司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

押印廃止と申請意思の有りや無しや

2021-01-06 15:43:18 | 不動産登記法その他
複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法~ 押印をせずに相続税の申告書を提出する場合~ by 国税庁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/pdf/0020012-133.pdf

「2人以上の相続人等がいる場合に相続税の申告書へ押印をしないときは、申告書の提出意思の有無を明らかにするため、申告書第1表及び第1表(続)(以下「第1表等」といいます。)には共同して提出する方のみを記載して提出してください。なお、共同して申告書を提出しない相続人等の方は、別途申告書を作成・提出していただく必要があります」

 なるほど。

 例えば,不動産登記の申請において,仮に登記権利者だから押印省略でよいこととすると,複数の登記権利者がある場合に,各登記権利者の申請意思の有無が明らかではないことになってしまう。

 代理人が申請するときは,委任状が添付されることから,申請意思の有無は明らかであり,例えば,法定相続分で相続登記を申請する場合の登記の申請書において,一部の登記権利者に「(申請人)」を冠記することになるわけであるが,本人申請の場合は,各登記権利者の申請意思の有無が明らかではない場合があり得ることになる。
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民事基本法制の動向2021

2021-01-06 15:00:45 | 民法改正
 本日は,商事法務研究会の令和3年新春会員講演会「民事基本法制の動向」をWEBで視聴。講師は,堂薗幹一郎法務省民事局大臣官房審議官。

 取り立てての情報はなかったが,ひとまず関連情報を一覧にしておく。


第1 はじめに
 令和2年は,通常国会及び臨時国会共に,法務省民事局からの法案提出はなかった。

第2 成立した法律の施行準備等
1 民法(成年年齢関係)の改正
 施行期日は,令和4年4月1日予定。

cf. 民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)(平成30年法律第59号)について by 法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00218.html


2 民事執行法の改正
 令和2年4月1日施行済み(一部は,令和3年4月1日施行予定)

cf. 民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第2号)について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00247.html


3 会社法等の改正
 施行期日は,令和3年3月1日予定(一部は,令和4年度中の施行見込み)。

cf. 会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)について by 法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00001.html

※ 関係政省令は,令和2年11月27日に公布されている。


第3 次期通常国会以降に提出する可能性がある課題等
1 所有者不明土地問題を解決するための 民法及び不動産登記法の見直し
 令和3年通常国会に改正法案が上程される方向である。

cf. 法制審議会民法・不動産登記法部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_00300.html


2 公益信託制度の見直し(平成31年2月法制審答申)
 法制審議会からの答申はされているが,主務官庁の廃止について,関係省庁間の調整がつかず,改正法案の国会上程に至っていない。

cf. 法制審議会~信託法部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingikai_shintaku.html


3 嫡出推定制度,懲戒権の見直し(令和元年6月法制審諮問)
 中間試案の取りまとめ間近である。

cf. 法制審議会 -民法(親子法制)部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi0350004.html


4 民事裁判手続のIT化 (令和2年2月法制審諮問)
 令和2年7月に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」等においては,令和4年中の国会提出を目指すこととされている。

cf. 法制審議会-民事訴訟法(IT化関係)部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003005.html


5 仲裁法制の見直し (令和2年9月法制審諮問)

cf. 法制審議会-仲裁法制部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003006.html


6 離婚後の子の養育の在り方(親権制度,面会交流,養育費等)等に関する見直し
「家族法研究会」「法務省「養育費不払い解消に向けた検討会議」「不払養育費の確保のための支援に関するタスクフォース」において議論がされている。

cf. 母の離婚後の子育てに関する法制度の調査・検討状況について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00054.html


7 担保法制の見直し

cf. 動産・債権を中心とした担保法制に関する研究会
https://www.shojihomu.or.jp/kenkyuu/dou-tanpohousei

※ 金融庁「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」
https://www.fsa.go.jp/singi/arikataken/index.html


8 その他
 電子化に向けた政府の取組( 押印や書面の廃止,ウェブ会議による集会等の開催(株主総会,区分所有者集会)),夫婦の氏の在り方をめぐる動きについての若干の状況説明。
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