上の写真は丹波市氷上町の琥俄(らいが)くん、2月6日生まれ。
「強く、たくましく育ってください。
病院に来て、1時間ほどで生まれてきて、軽いお産でした。
お料理がとてもおいしかったです。」
下の写真は、今日退院された赤ちゃんのファミリーです。
今日は赤ちゃんが3人も生まれて、しかもたいへんなお産ばかりで、実のところヘトヘトです。
あるお母さんは、よその病院だったら帝王切開になっていたでしょうね、と言われていました。
どこの病院でも、赤ちゃんは助産師さんが取り上げるのでしょうが、
タマル産では、医師1人で分娩介助しますからね。
ですが開業産婦人科では、それも珍しいことではありませんけれど。
それでは今日は、横位(おうい)のお話を致しましょう。
いつ有ったとか言うと、これまた個人情報の漏出だと言われるので注意しないといけませんね。
ですので一般的なお話として。
だいたい辞書で横位で調べてみても出てきませんでした。
医学用語なわけです。
頭から生まれるのを頭位(とうい)、お尻から生まれるのを骨盤位(こつばんい)、
足から生まれるのを足位(そくい)と言います。
足位は骨盤位の1つだと考えられますね。
だって片方の足だけ伸ばしていることも有りますから。
その場合はもう一方の足はバレリーナのように、顔の前に挙げているのですね。
そして横位とは、背中、あるいはお腹を子宮の出口に向けていることを言います。
ただしこの場合は、絶対に生まれませんから、回転させて頭か足をつかんで生ませてあげます。
膣から術者が子宮の中に手を入れて赤ちゃんを回転させるのが、内回転術です。
お腹の上から手探りで回転させるのが、外回転術です。
いずれにしても、けっこう原始的ですよね。
最近の海外ドラマで、「アウトランダー」というのが有るのですが、
女医さんが、過去にタイムスリップして、外回転術をするシーンが有るのです。
これはどうもリアル過ぎて、私は見ていられませんでしたよ。
それで実際には横位を認めれば、予定日までもたずに破水しやすいので、予定で帝王切開を行うのです。
破水してしまうと、へその緒が脱出して、胎児ジストレスあるいは胎児死亡の原因になるからです。
帝王切開の時に、切開創から手を入れて、とりあえず何かを掴んできます。
頭をつかむとツルツルしてすべってしまうのです。
手を引っ張れば、絶対に生まれません。横位を助長するだけですから。
足をつかめればしめたものです。骨盤位として生ませてあげることができるからです。
お尻から背中までは、赤ちゃんは痩せているので、ツルリと出てきます。
両肩が幅広くて引っかかるので、片方ずつ肩をはずします。
外し方は、横8の字法と、上肢解出術という2通りの方法が有ります。
肩の次は、頭も引っかかりやすいのです。
頭は、ファイトスメリーという方法と、ブラッハト法という方法が有るのです。
このすべての方法に慣れ親しんでいないと、いざという時に役に立ちません。
今の産婦人科の若い先生方は、骨盤位を経膣的に取り上げたことのない先生がほとんどでしょうから、
普段は帝王切開ばかりしておられるはずです。
そして横位という非常にめずらしい状況に出くわしたならば、
これら一連の手技ができるのかと、少し心配になりますね。
できることなら、設備が整った大病院ほど、
骨盤位は経膣的に生ませてあげてほしいものです。
そうすることで横位にも対応できる力を養えるというものだと思うのですよ。
そうは言ってもタマル産でも、ここ数年は骨盤位のお母さんには帝王切開をしていただいています。
以前は、産むことをお勧めしていたのですが、皆さんの意識の変化に対応してのことですよ。