恵庭市中島町4丁目,黄金中島通りに「鮭の一生」を描いたレリーフがある。漁川との合流点から茂漁川を約500m遡った若草一号橋付近だ。「茂漁川河川緑地」のプレートがあるので,その完成を記念して創られたものかもしれない。若草橋の完成が昭和63年(1988)12月になっているから,この時期のものだろう。
写真のように8枚の図柄に分かれており,鮭の一生を描いている。卵から孵化して海に向かって泳ぎ下る姿(4枚)は茂漁川下流を向き,海から戻り産卵に至る4枚は上流を向いて描かれている。路傍のレリーフは教育的である。
改めて写真を見ると,歩道の雑草が少し気になるが,なかなかの出来栄えだ。鮭は躍動的でそれぞれに物語が感じられる。足を止めて眺める人はいないだろうが,路傍の作品は其処にあるだけで価値がある。住民の心を癒してくれるから。
◆茂漁川
因みに,漁川,その支流である茂漁川は古来より鮭が遡上する清らかな河川であった。恵庭に暮らす人々の命と暮らしを育んできた。開発局札幌建設部等の資料によれば,以下のような河川改修の経過があったと言う。
「朝鮮戦争時にアメリカ軍が行った「北海道大演習場」での訓練等で漁川・茂漁川などが荒廃したため,昭和30年代に防衛庁の補助事業として三面張りの防災工事を行い直線水路にしたが,治水安全度は低下し度重なる洪水被害があった。その反省から,街と共生する河川,
潤いある水辺空間の創出を目指し,昭和61年(1986)から河川改修が行われた。茂漁川は平成2年(1990)「ふるさとの川モデル事業」の認定を受け,「素顔の水辺づくり」をテーマに整備を進めた。即ち,川底に自然の土や石を戻し,水際に柳を植えるなど緑化護岸を行い,緑豊かな河川に改修し,平成9年(1997)に完成。水中にはバイカモが可憐な花を咲かせ,水辺の散策路は散歩やランニングコースとして市民の人気が高い。平成19年度土木学会デザイン賞2006優秀賞を受賞」
11月初旬,秋も終わり,初雪が舞いそうな寒い日に茂漁川を訪れた。水辺の草木は枯れていたが,ドウダンツツジは未だ真紅に残り,梅花藻は水中の流れに揺れていた。上流の公園付近に架かる橋はそれぞれ異なる造形で彩られている(写真)。
せせらぎが戻った住宅景観は,恵庭の誇りとしてこれからも大事にしたいものだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます