共同根抵当権設定(追加)の登記の申請に際しては,いわゆる前登記証明書を添付しなければならない(不動産登記令別表56の項,添付情報欄ロ)。
この場合,「登記事項証明書に代わる情報の送信」として,照会番号を利用することが可能(不動産登記令第11条)であり,登記事項証明書の添付を要しない・・・はずである。
しかし,これを不可とする登記所が,存外に多いらしい(京都地方法務局もその一である。)。
※ 名古屋と大阪は可,東京と横浜は不可,であるそうだ。
なぜか?
不可とする立場は,どうやら,この場合の登録免許税の軽減に関して,登録免許税法第13条第2項の「財務省令で定める書類を添付」して申請するものに限るものとされている点について,同法施行規則第11条の規定により,登記事項証明書を添付しなければならないものと解しているようである。この立場は,前登記証明書に代わるものとして照会番号を利用することは可能であるが,登録免許税の軽減を受けるには,登記事項証明書を添付しなければならないという論理なのであろう。
ん~。
デジタル・ガバメントが推進されている折に,不動産登記を所管する肝腎の登記所が,「添付の根拠が異なる」という理由で,「登記事項証明書を添付せよ」というのは,おかしいのではないか。
ところで,令和元年12月16日に施行された「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第16号)により,行政機関等は,添付書類の省略等を推進することとされている。
そして,この法律の施行に伴い,関係法律及び関係政令の規定に基づき,並びに関係法律を実施するため,国税関係法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する省令等の一部を改正する省令(令和元年財務省令第36号)によって,登録免許税法の一部改正がされている。
(登録免許税法施行規則の一部改正)
第五条 登録免許税法施行規則(昭和四十二年大蔵省令第三十七号)の一部を次のように改正する。
第二条の二第二項を削り、同条第三項中「前二項」及び「第一項」を「前項」に改め、同項を同条第二項とする。
第十一条中「は、」の下に「登記事項証明書その他の書類で」を加え、「書類と」を「ものと」に改める。
第二十七条中「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条第一項(電子情報処理組織による申請等)の規定又は不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第十八条(申請の方法)(他の法令において準用する場合を含む。)の規定により」を削り、「を受ける者又は」を「の申請を行う者又は嘱託を行う」に、「登記等の」を「当該登記等の」に改める。
なお,上記改正は,「第2条の2」の改正(令和2年10月1日施行)を除き,令和元年12月16日から施行されている。
改正後の条文は,次のとおりである。
登録免許税法施行規則
(共同担保の登記等の場合の税率の特例の適用を受けるための書類)
第11条 法第13条第2項に規定する財務省令で定める書類は、登記事項証明書その他の書類でその登記又は登録に係る債権金額につき既に同条第1項に規定する抵当権等の設定登記等を受けている旨を証するものとする。
(電子情報処理組織を使用した場合の添付書類の提出)
第27条 電子情報処理組織を使用して登記等の申請を行う者又は嘱託を行う官庁若しくは公署は,法第4条第2項の規定その他の登録免許税に関する法令の規定により書類を添付して当該登記等の申請又は嘱託を行う場合には,当該書類を当該登記等に係る登記機関の定めるところにより登記官署等に提出しなければならない。
改正後の登録免許税法施行規則によれば,同規則第11条の「登記事項証明書その他の書類で・・・証するもの」については,同規則第27条では,「当該書類を当該登記等に係る登記機関の定めるところにより登記官署等に提出しなければならない」とあるところであり,登記事項証明書は,「その他の『書類』」の例示に過ぎない。
この改正の趣旨からすれば,登記機関である法務局を所管する法務省が,登録免許税法第13条第2項の「財務省令で定める書類」については,「照会番号で可」と定めればよいのではないか。
わざわざ不動産登記令や不動産登記規則の改正によらなくても,民事第二課長通知,補佐官事務連絡等により,そのような解釈を示せば足りるであろう。
「いや既にそういう理解だが,現場に浸透していなかっただけ」と言われるかもしれないが。
cf. 平成20年2月9日付け「照会番号(不動産登記令第11条)について」
この場合,「登記事項証明書に代わる情報の送信」として,照会番号を利用することが可能(不動産登記令第11条)であり,登記事項証明書の添付を要しない・・・はずである。
しかし,これを不可とする登記所が,存外に多いらしい(京都地方法務局もその一である。)。
※ 名古屋と大阪は可,東京と横浜は不可,であるそうだ。
なぜか?
