昨日に引き続き、『文芸春秋』10月号に寄せた寺島実郎氏(財団法人 日本総合研究所会長)の論文「米中二極化『日本外交』のとるべき道~『米国追従』から決別し、真に『自立』するための大原則~」から、その指摘の詳細を見て行きたいと思います。(文責:サイト管理者)
寺島氏は、戦後の日本の内政と外交は世界潮流を見事に反映してきたと言えると分析。「資本主義」対「社会主義」の冷戦構造は、そのまま「自民党」対「社会党」という“55年体制”となって現れたと論文を始めました。
ところが、1989年のベルリンの壁崩壊で冷戦が終結したにも関わらず、90年代の日本は冷戦型の世界認識から脱しきれなかったと指摘。
外交・安全保障面では、冷戦下の産物である「日米安保」が再検討されるどころか、「極東条項」というしばりを拡大解釈する日米防衛協力のための指針「ガイドライン」の見直しまで行われ、米国と併走を一段と進めたといいます。
経済においても米国との併走こそ日本にとっての利益とばかり、1994年以降「年次改革要望書」が米国から示され、金融をはじめとした規制緩和が求められるなか、米国主導のグローバリゼーションに同調させられたと指摘しました。
この90年代の対米協調路線は「9・11」からの21世紀、「米国についていくしか仕方がない」とした小泉純一郎首相の登場でさらに増幅。イラク戦争では米国から「ショウ・ザ・フラッグ」「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と日本の軍事的協力を期待され、外交的な思考停止のままブッシュとともに8年間も走り続けたと。
ところが、「イラク戦争の失敗」「サブプライムローン問題」など、米国の一極支配は崩壊へ。そんな中、台頭してきたのが中国だったと寺島氏はいいます。いまや世界秩序は米中による「G2化(2国主導化)」に向かいつつあると。
しかし残念なことに、これまでの日本の外交政策は世界がG2化している現状を見据えるどころか、冷戦型の世界認識から脱却できていないと言わざるを得ないというのです。
(つづく)
【参考】『文藝春秋』2009年10月号
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