タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

2017年の帝王切開率は7.7%でした

2018-01-10 20:38:01 | 産科
今日は年の初めですので、
昨年1年間の分娩の状況をお知らせすることにします。
ブログを読んでくださっている方は記憶に有るかもしれませんが、
毎年の年始には、1年のまとめをしているのですよ。
包み隠さずお知らせ致しましょう。

まず最近の分娩数ですが、でこぼこは有りますが、
徐々にではありますが、タマル産で生まれる赤ちゃんの数は減少してきています。
2012年は特別に分娩数が多かったのですが、
これは兵庫医大さんが、突然お産を中止された年だったからです。
2016年も多めでしたが、こちらは原因不明ですね。

それでグラフの青い部分が経膣分娩された方の数です。
紫色の部分は、帝王切開で産まれた方の数です。
タマル産では帝王切開の人って、すごく少ないのが分かりますか?
普通はこんなグラフではないのですよ。
日本の病院はどこも帝王切開率は、10人に3人くらいですからね。
日本の診療所では10人に1人くらいでしょう。
平均して日本では10人に2人くらいですよ。20%くらいというところです。

それでタマル産では、2017年は168人のうちの13人が帝王切開になられて、
率で言うと、7.7%です。
開業して19年ですが、この間ずっと、5〜8%の間で推移しているのです。
10人中、0.5人から0.8人ということになります。
毎月、1人くらいしか帝王切開になっていないのですよ。
ただし緊急で母体搬送して、他院で帝王切開なられた方が居られます。
それでも、他院で帝王切開になられて、次にタマル産で経膣分娩された方も居られるので、
帝王切開率は変わりません。

次に、帝王切開になられた方の内訳です。
13人のうちで、2人が前回も帝王切開で、繰り返しの帝王切開です。
前回が帝王切開でも、経膣分娩されたお母さんも居られます。
13人のうちで、残る11人のお母さんは、胎児ジストレスと言って、
陣痛の途中で胎児の状態が悪くなり、緊急で帝王切開したお母さんです。

と言うことは、予定での帝王切開は2人だけで、
残りの11人のお母さんは、帝王切開にはなりましたが、陣痛は経験されたということになります。
ですからタマル産では、陣痛を知らないお母さんは、ほとんど居られないということになります。
他院では、予定の帝王切開って、すごく多いのですよ。
骨盤の写真を撮って、狭い場合は、陣痛さえ経験できずに、
帝王切開の予定が入れられてしまうのですからね。

どうです?他院でもし産めそうにないと言われても、
諦めないで陣痛を経験されると、もしかして産めるかもしれませんよ。

総合的に考察すると、タマル産で予定で帝王切開するのは、
前回が帝王切開の場合と、骨盤位の場合が代表です。
あとまれに、前置胎盤ということも有りますが、滅多に有りません。
それは前置胎盤の原因の1つが、既往の帝王切開だからです。
タマル産では帝王切開が少ないために、前置胎盤も少ないからです。
昨年は骨盤位のお母さんも、経膣分娩されたので、
予定の帝王切開の原因にはなっていませんでしたよ。

結論として、帝王切開が少なくなれば、
お産の時の大量出血が少なくなります。
だって、帝王切開って、たくさん出血するのですよ。
出血が多くなければ、輸血することも多くなります。
タマル産では、実際に帝王切開だけでなく、
輸血までするお母さんもすごく少ないのです。
これは各施設が発表している数字で比較できるので、分かるのです。
お産で生命を落とすのは、一番が出血関連ですから、
帝王切開が減れば、危険も下がるというわけですよ。

もちろんお産でリスクをゼロにすることは不可能です。
それでもリスクを可能な限り下げる努力は、必要だと思うのですよ。