不可とする立場は,どうやら,この場合の登録免許税の軽減に関して,登録免許税法第13条第2項の「財務省令で定める書類を添付」して申請するものに限るものとされている点について,同法施行規則第11条の規定により,登記事項証明書を添付しなければならないものと解しているようである。この立場は,前登記証明書に代わるものとして照会番号を利用することは可能であるが,登録免許税の軽減を受けるには,登記事項証明書を添付しなければならないという論理なのであろう。
ん~。
デジタル・ガバメントが推進されている折に,不動産登記を所管する肝腎の登記所が,「添付の根拠が異なる」という理由で,「登記事項証明書を添付せよ」というのは,おかしいのではないか。
ところで,令和元年12月16日に施行された「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第16号)により,行政機関等は,添付書類の省略等を推進することとされている。
そして,この法律の施行に伴い,関係法律及び関係政令の規定に基づき,並びに関係法律を実施するため,国税関係法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する省令等の一部を改正する省令(令和元年財務省令第36号)によって,登録免許税法の一部改正がされている。
(登録免許税法施行規則の一部改正)
第五条 登録免許税法施行規則(昭和四十二年大蔵省令第三十七号)の一部を次のように改正する。
第二条の二第二項を削り、同条第三項中「前二項」及び「第一項」を「前項」に改め、同項を同条第二項とする。
第十一条中「は、」の下に「登記事項証明書その他の書類で」を加え、「書類と」を「ものと」に改める。
第二十七条中「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条第一項(電子情報処理組織による申請等)の規定又は不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第十八条(申請の方法)(他の法令において準用する場合を含む。)の規定により」を削り、「を受ける者又は」を「の申請を行う者又は嘱託を行う」に、「登記等の」を「当該登記等の」に改める。
なお,上記改正は,「第2条の2」の改正(令和2年10月1日施行)を除き,令和元年12月16日から施行されている。
改正後の条文は,次のとおりである。
登録免許税法施行規則
(共同担保の登記等の場合の税率の特例の適用を受けるための書類)
第11条 法第13条第2項に規定する財務省令で定める書類は、登記事項証明書その他の書類でその登記又は登録に係る債権金額につき既に同条第1項に規定する抵当権等の設定登記等を受けている旨を証するものとする。
(電子情報処理組織を使用した場合の添付書類の提出)
第27条 電子情報処理組織を使用して登記等の申請を行う者又は嘱託を行う官庁若しくは公署は,法第4条第2項の規定その他の登録免許税に関する法令の規定により書類を添付して当該登記等の申請又は嘱託を行う場合には,当該書類を当該登記等に係る登記機関の定めるところにより登記官署等に提出しなければならない。
改正後の登録免許税法施行規則によれば,同規則第11条の「登記事項証明書その他の書類で・・・証するもの」については,同規則第27条では,「当該書類を当該登記等に係る登記機関の定めるところにより登記官署等に提出しなければならない」とあるところであり,登記事項証明書は,「その他の『書類』」の例示に過ぎない。
この改正の趣旨からすれば,登記機関である法務局を所管する法務省が,登録免許税法第13条第2項の「財務省令で定める書類」については,「照会番号で可」と定めればよいのではないか。
わざわざ不動産登記令や不動産登記規則の改正によらなくても,民事第二課長通知,補佐官事務連絡等により,そのような解釈を示せば足りるであろう。
「いや既にそういう理解だが,現場に浸透していなかっただけ」と言われるかもしれないが。
cf. 平成20年2月9日付け「照会番号(不動産登記令第11条)について」