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自衛力を持てることを憲法に明記すべきか

2006年06月06日 | 国際・政治
NHKの世論調査でも42%が「憲法は変える必要がある」としながらも、「九条を変える」となるとその比率は少なくなります。その「九条を変える必要がある」とする人々の理由のトップに「自衛力を持てることを憲法に明記すべきだから」という意見があります。
昨今の国際テロも含め、北朝鮮や中国などの近隣諸国の軍備拡大や様々な摩擦などによる“脅威”から、そうした気運が後押ししているのかもしれません。
また、改憲勢力が憲法九条第二項を削除し、代わりに自衛軍の規定明記を主張する根拠に、米国から要求される自衛隊の“役割分担”と憲法九条とのズレがあり、もはや憲法をその場のご都合主義による解釈憲法では乗り切れずに、改憲するしかないという世論操作にも影響されているのでしょう。

いま日本にとって、本当に九条を変えて軍事的な自衛力を憲法に明記すべきでしょうか。

小泉首相が武力攻撃事態法など有事法制3法案を国会に提出した時、「備えあれば憂いなし」とその必要性を説明しました。また以前から軍備や安全保障を議論する際には「戸締り論」(戸締りをしないと泥棒が入りやすいから戸締りをする方が安全という考え)があって、軍備の必要性を説くひとつの根拠になっていました。
確かに朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は核を保有しているという発言をして威嚇したり、1998年には実際に弾道ミサイル「テポドン」を発射し、日本列島上空を飛び越させました。
中国も歴史認識問題等で反日感情が高まっているし、軍事予算を大幅に増やし、東シナ海油田開発問題や尖閣諸島問題で緊張した関係となっています。
しかし、米国も日本も、理由なくして北朝鮮や他国が攻めてきて、有事が始まる戦争シナリオを持っていません。
現に防衛庁長官を務めた久間章生氏も「北朝鮮が先に攻めてきたり、侵略してくることは現実にはないと思う」(03年6月「朝日」)とか「近い将来本格的な準備を伴う日本への着上陸の可能性は低い」(03年防衛白書)と日本が北朝鮮や他国から一方的に侵略を受ける可能性を否定しています。

ではどんなときに日本が武力攻撃にさらされるのか。
ブッシュ大統領は、イラク、イラン、北朝鮮の三国を「悪の枢軸」と決めつけました。そして、イラクに対してはテロをかくまっているとか大量破壊兵器があるとか口実をつけて戦争をしかけました。この流れからすると、米国の方こそ北朝鮮に対しても戦争を仕掛ける可能性も予想されます。
つまり、何のことはありません。米国が戦争を始めると、米国に全面協力する日本はその報いを受ける。そこで様々な法整備をして日本が侵略戦争の片割れになることに備える。その為の「備えあれば憂いなし」なのです。
米国の戦争の全面協力のために、憲法に自衛力を明記するというわけですから、むしろそうした軍拡の方向でなく、戦争にさせないような方向に米国ともアジア諸国とも関係改善をやっていくべきです。
加藤周一氏は『9条と日中韓』(かもがわブックレットNo.157、本体¥600+税)の中で、次のように例を出して言っています。
「日本の安全を保障するためには、軍備ではなくて、最新式の戦闘機を米軍から買うのではなくて、そんな高いお金を使わないで、田中角栄首相がやったように東京・北京の往復航空券を買って北京へ行って、周恩来首相と会談して、日中共同声明にハンコを押して帰ってくる。費用は往復切符だ。戦闘機よりも安い、そして安全性ははるかに高まります」と。
これまで戦後60年、自衛力に頼って国を守らなくとも、憲法九条で平和を維持してこれたのですから、憲法九条こそ日本の最大の“自衛力”ではないでしょうか。


■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/




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