最近生まれた赤ちゃんとお父さん方ですよ。
もう退院されてしまいましたが。
1週間なんて、あっという間ですね。
それでもお産での入院は、日本ほど長い国は無いのですよね。
里帰りという習慣も、日本だけのものなのですね。
タマル産では、初産婦さんで7日間、経産婦さんで6日間の入院としています。
陣痛が長引いて、2日かかっても、追加費用はいただいていないのですよ。
それに深夜でも休日でも追加の費用は要りません。
個室料も無料ですから、これだけでかなりお得ですね。
ところで先週お産で入院されていた母子は2組だったのですが、
2組のお母さん共に、タマル産での不妊症の治療後に妊娠された方だったのです。
1人のお母さんは、人工授精の6回目での妊娠でした。
もう1人は、早い時期での人工授精だったと思います。
今朝の不妊外来でも2回目の人工授精で妊娠反応が陽性になりました。
そういう意味では目標の6回までは継続して、不妊治療は途中で断念してはいけませんね。
人工授精は、よく体外受精と勘違いされますが、
体外受精が最終の治療なのに対して、人工授精は最初にする治療なのですね。
体外受精は侵襲的な治療なのに対して、人工授精は保存的で、非侵襲的な治療とされます。
ですが「人工的」という言葉に引っかかる方が多くて、
とくに男性は嫌がることが多いのですよ。
でもね、これが最初の治療なのです。
ただしいきなりはしなくて、まずタイミング療法から始めます。
年齢的に余裕が有れば、3ヶ月くらいはタイミング療法をしますが、
余裕が無ければ1ヶ月しかタイミングは取らないことも有ります。
その次にはタマル産では、飲み薬の排卵誘発剤を使うことが多いです。
これはとばしても良いのですが、いきなり注射剤は躊躇されることが多いからです。
そして注射剤の排卵誘発剤と一緒に、人工授精をするのです。
この治療は、何も私が考えたものではなく、日本産婦人科学会のレジメに倣った、標準的な治療法の順番です。
それで、むかしは人工授精は何となく、6回くらいまでが良いとされていましたが、
7回以上することも多かったのです。
むかしというのは、まだ体外受精がそれほど一般的ではなく、
保存的な治療が優先されていた時代だったからです。
だから回を重ねて、やっと7回目の人工授精で妊娠した、という女性も多かったのです。
ですが最近では、体外受精を念頭に置いた治療計画を立てる必要が有ります。
ですから40歳以上では2回まで、35歳以上では4回まで、
34歳までは6回まで、というのが標準的な人工授精の回数です。
それでダメなら体外受精を勧めるのですね。
タマル産では20年近く、あるいは京大病院や天理よろづの不妊外来を担当してきて、
保存的な方法だけでも、けっこう妊娠できるものなのだなあと感じていますよ。
もちろん治療女性の高齢化とともに、体外受精に行こうされる方は増えましたが、
それでも体外受精まで紹介しないといけないカップルの方が、ずっと少ないのです。
赤ちゃんが欲しくなったら、ためらわずに不妊外来の門を叩いてください。
そして1年間だけ、我慢してついてきてくださいね。
体外受精が必要なカップルではさらにもう1年までは我慢してください。
数回、妊娠反応が陽性にならなかったとしても、必ずゴールを目指してください。
ただし、回数は念頭に置いて。
先日、他院で体外受精を10回以上も受けているという女性を見ました。
もう治療は断念するか、病院を変えてもう数回だけするかとアドバイスしましたよ。
確かに妊娠できない方も、ある一定の割合では有るのは事実ですからね。