集歌3980 奴婆多麻乃 伊米尓婆母等奈 安比見礼騰 多太尓安良祢婆 孤悲夜麻受家里
訓読 ぬばたまの夢(いめ)にはもとな相見れど直(ただ)にあらねば恋ひやまずけり
私訳 漆黒の夜の夢には空しくも貴女に逢えるが、直接、逢えなければ、貴女への恋心は止まない。
集歌3981 安之比奇能 夜麻伎敝奈里氏 等保家騰母 許己呂之遊氣婆 伊米尓美要家里
訓読 あしひきの山き隔(へな)りて遠けども心し行けば夢(いめ)に見えけり
私訳 足を引く険しい山を隔てて遠いけれども、心を通わせれば夢に逢いました。
集歌3982 春花能 宇都路布麻泥尓 相見祢波 月日餘美都追 伊母麻都良牟曽
訓読 春花のうつろふまでに相見ねば月日数(よ)みつつ妹待つらむぞ
私訳 春花が散りゆく季節までに私に逢えないと、中上がりまでの月日を数えながら愛しい貴女は私を待っているでしょう。
右、三月廿日夜裏、忽兮起戀情作。大伴宿祢家持
左注 右は、三月廿日の夜の裏(うち)に、忽(たちま)ちに戀の情(こころ)を起して作れり。大伴宿祢家持
立夏四月、既經累日、而由未聞霍公鳥喧。因作恨謌二首
標訓 立夏の四月に、既に累日(るいにち)を經て、由(なほ)未だ霍公鳥(ほととぎす)の喧(な)くを聞かず。因りて作れる恨(うらみ)の謌二首
集歌3983 安思比奇能 夜麻毛知可吉乎 保登等藝須 都奇多都麻泥尓 奈仁加吉奈可奴
訓読 あしひきの山も近きを霍公鳥(ほととぎす)月立つまでに何か来鳴かぬ
私訳 葦や檜の生える山も近いのにホトトギスよ、立夏の月が立つまでどうして来て鳴かぬ。
集歌3984 多麻尓奴久 波奈多知波奈乎 等毛之美思 己能和我佐刀尓 伎奈可受安流良之
訓読 玉に貫く花橘を乏(とも)しみしこの我が里に来鳴かずあるらし
私訳 薬玉に貫く花橘が少ないと、この私が住む里に来て鳴かないのだろう。
霍公鳥者、立夏之日来鳴必定。又越中風土、希有橙橘也。因此、大伴宿祢家持、感發於懐、聊於裁此謌。
三月廿九日
左注 霍公鳥は、立夏の日に来鳴くこと必定なり。又、越中の風土は、橙橘のあること希なり。此に因りて、大伴宿祢家持、感(おもひ)を懐(こころ)に發して、聊(いささ)かに此の謌を裁(つく)れり。
三月廿九日
訓読 ぬばたまの夢(いめ)にはもとな相見れど直(ただ)にあらねば恋ひやまずけり
私訳 漆黒の夜の夢には空しくも貴女に逢えるが、直接、逢えなければ、貴女への恋心は止まない。
集歌3981 安之比奇能 夜麻伎敝奈里氏 等保家騰母 許己呂之遊氣婆 伊米尓美要家里
訓読 あしひきの山き隔(へな)りて遠けども心し行けば夢(いめ)に見えけり
私訳 足を引く険しい山を隔てて遠いけれども、心を通わせれば夢に逢いました。
集歌3982 春花能 宇都路布麻泥尓 相見祢波 月日餘美都追 伊母麻都良牟曽
訓読 春花のうつろふまでに相見ねば月日数(よ)みつつ妹待つらむぞ
私訳 春花が散りゆく季節までに私に逢えないと、中上がりまでの月日を数えながら愛しい貴女は私を待っているでしょう。
右、三月廿日夜裏、忽兮起戀情作。大伴宿祢家持
左注 右は、三月廿日の夜の裏(うち)に、忽(たちま)ちに戀の情(こころ)を起して作れり。大伴宿祢家持
立夏四月、既經累日、而由未聞霍公鳥喧。因作恨謌二首
標訓 立夏の四月に、既に累日(るいにち)を經て、由(なほ)未だ霍公鳥(ほととぎす)の喧(な)くを聞かず。因りて作れる恨(うらみ)の謌二首
集歌3983 安思比奇能 夜麻毛知可吉乎 保登等藝須 都奇多都麻泥尓 奈仁加吉奈可奴
訓読 あしひきの山も近きを霍公鳥(ほととぎす)月立つまでに何か来鳴かぬ
私訳 葦や檜の生える山も近いのにホトトギスよ、立夏の月が立つまでどうして来て鳴かぬ。
集歌3984 多麻尓奴久 波奈多知波奈乎 等毛之美思 己能和我佐刀尓 伎奈可受安流良之
訓読 玉に貫く花橘を乏(とも)しみしこの我が里に来鳴かずあるらし
私訳 薬玉に貫く花橘が少ないと、この私が住む里に来て鳴かないのだろう。
霍公鳥者、立夏之日来鳴必定。又越中風土、希有橙橘也。因此、大伴宿祢家持、感發於懐、聊於裁此謌。
三月廿九日
左注 霍公鳥は、立夏の日に来鳴くこと必定なり。又、越中の風土は、橙橘のあること希なり。此に因りて、大伴宿祢家持、感(おもひ)を懐(こころ)に發して、聊(いささ)かに此の謌を裁(つく)れり。
三月廿九日
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