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「始まってからでは遅い」――台湾有事を阻止する「戦争法」の廃止を

2022年01月30日 | 国際・政治
日本にも重大な影響を与える台湾有事の危険性が取りざたされています。これまで日本政府は、中国が台湾に侵攻した場合に「安全保障関連法の『存立危機事態』と認定して集団的自衛権を行使する」と発言。それどころか、日本が攻撃されていなくても米国などと一体となって他国と戦争する集団的自衛権が行使される危険性が強まっています。「始まってからでは遅い」と指摘する半田氏。憲法違反である「戦争法(安保関連法)」の一日も早い廃止が求められています。
台湾有事をめぐる情勢について、2021年12月31日配信「JIJI.COM」、2022年1月30日配信から記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<台湾有事で自衛隊戦闘の恐れ 「始まってからでは遅い」――防衛ジャーナリストの半田氏>

集団的自衛権の行使を可能とする安全保障法制で、日本が戦争や武力紛争に関わる恐れは実際に高まったのか。防衛省や自衛隊を約30年にわたり取材してきたジャーナリストの半田滋氏(66)は「台湾をめぐり自衛隊が戦争に巻き込まれる恐れはある。憲法判断が有事になってからでは遅い」と指摘する。


半田氏が注目するのは昨年3月の米インド太平洋軍司令官の発言。中国の軍拡に懸念を示し、「6年以内に台湾に対して武力行使する危険性が高まっている」と訴えた。
 
台湾有事が現実となれば、在日米軍が出撃するだけでなく、中国に対抗するため、米国が日本に後方支援や米軍との共同行動を要請する可能性が高いと半田氏はみている。
 
安保法制では、自衛隊が他国軍に弾薬を提供することも可能になった。「存立危機事態」と政府が判断すれば、海外で起きた紛争も集団的自衛権の行使対象となり、戦闘への参加は避けられなくなる。
 
半田氏は「米国の情報収集能力は日本と圧倒的な差があり、言われるがまま動くしかないのが現状だ。一度武力衝突が起きれば、被害がいくら生じても自らの判断で離脱はできない」と指摘。台湾有事の場合、「中国は米軍と一体となる自衛隊も攻撃対象と判断するだろう。地理的に近い沖縄の離島などが最初に戦場となる危険性が高い」と話した。
 
安保法制成立後、自衛隊はインド洋や南シナ海で米軍との共同訓練を実施。護衛艦「いずも」の事実上の空母化や、長射程ミサイルの検討などを進めており、半田氏は「敵基地攻撃能力」を備えつつあると分析している。


【出典】2022年1月30日配信「JIJI.COM」


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<台湾クライシス(※1) 有事の可能性はどこまで高まっているのか?

※1:クライシス:危機、重大局面。


【第1回】中国軍の侵攻に備えよ

2021年は中国軍が台湾に侵攻する可能性が現実味を持って論じられた年だった。3月に米軍のデービッドソン・インド太平洋軍司令官(当時)が上院軍事委員会公聴会で、台湾情勢について「6年以内に危機が明らかになる」と言及した。27年は中国軍創立100年に当たり、習近平共産党総書記(国家主席)の3期目の任期が終わる政治的な節目の年だ。

21年7月の共産党創立100年式典で習氏は「祖国統一は党の歴史的任務だ」と表明した。11月には共産党が過去の歴史を総括する「歴史決議」を採択。これにより、建国の父である毛沢東、改革開放政策を主導した鄧小平と並ぶ権威を手に入れた習氏が終身一強体制を維持する可能性も出てきた。習氏が「歴史的指導者」にふさわしい実績を確立するため、「台湾統一」を目指しているという見方は強い。

中国軍の兵器開発も急ピッチで進んでいる。米軍も開発できていない、空母を攻撃可能な弾道ミサイル「東風26」「東風21D」に加え、極超音速ミサイル「東風17」をすでに実戦配備したと中国軍は主張している。3隻目の空母は2022年前半に進水する見通しだ。上陸作戦の中核を担う海軍陸戦隊(海兵隊)は17年に組織改編が始まり当初の1万人から3倍以上に拡大したとも言われる。推定排水量4万トンで米軍のワスプ級に匹敵するとされる強襲揚陸艦「075型」は1隻目が21年4月に就役し、11月に3隻目が試験航海を始めたと伝えられている。人工知能(AI)と連動した無人機の運用を目指す動きも進んでいるもようだ。

この状況で、台湾海峡周辺での軍事バランスは中国に有利に傾いていると分析されている。デービッドソン氏は2025年に中国軍は空母3隻、強襲揚陸艦6隻を保有するという予想を明らかにしている。同じ時期、米軍は中国周辺で空母1隻、強襲揚陸艦2隻にとどまるという。米議会諮問機関、米中経済安全保障調査委員会は21年11月、「中国軍は台湾に侵攻する初期段階の能力を持っているか、獲得しつつある」という報告書を公表した。

ただ、現時点では米軍の介入を排除して、台湾に大規模な上陸作戦を実行する能力を中国軍が持っているとは言いがたい。中国軍は1979年の中越戦争以降、本格的な実戦を経験していない。空母や陸戦隊の運用経験も乏しい。中国軍の新兵器に関しては、多くの専門家が性能を疑っている。

台湾有事が起きれば、隣国であり在日米軍基地が存在する日本は当事国とならざるを得ないだろう。危機はどこまで差し迫っているのか、3回シリーズで検証する。第1回は香田洋二・元海上自衛隊自衛艦隊司令官(海将)に現状を分析してもらい、日本はどのように備えるべきなのか聞いた。


香田 洋二(元海上自衛隊自衛艦隊司令官(海将))

米介入なければ中国が台湾奪取

―デービッドソン氏が、中国軍が6年以内に侵攻する危険性があるという発言をした。中国軍が台湾に侵攻する可能性をどう見ているか。

情報が一番集まる米軍担当部隊の総大将として、こう言うのは当たり前。習氏は台湾統一を国家目標だと言っているのだから、いずれかの時点でやるつもりだろう。ただ、中国はいつやるか、どうやるかについてはフレキシブルに考えているはずだ。米国と事を構えたら、被害が大き過ぎる。しかし、習氏が明確に目標を示した以上、台湾統一を目指す動きがないと考えるのは間違いだ。軍隊とは極端に言うと国家政策を考える組織ではなく、作戦を実行する組織だ。被害が少ないやり方が上手なやり方だが、大きな犠牲を払ってでもやるべきときは実行する。


―被害の大きさを考えると台湾侵攻は容易に決断できないのでは。

特に日本で危険なのは「米国も中国も失うものが互いに大きすぎるから、戦争しないだろう」という考え方があることだ。国家は被害が出るとしても、やるときはやる。悲惨なことではあるが、だから戦争は起きるし、なくならない。


―11月のミリー米統合参謀本部議長の発言や国防総省報告書では「台湾侵攻は当面ない」というニュアンスだ。

国防総省は政権や議会の動きを見ながら、実態として戦争に備えつつ、ミリー氏の発言や報告書で政策に幅を与える表現をしたのだろう。


―台湾本島への大規模上陸作戦は中国軍の現在の能力では困難か。

米国が動かない状況であれば、中国は台湾を取れる。台湾海峡を挟んで米国を抑止できるのなら、作戦の混乱や被害は大きいかもしれないが可能だ。しかし、米国が本気で阻止に動けば、できない。

今の中国軍は強襲揚陸艦「075型」がまだ戦力化していない。急速に海軍陸戦隊の練度を上げようとしているが、いきなり米海兵隊と同じレベルのことはできない。だから、軍は「早く準備しろ」と習氏に追い立てられている。


 ◇米軍は核攻撃も排除せず

―中国が台湾に侵攻すれば、米国は必ず介入するのでは。

介入しようとするだろうが、遅れることは考えられる。米国民が中国との戦争を嫌がる状況、大災害やウイルスのパンデミック(世界的流行)などで物理的に米軍が動けないケースもあり得る。また、一番頼りにしている日本が何らかの理由で米国に反旗を翻せば、米軍は介入できなくなる。

米軍の弱点は弾道ミサイルによる先制攻撃への対抗手段を持たないことだ。米国には開戦直後の大量ミサイル攻撃に対する即時反撃能力がない。米国は巡航ミサイルを持っているが、先制攻撃への反撃のために中国に向けて常時展開できていない。巡航ミサイルを搭載する原子力潜水艦や駆逐艦を中国周辺に集めるには2週間かかる。その間に国連や国際社会が「もうやめなさい」と言えば、台湾侵攻で中国が獲得した成果が既成事実となるかもしれない。


―それでも現時点で米国の抑止力は効いている。

そうだ。しかし、「米国が出てこない。出てきても対応できる」と思ったときに中国軍による台湾侵攻はあり得る。しかし、米国が中国の想定通り動くことは、まずないだろう。戦争とは誤算の連続だ。軍事作戦が段階的にエスカレートすれば互いに相手の手を読んで対抗するため核を使う可能性は低くなる。しかし、米軍が動けないときに中国が奇襲攻撃すれば、米国は初期の劣勢を挽回するために核を使って反撃せざるを得なくなるかもしれない。米国は中国にそういう信号を送っていると考えるべきだろう。


 ◇シミュレーションで「米国は負ける」

―米中対決を想定したシミュレーションで米軍が負けるケースが多いと聞くが。

例えばランド研究所で台湾有事のシミュレーションをやったら、米国が負けた。これについて日本では誤解がある。米国のシミュレーションで米軍が負けるのは当然だ。「米国がこういうことをやったら負ける」ということを洗い出すのが目的だからだ。


―あえて米国にとって不利な条件を想定している?

