先の通常国会で立憲民主、国民民主両党は2025年の参院選から導入をめざして議員立法「インターネット投票の導入の推進に関する法案」を共同提出しました。
コロナ禍の収束が見えない状況で、自宅にいながら選挙権を行使できるインターネット投票を実現しようとの機運は高まっていると指摘します。一体、どのような内容なのか、メリット・デメリットはなど、2021年9月5日配信「東京新聞」から記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)
※以下、転載はじめ↓
<コロナ禍でネット投票に待望論 野党が法案提出、与党内は賛否交錯>
菅義偉首相が今月末に退陣する方向となったが、コロナ禍の出口が見えない状況は変わらず、自宅にいながら選挙権を行使できるインターネット投票を実現しようとの機運が高まっている。政府の意見公募サイトでは最も高い人気を集め、野党は先の通常国会に、2025年の参院選から導入するための関連法案を提出した。不正投票への懸念などから政府・与党内には慎重論が根強いものの、推進を求める声も出始めている。
▲野党提出のネット投票推進法案の概要
◆メリットは?
国会提出されたのは立憲民主、国民民主両党による議員立法。ネット投票導入を前提に基本方針や工程を定めたプログラム法案だ。
政府内に新設する推進会議で具体的な制度設計や技術上の課題の洗い出しを行い、法施行後1年をめどに結論を国会に報告すると明記。その後、実施法案を策定する。実際に導入する際には、投票用紙を使う現行の仕組みとの併用や、選挙期間中の24時間投票、憲法上の「投票の秘密」を守るための暗号化などの条件を付けた。国会閉会に伴い継続審議になっている。
法案の筆頭提出者で、立民の中谷一馬衆院議員は、エストニアをはじめ欧州に導入例があることを踏まえて「技術的な問題が起きるとは考えづらい」と指摘する。現行法は、有権者自身が投票所に出向くのが原則。例外として、郵便投票などが認められるのは外出困難な重度障害者や海外在住者らわずかにとどまるため「全ての有権者の投票機会を等しく確保することにつながる」と訴える。若年層を中心に投票率上昇も期待できる。
なりすましや、意に沿わない候補者への強制的な投票などの不正に関しては、後から修正できる仕組みとすることで防ぐことは可能だと主張する。
◆与党内「選挙制度で失敗は許されない」
ネット投票に注目が集まる背景には、コロナ禍で外出自粛が常態化していることがある。選挙の投票は「不要不急の外出には当たらない」というのが政府の見解だが、選挙管理事務を担う自治体は感染防止対策を迫られ、負担が増しているのが実態だ。
総務省は海外に住む日本人を対象とした在外投票について、ネット利用の解禁を検討しているが、国内の選挙で全面的に取り入れる議論にはなっていない。与党内でも「選挙制度で失敗は許されない」(自民党中堅)と慎重な意見が大勢を占める。ベテランらの間には、投票用紙になじんだ高齢の支持層の離反を招きかねないとの指摘もある。
それでも、若手議員を中心に前向きな動きが広がっている。超党派の「若者政策推進議員連盟」会長を務める自民党の牧原秀樹衆院議員は、賛成の立場から「政府がオンライン化推進で旗を振る中、選挙だけ別なのは違和感がある」と強調。実効性のある不正防止策を前提に、導入を目指す構えだ。
デジタル社会を進めるため、政府が昨年10月に開設した意見公募サイト「デジタル改革アイデアボックス」では「ネット投票の実現」への支持が最多となった。先の国会では与野党が協力し、コロナ療養者の郵便投票を認める特例法が成立した経緯もあり、世論も背に野党は与党に協議を呼び掛ける考えだ。
【出典】2021年9月5日配信「東京新聞」
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<ネット投票導入へ、推進法案の意義は? 筆頭提出者・中谷一馬衆院議員に聞く>
先の通常国会で立憲民主、国民民主両党が共同提出した議員立法「インターネット投票の導入の推進に関する法案」の内容や意義について、筆頭提出者の立民の中谷一馬衆院議員に聞いた。
コロナ禍の収束が見えない状況で、自宅にいながら選挙権を行使できるインターネット投票を実現しようとの機運は高まっていると指摘します。一体、どのような内容なのか、メリット・デメリットはなど、2021年9月5日配信「東京新聞」から記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)
※以下、転載はじめ↓
<コロナ禍でネット投票に待望論 野党が法案提出、与党内は賛否交錯>
菅義偉首相が今月末に退陣する方向となったが、コロナ禍の出口が見えない状況は変わらず、自宅にいながら選挙権を行使できるインターネット投票を実現しようとの機運が高まっている。政府の意見公募サイトでは最も高い人気を集め、野党は先の通常国会に、2025年の参院選から導入するための関連法案を提出した。不正投票への懸念などから政府・与党内には慎重論が根強いものの、推進を求める声も出始めている。
▲野党提出のネット投票推進法案の概要
◆メリットは?
