竹取翁と万葉集のお勉強

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万葉集 集歌2851から集歌2860まで

2022年02月11日 | 新訓 万葉集
寄物陳思
標訓 物に寄せて思を陳べたる
集歌2851 人所見 表結 人不見 裏紐開 戀日太
訓読 人し見る表(うへ)し結びて人し見ぬ裏紐(したひも)開けて恋ふる日ぞ多(おほ)き
私訳 人が見る上着の紐はきちんと結んでいますが、人が見ることの出来ない下着の紐を解き開けて、夜の夢の中に貴方と恋の行為をする日々が多いことです。
注意 原文の「戀日太」の「戀」は、感情としての「恋」ではなく、行動としての「恋の行い」と解釈しています。集歌2854の歌の「戀」の解釈も同等です。

集歌2852 人言 繁時 吾妹 衣有 裏服牟
訓読 人言(ひとこと)し繁き時には吾妹子し衣(きぬ)しありせば裏し着ましを
私訳 人の噂がうるさいときには、私の愛しい貴女が衣でしたら、人目に付かないように肌身を合わせる下着として着けるのに。

集歌2853 真珠眼 遠兼 念 一重衣 一人服寐
訓読 真珠(またま)まな遠(をち)をし兼ねて思へこそ一重(ひとへ)し衣(ころも)一人着て寝(ぬ)れ
私訳 美しい珠のような目で遠くを見るように、心を凝らして貴方を想い、一枚の衣を独りで掛けて夜を寝ます。
注意 原文の「真珠眼」の「眼」は、一般に「服」の誤字として「真珠つく」と訓みますが、ここでは原文のままに訓んでいます。

集歌2854 白細布 我紐緒 不絶間 戀結為 及相日
訓読 白栲(しろたへ)し我が紐し緒し絶えぬ間(ま)に恋結びせむ逢はむ日までに
私訳 白い栲の夜着の私の紐の緒が切れないうちに、恋の行いの約束をしましょう。次に逢える日まで。

集歌2855 新治 今作路 清 聞鴨 妹於事牟
訓読 新墾(にひはり)し今作る路(みち)さやかにも聞きてけるかも妹し上(へ)しことを
私訳 新しく切り開いた今作った道が清らかであるように、さやに(=はっきりと)聞きました。貴女が新しく路を作るように、時を迎え女性になったという身の上の出来事を。

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