豆の育種のマメな話

◇北海道と南米大陸に夢を描いた育種家の落穂ひろい「豆の話」
◇伊豆だより ◇恵庭散歩 ◇さすらい考
 

日章旗への書き込み

2014-11-04 09:03:38 | さすらい考

オリンピックやFIFAワールドカップの試合などで,国旗(日章旗)に選手の名前や激励の言葉を書き込んで応援する熱狂フアンの姿を見掛ける。もちろん小生も日本代表を熱烈応援するが,テレビ画面に「国旗への書き込み」を大写しされると,不快感を覚え一歩身を引いてしまう。そして,彼らには「日章旗が国旗である」との認識があるのだろうかと疑ってしまう。

同時に,「国旗への書き込みを」を見た外国人は日本人の異質な慣習(文化)に戸惑っているのではないか,と些か心配になる。海外諸国において,「国旗への書き込み」事例を見たことはない。どこの国でも国旗・国歌は国の象徴として敬われ,尊厳の気持ちを持って取り扱い,教育現場でもそう教える。

例えば,だいぶ昔アルゼンチンで暮らす機会があったが,その折の印象が蘇る。息子たちが通っていた小学校では朝礼時に生徒の代表者が国歌斉唱に合わせ国旗を掲揚していた。国旗を見上げる生徒達の瞳が何と清々しかったことか。印象的であった。

また,オーストラリアの穀物技術研究所を訪問した際に,前庭の国旗掲揚塔にオーストラリア国旗と並び日章旗が掲揚されているのを見た。日本からのミッション来訪を歓迎する意味合いである。会議室の机上にも両国の小旗が飾ってある。国賓を迎える時はもっと徹底しており,どこの国でも歓迎の心を込めて宿舎までの沿道に同国の国旗を掲げる。また,会議場でも国旗を掲げ,礼を尽くす。これが,正式儀礼であり,心遣いと言うものだろう。

その後も,仕事で中国やマレーシア等アジア諸国を訪問する機会があったが,これら国々の国公立機関でも国旗を掲揚し,国旗に対する尊厳を表していた。また,南米のパラグアイ,チリ,ブラジルなどラテン諸国でも国旗に対する意識は特別なものであった。それに比べて,日本では国旗に対する概念が希薄になっているのではないかと憂える。

ところで,日章旗への書き込みであるが,過去になかった訳ではない。出征兵士に送った「武運長久を祈る」寄せ書きの事例である。この場合は,中央の日の丸を汚さず,白地の部分にのみ書き込みがされていた。そして,この日章旗は懐に収めて身を護り武運を願うものだったのではないか。大衆の前で士気を鼓舞するために使うようなものではあるまい。

◆国旗及び国歌に関する法律

因みに,日章旗は「日の丸のデザイン規格制定」(明治3年1月27日太政官布告第57号,商船規則)によって定められ,国旗として長く使われ,慣習法として定着してきたものである。第二次世界大戦以降日章旗に対する多くの議論があったが,平成11年8月13日「国旗及び国歌に関する法律(日法律第127号)」が公布・施行され,現在に至っている。同法律は,第一条「国旗は日章旗とする」,第二条「国歌は君が代とする」と極めてシンプルな表現で定められている。

公布に当って,小渕恵三内閣総理大臣は「・・・21世紀を目前にして,今回,成文法でその根拠が明確に規定されたことは,誠に意義深いものがあります。国旗と国歌は,いずれの国でも,国家の象徴として大切に扱われているものであり,国家にとって,なくてはならないものであります。また,国旗と国歌は,国民の間に定着することを通じ,国民のアイデンティティーの証として重要な役割を果たしているものと考えております・・・」と談話を発した(平成11年8月9日)。

◆国旗損壊罪

法律の専門家でないので詳しくは承知しないが,世界の多くの国には「国旗損壊罪」なる法律があるそうだ。わが国でも,刑法92条で「外国に対して侮辱を加える目的で,その国の国旗その他の国章を損壊し,除去し,または汚損したる者は,2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」とあり,二項には「前項の罪は,外国政府の請求がなければ公訴を提起することができない」なっているが,わが国の国旗は対象外だと言う(器物損壊罪が適用された事例はある)。日章旗を含めず,外国国旗に対してのみ刑法規定する,この曖昧さは何だろう。「気兼ねする日本人」という卑屈な構図なのか。

まあ大事なのは,損壊罪云々より,国旗を国の象徴として敬う教育や国民意識なのかもしれない。自然体で・・・。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 国民の祝日と国旗掲揚 | トップ | 恵庭の彫像-11,茂漁川のレリ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

さすらい考」カテゴリの最新記事