国会提出されたのは立憲民主、国民民主両党による議員立法。ネット投票導入を前提に基本方針や工程を定めたプログラム法案だ。
政府内に新設する推進会議で具体的な制度設計や技術上の課題の洗い出しを行い、法施行後1年をめどに結論を国会に報告すると明記。その後、実施法案を策定する。実際に導入する際には、投票用紙を使う現行の仕組みとの併用や、選挙期間中の24時間投票、憲法上の「投票の秘密」を守るための暗号化などの条件を付けた。国会閉会に伴い継続審議になっている。
法案の筆頭提出者で、立民の中谷一馬衆院議員は、エストニアをはじめ欧州に導入例があることを踏まえて「技術的な問題が起きるとは考えづらい」と指摘する。現行法は、有権者自身が投票所に出向くのが原則。例外として、郵便投票などが認められるのは外出困難な重度障害者や海外在住者らわずかにとどまるため「全ての有権者の投票機会を等しく確保することにつながる」と訴える。若年層を中心に投票率上昇も期待できる。
なりすましや、意に沿わない候補者への強制的な投票などの不正に関しては、後から修正できる仕組みとすることで防ぐことは可能だと主張する。
◆与党内「選挙制度で失敗は許されない」
ネット投票に注目が集まる背景には、コロナ禍で外出自粛が常態化していることがある。選挙の投票は「不要不急の外出には当たらない」というのが政府の見解だが、選挙管理事務を担う自治体は感染防止対策を迫られ、負担が増しているのが実態だ。
総務省は海外に住む日本人を対象とした在外投票について、ネット利用の解禁を検討しているが、国内の選挙で全面的に取り入れる議論にはなっていない。与党内でも「選挙制度で失敗は許されない」(自民党中堅)と慎重な意見が大勢を占める。ベテランらの間には、投票用紙になじんだ高齢の支持層の離反を招きかねないとの指摘もある。
それでも、若手議員を中心に前向きな動きが広がっている。超党派の「若者政策推進議員連盟」会長を務める自民党の牧原秀樹衆院議員は、賛成の立場から「政府がオンライン化推進で旗を振る中、選挙だけ別なのは違和感がある」と強調。実効性のある不正防止策を前提に、導入を目指す構えだ。
デジタル社会を進めるため、政府が昨年10月に開設した意見公募サイト「デジタル改革アイデアボックス」では「ネット投票の実現」への支持が最多となった。先の国会では与野党が協力し、コロナ療養者の郵便投票を認める特例法が成立した経緯もあり、世論も背に野党は与党に協議を呼び掛ける考えだ。
【出典】2021年9月5日配信「東京新聞」
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<ネット投票導入へ、推進法案の意義は? 筆頭提出者・中谷一馬衆院議員に聞く>
先の通常国会で立憲民主、国民民主両党が共同提出した議員立法「インターネット投票の導入の推進に関する法案」の内容や意義について、筆頭提出者の立民の中谷一馬衆院議員に聞いた。
―法案の狙いは。
「投開票作業における行政コストの効率化や投票の利便性を飛躍的に向上させるメリットもあるが、一番は憲法で保障された参政権を守ることだ。離島や山間部に住む人、病気や障害で投票所までの移動が困難な人もネット投票が可能になれば、全ての有権者の投票機会を等しく確保することにつながる。コロナで明らかに選挙に行けない人たちがいて、投票権をどう守るかを国会議員として考えなければいけない」
―提出に至った経緯は。
「2017年10月の前回衆院選の後から、党内の若手でネット投票ができるような国にしたいと勉強会を重ねてきた。18年5月には検討チームを発足させ、本格的な議論を始めた。不正投票や『投票の秘密』をどう守るかなどの課題について、IT専門家らとも協議し、丁寧な説明を心掛けて先輩議員とも意識の共有を図ってきた。約30回の会議を重ねて、苦節3年でようやく提出できた」
―法案の内容は。
「政府内に推進会議を設けて制度や技術上の課題を検討した上、法施行後1年をめどに実施法を改めて提出し、25年の参院選での導入を目指す。従来の紙での投票をベースに、ネットの活用を追加するイメージだ。公示翌日から投票日前日まで昼夜問わずどこでも投票できることなど、利便性向上に関する6つの条件と、選挙の公正と信頼確保に関する6つの条件を盛り込んだ。これを基に党派を超えて議論したい」
