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「戦後レジームからの脱却」への批判が目立った終戦記念日「社説」

2007年08月26日 | ニュース
62回目の終戦記念日である今年8月15日の地方新聞各紙社説では、直前の参院選で自民党が大敗したこともあり、安倍晋三首相が主張してきた「戦後レジーム(体制)からの脱却」に批判が相次ぎました。

「安倍カラーで進む『戦後レジームからの脱却』路線に、懸念が付きまとう。それを抜きにして、先の参院選で国民が政権与党に下した厳しい審判は語れまい」(神戸新聞社説)というわけです。

新潟日報社説では「戦争責任に対するあいまいさと同様、『戦後』とは何なのか、戦後的価値のどこが問題なのかという説明は首相の口から発せられないままだ」と指摘します。

また、信濃毎日新聞社説では「戦前、戦中と違って、政府の方針と反対のことを言っても構わない。信教の自由は保障されている。憲法の三原則、平和主義、国民主権、基本的人権の尊重は、実態面では不十分さを残しながら、考え方としては社会に定着している。自衛隊は海外で一度も武力行使していない。したがって、戦後日本に戦死者は一人もいない。若者が徴兵を心配することもない。こうした社会のレールを敷いたのは憲法だ」と『戦後』を確認したうえで、「この路線を修正しようとする政治家もいた。安倍首相の祖父、故岸信介氏はその一人である」とし、「岸氏が目指したのは、九条だけでなく、天皇を元首にし、労働者の団結権や言論・出版の自由も見直す復古色の濃い改憲だった」とことわったうえで、「安倍首相がいうように、戦後体制は『脱却』すべきものなのか。日本人が戦後、憲法を踏まえて営々重ねてきた取り組みは、否定されるべきなのか」と問題を提起しています。
そして「 日本の戦後レジームは、第2次大戦後の世界システムと一体のものである。日本は戦後世界システムから、最も多くの恩恵を受け取ってきた国の一つだ。そうした中で、日本の首相が『戦後レジームからの脱却』を唱える。世界の人々から見れば、何とも理解しにくいことだろう。 首相は、憲法の三原則は順守することを繰り返し表明してはいる。だが、憲法順守と戦後レジームへの懐疑的まなざしがどう両立し得るのか、分かりにくい。首相が唱える脱却論は、ひとつ間違えば、戦前回帰の危険な動きと受け取られかねない」「そうではあるまい」と安倍首相が掲げる「戦後レジームからの脱却」に反論しています。

このように地方新聞各紙がいうように、「戦後レジーム」とはつまりは戦後、憲法で明記された主権在民、恒久平和、基本的人権などを国政の基本にすえた体制のことであるはず。その戦後体制から「脱却」するというのは、「二度とあのような悲惨な戦争は起こさない」という憲法の誓いを投げ捨てて、再び海外で戦争する道を歩もうと公言しているのと同じことです。世界の人々ならずとも、日本国民にとっても「何とも理解しがたい」――だから安倍自民党は大敗したのです。

また、安倍首相がたびたび発言する「価値観」も「戦後レジーム」と同様、あいまいです。日米両国とことあるごとに共通だとする安倍首相の「価値観」は、到底受け入れられるものではありません。なぜなら、品川正治さんがよく言うように、建国以来、ずっと戦争をし続けている国・アメリカと、戦争を放棄した国・日本、歴史的に言えば、世界で原爆を落とした唯一の国・アメリカと、原爆を落とされた(それも広島・長崎・そしてビキニの第5福竜丸の3回も)国は日本だけしかありません。その二つの国の価値観が一緒と言ってしまったら、世界の歴史の認識が成り立たなくなってしまうのです。
恒久平和に関する考え方、とりわけ軍事に対する「価値観」はアメリカと一緒であるわけはありません。また、主権在民、基本的人権の問題においても「戦前回帰」を目指す安倍首相の「価値観」はアメリカに受け入れられるものではないはずです。

こうした矛盾・懸念がはからずも戦後62年の終戦記念日に、真っ当な感覚を持つ地方新聞社説で語られたと思うのです。


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