく、この会見に対して、国民の失望感は高かった。言わば、公聴会での審査員の結論は、継続審査である。だからこそ、1月8日の「報道ステーション」は自ら再審査の機会を申請してきたものだと私は解釈した。

しかし残念ながらそれは完全な肩透かしに終わった。視聴した方なら誰でも同じ印象を持たれたと思うが、あえて問題点を列挙しておく。


1.生放送ではなく、事前に録画撮りしたものだった。

2.アナウンサーが、首相の発言を補完したり代弁するだけで、生の声を引き出せていない、というか、むしろ準備された台本にしたがって無難に乗り切るように協力していた印象すらある

3.横にいた2名の出演者は、差し障りのない質問しかできないのみならず、「仮定には答えられません……」といった論点ずらしの回答に対して、再度問い返そうとすらしなかった

4.番組中で紹介されたもっとも厳しい意見は、街頭インタビューされた人々の生の声であった。出演者が自らそれを代弁するのではなく、一般の人々の声にそれを紛れ込ませるだけで、それ以上深める姿勢が皆無だった

 
以上を要約すると、仮にこれが再審査会であったならば、そもそも審査員が審査員たる資格を有しておらず、審査会自体を無効とすべきだろう。

なぜこのような絶望的なインタビューを臆面もなく放送したのか、私には理解できない。第一義的には、出演したアナウンサー、テレビ朝日政治部長、コメンテーターたちが無能であった、あるいは報道番組出演者としての責任を自覚しておらず忖度した、のどちらかである。しかしさらに言えば、生放送でない以上、確認したはずでありながら、その内容で良しとしたテレビ朝日側の見識あるいは忖度の問題に帰着するであろう。すべて秘書がやったことにして責任を逃れようとする政治家を批判するのであれば、この放送に対して出演者だけにすべての責任を押し付けることはありえない。

「報道ステーション」の前身である「ニュースステーション」は、私が博士課程の大学院生であった時期に始まった。おかげで、私はそれを見るために、大学で研究を早めに切り上げることが多くなった。久米宏の当意即妙の対応、エスプリ、健全でぶれない批判精神、がとても新鮮に思えたからである。最近の言葉で言えば、久米宏と「ニュースステーション」は忖度していなかったのだと思う。そしてそれを支えていたのは、おそらく当時のテレビ朝日の上層部の報道に対する矜持だったに違いない。

不愉快であるが、前回に引き続きもう一度言う。テレビ朝日を代表とする報道関係者が忖度してくれようと、コロナは忖度してくれない。


【出典】2021年1月10日配信「論座」


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<菅首相「報ステ」和やかインタの裏番組で…古舘伊知郎、総理メッタ斬りの大暴れ>
 

菅義偉首相が8日夜のテレビ朝日「報道ステーション」に出演し、富川悠太アナウンサーが発言をフォローするなど、和やかなインタビューが行われたことが物議を醸す中、元司会の古舘伊知郎が、同時間帯の“裏番組”となるニッポン放送「古舘伊知郎のオールナイトニッポンGOLD」で、冒頭から約20分にわたって、政府対応をメッタ斬りにした。

冒頭で「コロナに対しては、ふんまんやるかたない」と凄い熱量でマシンガントークを開始。

7日の菅首相の会見について「気合いを入れて原稿読むにしても、想定問答に答えるにしても、そんなこといいんですけど」と切り出し、「ここへきて後手後手踏んだ挙げ句に、ようやく小池さんが声かけたのか1都3県が要請して、ものすごい感染者が増えたからと、気合いを入れられてもな。結果論と言われること承知で言うけど、なんで去年の段階で緊急事態宣言出さないのか」と批判した。

その後も「少ないときに抑えこんだほうがブレーキきくのに、引っ張って、これだけ増えたんでやむえず宣言って、既成事実作るまで待ってたんですか」「通年国会、なんでやらない。特措法も休み返上でやってほしかった」「野党もヘタレだ。桜を見る会を追及したいのは分かるが、へたれだ、100年に1度の有事。野党がコロナに絞ってやりたいというべきなんだ」と止まらず。

「業者はみなへたっている」と指摘し、協力金などを利用してほしいという菅首相に対し「おいおい、調子よすぎませんか。あまねく潤沢に、今後苦しい人が救われる状況にあるのか」。

また緊急事態宣言について「なんとか1カ月で抑え込みますって、何の根拠あんの?専門家は2カ月も3カ月もかかるって言ってる。できないことは素人でも分かる」と、約20分間、ノンストップで語り続けた。


【出典】2021年1月9日配信「デイリー」


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2021年1月22日、核兵器禁止条約が発効へ!
引き続き署名国・批准国を増やし、実効性ある条約に! 
♯日本政府は核兵器禁止条約に背をむけるな
♯米国など核保有国は核兵器禁止条約に参加、署名・批准を


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