とだ九条の会blog

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「構造改革」の急先鋒だった中谷巌氏が“懺悔の書”(1)

2009年02月01日 | 国際・政治

2009年1月30日、参院本会議の代表質問で、おりしも自民党・尾辻秀久議員が「小泉構造改革」以来の社会保障費2200億円削減問題を省みて、麻生首相に中止を迫りつつ、政府が開催してきた規制改革会議と経済財政諮問会議について「新自由主義、市場原理主義を唱えていた。日本をアメリカのような国にすればいいと言ってきた。それが間違いだったことは、今回の世界不況が証明した」と述べて両会議の廃止を迫りました。このように政府・自民党でさえ、その代表質問で新自由主義的「構造改革」の誤りを認め始めたわけですが、このほど、2009年1月25日付け「しんぶん赤旗日曜版」に、小渕内閣時代の「経済戦略会議」の一員として、新自由主義的「構造改革」の急先鋒の一翼を担った中谷巌・一橋大学名誉教授が、その自身の誤りを認め「懺悔の書」とも言われる『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社刊)を出版したことについてインタビューに応じた内容が掲載されています。そこで、2回にわたりその概要をご紹介します。(文責:サイト管理者)

中谷氏は、小渕恵三首相の諮問機関「経済戦略会議」(議長・樋口廣太郎アサヒビール名誉会長)の議長代理として、小渕内閣が進めた新自由主義的な「構造改革」の一翼を担った経歴を持っています。
当時(1998年発足)の「経済戦略会議」にはメンバーとして、奥田碩トヨタ自動車社長、鈴木敏文イトーヨーカ堂社長ら大企業のトップや、のちに小泉内閣の閣僚となった竹中平蔵慶応大学教授らも名を連ねていました。

「経済戦略会議」の討議テーマは‥‥
・リスクマネーの育成
・民間活力の活用
・規制の緩和・撤廃
・雇用の流動化
・市場原理と自己責任原則に基づいた自由で創造的な競争社会の構築‥‥
といった内容でした。
これらはのちに、例えば非正規労働者を増やす労働者派遣法の改悪などに具体化されたのはご承知のとおりです。

中谷氏は、同書の“まえがき”で「一時、日本を風靡した『改革なくして成長なし』というスローガンは‥‥新自由主義の行きすぎからくる日本社会の劣化をもたらした」「改革は必要だが、その改革は人間を幸せにできなければ意味がない‥‥かつては筆者もその『改革』の一翼を担った経歴を持つ。その意味で本書は自戒の念をこめて書かれた『懺悔の書』でもある」と書き、インタビューでも「本にも書いたように、当時は、グローバル資本主義や市場至上主義を信じすぎていた。既得権益構造の打破などの主張は今でも間違っているとは思わないが、『構造改革』と新自由主義的思想の跋扈(ばっこ)※、アメリカ型市場原理の導入で、ここまで問題を抱えるとは予想できなかった。だから『自分自身の不勉強、洞察力の欠如に忸怩(じくじ)※たる思い』と書いたのです」と述べています。

(つづく)

【出典】2009年1月25日付け「しんぶん赤旗日曜版」より
『資本主義はなぜ自壊したのか~「日本」再生への提言~』(中谷巌著、集英社刊)
※「跋扈(ばっこ)」=ほしいままに振る舞うこと。また、のさばり、はびこること。
※「忸怩(じくじ)」=深く恥じ入ること。

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