読書日記

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民族化する創価学会 島田裕巳 講談社

2008-11-20 21:24:45 | Weblog

民族化する創価学会 島田裕巳 講談社



 副題は「ユダヤ人の来た道をたどる人々」とある。学会員が流浪の民で、聖地を求めていると一般に考えてしまうが、著者の答えは「欧米の社会ではキリスト教社会から排除されたユダヤ人が集まり、ネットワークを作り上げ、特定の業界で勢力を拡大した例がある。創価学会もそうした方向へ向かっているのではないか」であり、甚だ印象批評的で雑駁な言い回しに終わっている。終章の二ページでまとめとして書かれているだけでなので、全体のテーマとして書かれているわけではない。大部分は学会と公明党の関係である。
 そのなかで印象的なのは、学会は霊能者が存在しない特異な宗教で、先祖供養に無関心だということで、これは日蓮宗系の霊友会や立正佼成会と違うところだ。先祖供養で信者を増やしている「真如苑」とは対照的で、スピリチュアルの時代に乗り遅れるのではないかという危惧がある。また、中国との関係において、周恩来がかつて学会を評価して以来、池田大作がしばしば訪中して歓迎されていることについては、ただ単に学会の経済力が魅力なだけだと前掲「創価学会の研究」の玉野氏の労働者の味方であることを周恩来が評価したという説とは異なり、シビアーな見方をしている。
 その他、著者はジャズフアンの立場から、ジャズピアニストのハービー・ハンコックやテナーサックスのウエイン・ショーターがSGI(創価学会インターナショナル)の会員で、ミュージシャンの世界の広告塔の役割をしている状況を述べている。そして先ごろなくなった、テナーサックスのマイケル・ブレッカーがユダヤ教徒であるにも関わらず、強引にSGIの会員にさせられた可能性があると述べている。この強引なやり方は日本でもトラブルになっているもので、学会の今後の反省点であることに間違いは無い。いずれにしてもポスト池田を視野に入れると今後さまざまなハードルを越えなければならないだろう。学会の動性から眼が離せない。

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