―投票用紙との併用ではコストがかかるのでは。
「鉄道会社が交通ICカードを導入した時も切符と併用させた。導入初期はダブルコストになるが、時間がたつと業務が効率化され、多くの人が便利だからとネット投票に移行していくと考えている。国政選挙でネット投票を導入しているエストニアではネット投票の利用者が全体の4割で、経費は6割削減された」
―導入目標を25年の参院選にした理由は。
「解散時期が読みづらい衆院選と違い、目標となる時期の逆算がしやすく、制度の設計もしやすい。実証実験を経て段階的な実施が必要だと考えており、25年より前に在外投票やコロナ患者に限定して実施することも視野に入る」
―なぜ最初から実施法を出すのではなく、プログラム法にしたのか。
「民主主義の根幹である選挙のルールを大きく変える法案なので、みんなで理解を深めていくプロセスが大切。慎重派は何に不平や不満があるのか、それをどのように解決するのか、丁寧すぎるぐらい議論を重ねる必要があると考えた」
―不正投票などの課題の解決策は。
「本人確認の手段としてデジタル署名という認証方法を使う。エストニアなどでもデジタル署名が破られたという事例は現在までない。データ管理では、改ざんが困難でシステムダウンが起きにくいブロックチェーンの活用が考えられる。ブロックチェーンを活用した電子投票システムは既に韓国などで開発されている。サイバー攻撃などを想定したセキュリティー対策や、投開票システムの安定的な稼働についてはしっかりとコストをかけて対策したい」
―高齢者やネット弱者への対策は。
「投票の操作方法を伝える動画配信や問い合わせ先となるコールセンター設置、役場でのセミナー開催などを行う必要がある。ネット投票は若者のための政策と錯覚されがちだが、エストニアでは若年層より高齢者層の投票率が相対的に高くなった。本当は投票したいけど体調不良や地理的要件のせいで投票できなかった人の活用が進んだ証左だと思う」
―与党にはネット投票導入に慎重な声もある。
「現行の選挙ルールで多数を占める与党として、ゲームのルールが変わることを嫌う傾向はあると推察する。ネット投票の導入には一長一短があるが、有権者の利便性向上や参政権の保障を考えたら導入するメリットがどう考えても上回る。与野党の利害を超えて丁寧に議論したい」
―投票用紙による投票がなくなることが理想か。
「紙をなくしたいとは全く思っていない。紙があったほうが良いという人もおり、みんなが納得できる参政権の多様化を実現することが大切。時代のニーズにあった改善を提案し続けたい」
■【なかたに・かずま】1983年生まれ。川崎市出身。デジタルハリウッド大学院卒。首相秘書、神奈川県議を経て、2017年衆院選で初当選。立民のデジタル政策PT事務局長。
【出典】2021年9月5日配信「東京新聞」
※いま新たな「安倍9条改憲反対!改憲発議に反対する全国緊急署名」にご協力を。
署名はこちら=> =>http://kaikenno.com/?p=255
(安倍9条改憲NO!全国市民アクション)
■これまで取り組んできた「3000万署名」にかえ、あらためて「安倍9条改憲反対!改憲発議に反対する全国緊急署名」に取り組みます。
※「唯一の戦争被爆国 日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」
http://www.antiatom.org/Gpress/wp-content/uploads/2020/10/08e558ee75f3516054b5145b2b1b9440.pdf
2021年1月22日、核兵器禁止条約が発効へ!
引き続き署名国・批准国を増やし、実効性ある条約に!
♯日本政府は核兵器禁止条約に背をむけるな
♯米国など核保有国は核兵器禁止条約に参加、署名・批准を
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*「とだ九条の会」ホームページは2014年11月24日、上記アドレスに引越しました。
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*「とだ九条の会」ブログは2014年11月10日、上記アドレスに引越しました。
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