そう。例えば「米軍首脳の判断が甘い場合」とか、「中国の新兵器への対応が不十分な場合」とかいう条件の下で戦って、負ける場合の教訓を見いだすことが目的だからだ。そして、シミュレーションで得られた教訓を基に、制度、人、作戦、後方体制などで改善すべき点をチェックする。「シミュレーションで負けたから、後ろに下がる」という戦略を取ることはない。多くの日本人は米国の真意と米軍の本質を知らない。


米国が中国の空母建造に協力

―中国の対艦弾道ミサイル「東風26」は空母を攻撃できるのか。

実用性があるのか判断できない。過小評価は禁物だが、米国は情報収集により実力を知っているから比較的ゆったり構えているのだろう。実戦ではサイバー戦で互いに人工衛星が使えなくなる事態も起こり得る。衛星から正確に位置情報を伝えて目標に到達できるミサイルがあったとしても、その(衛星を通じた情報伝達の)ラインが断ち切られれば実際には使えなくなる。巷間(こうかん)で言われているような、米軍がサイバー攻撃で一方的に半身不随になることはないだろう。少なくとも米軍のサイバー分野の能力は中国以上と考えるべきだ。


―中国の空母をどう見るか。

中国の将来を楽観していた00年代を通じて、米国は「米中空母研究会」のような軍事技術交流で、中国の軍人を実艦に招待したりして空母の中身の相当なところまで見せた。私は現役のとき「おかしいぞ。やめろ」と言ったが、米国は中国の本質を見誤って目がくらんでいた。あの頃、米国は自分たちのリードで中国と共存できると思っていた。中国は空母建造で間違いなく近道をすることができた。しかし、その程度で中国が米海軍と同等の空母運用能力を確立できるというわけではない。空母の運用は米海軍が日本との戦い以来、長い年月を費やして多数の要員の生命と装備の損失という犠牲を通じて築きあげてきた宝であり、それを数年で体得することは不可能だ。


 ◇中国空母は実戦で役立たず

どんどん中国に空母を造らせればいいとも言える。米国と日本にとって一番困るのは中国軍の潜水艦の増強だ。米国の例で考えると、最新鋭空母「ジェラルド・フォード」級の建造費は約1兆5000億円、原子力潜水艦「バージニア」級は約4000億円。つまり、空母1隻の費用で4隻程度の潜水艦を建造できる。仮に中国が今後6隻の空母を造るとすれば、最新の原子力潜水艦24隻に相当する費用が必要になる。中国がそれだけの原子力潜水艦を造れば、日米は大変な作戦上の問題に直面する。空母にこだわれば、艦載機もこれから開発しないといけない。そのためには巨額の予算が必要となる。中国がきちんと戦略を見据えて最適な兵力整備をしているかというと疑問だ。

戦争になれば米軍はまず中国の空母を沈めにいくだろう。中国の空母は国民のプライドを象徴するような存在になっている。中国共産党にとって開戦直後に空母を失うことは耐えられないだろう。中国の空母は戦争が起きたら港から出られなくなると思う。


―中国の3隻目の空母には、効率的に艦載機を射出できる一方、電力を大量に消費する電磁カタパルトが採用されるようだが。

米国は電磁カタパルトを初めて搭載した「ジェラルド・フォード」を2017年に就役させたが、5年近くたった現在でもまだてこずっている。中国も実戦化まで時間がかかるだろう。しかも、現役の中国の空母は(そり上がった甲板から艦載機が発艦する)スキージャンプ式だ。中国軍は電磁カタパルトどころか、(技術的に旧式の)蒸気式カタパルトの運用もしたことがない。米国は発着艦訓練で多数のパイロットが死んでいる。悪天候で夜の発着艦が自由にできるようにするために危険な訓練をしてきたからだ。このような代償の上に米海軍の空母運用能力を確立した。作戦運用に関わる能力を中国軍が習得するには時間がかかるだろう。


 ◇中国は南西諸島を狙う

―今後、日本に必要なことは。

日本は南西諸島の防衛をしっかりやらなければいけない。中国は台湾を取ろうとするとき、間違いなく南西諸島を狙う。米国と戦うときに(日本列島から台湾、フィリピンを結ぶ)第1列島線を自由に通れないと致命的だからだ。

岸田文雄首相は「日本が中国に誠実に対応すればうまくいくだろう」と期待を持っているのではないか。中国が約束を守らず、自分たちに都合の良いように振る舞う国だという前提に立たないといけない。



■【香田 洋二(こうだ・ようじ)】 元海上自衛隊自衛艦隊司令官(海将)。1972年防衛大学校卒、海上自衛隊入隊。92年米海軍大学校指揮課程修了。2007年自衛艦隊司令官、08年退官。09~11年、ハーバード大学アジアセンター上席研究員。現在、ジャパンマリンユナイテッド顧問。72歳。


【出典】2021年12月31日配信「JIJI.COM」


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2021年1月22日、核兵器禁止条約が発効へ!
引き続き署名国・批准国を増やし、実効性ある条約に! 
♯日本政府は核兵器禁止条約に背をむけるな
♯米国など核保有国は核兵器禁止条約に参加、署名・批准を


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