タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

不育症の多くは原因不明です

2016-03-28 21:03:20 | 不妊症

上の写真は丹波市春日町の蘭香(らんか)ちゃん、2月12日生まれ。
「元気良く、よく笑って、人に優しく、女の子らしく育ってください。
赤ちゃんの声が聞こえた時は、泣きそうでした。
本当によくしてもらって助かりました。優しく何でも教えてもらいました。」

お母さんも笑顔が素敵でしたから、
自分の赤ちゃんにもそうなって欲しいのですね。
自分の子供には、自分の理想を求めてしまうものですからね。
もしも理想とは違ったとしても、それは子供の個性で有るのかもしれませんからね。
余裕を持って、未来を開拓してあげられるといいですね。

さて今日は、不育症のお話にしましょうか。
このブログでは何度も専門的なお話はしているのですが、
あまり専門的にお話しても、興味を引かないかもしれませんね。

先ほども外来で、何度か流産した後に、ヘパリン療法を行っている患者さんが来院されました。
今までは妊娠初期の流産の繰り返しでしたが、今回は妊娠中期まできましたからね。
毎回、ご夫婦で妊婦健診に来られます。
それだけ期待が大きいのでしょう。

ヘパリン療法は数年前にようやく保険適応となった治療法です。
タマル産にも常備してありますからね。
朝と夜に自分で自分に注射する自己注射というものです。
最近の糖尿病のインスリン注射のように簡単なキットにはなっておらず、
注射器に針を付けて、空気を抜くという作業は必要になります。
ヘパリンは血液が固まりにくくする薬なので、
注射部位が青あざになるのが、ちょっと困ったことでしょうか。

他にも先日来院された女性は、タマル産で何度か流産しておられました。
その前にも他院で流産されていました。
その時に染色体の検査等まで検査しているのですが、その後大阪の病院に通われていたようで、
タマル産での標本が借りたいということでしたよ。
もちろんすぐに貸し出しました。ちゃんと整理はできているのです。
他に原因が有ると思われたのでしょうね。

不育症のカップルは、たまに居られるのですが、それほど多いわけではありません。
それで今回、妊娠が順調に経過しているのが、ヘパリンによるものか、
たまたまなのか、それは大きな統計を取らないと分からないことですね。
ですが、流産が続くと、たとえ原因不明でも治療してみたくなるのではないでしょうか。
実際、効果的だと言われていますからね。

ただし本来は、抗リン脂質抗体やプロテインS欠乏症、
血液の凝固因子の1つであるXII因子の欠乏症などの時には効果的なのですが、
不育症の多くは原因不明であって、効果的とは言えないような場合でも使用されているのが現状です。
不育症の原因は検索しても65%は原因不明なのですよ。
それでも一通り原因検索はしますよ。
でも分からないことの方がよっぽど多いのです。
この事実を受け入れなければなりません。

だから原因を見つけて、それに合った治療をするというよりは、
モチベーションを持たせてあげて次の妊娠を試みさせてあげるのが、
医療者としては正解なのだとされています。

ただし私の意見は少し違いますよ。
不育症もやはりタバコが原因のことが多いと考えています。
これはいつもお話していますね。
本人とは限らず、ご主人が喫煙者でも大きく影響します。
その次が年齢です。高齢になるほど流産率は上がります。
そして感染性流産。性感染症が必ずしも陽性にならなくても、
若いのに子宮の入り口にびらんが無く、閉じているような女性も居られますからね。
このあたりは経験的なことからです。

とにかく諦めない、という姿勢が大切でしょうね。


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