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ピーターの法則 ローレンス・J・ピーター ダイヤモンド社

2008-12-30 09:02:34 | Weblog

ピーターの法則 ローレンス・J・ピーター ダイヤモンド社



 ピーターと言っても、歌手のピーター(池畑晋之介)ではない。アメリカの社会学者である。初版は1969年でかなり前のものだ。これは33年ぶりの新訳である。
 最近は政治家、実業家、役人をはじめあらゆる分野で無能をさらけ出している人が多い。この状況を社会学的に分析し、一つの法則を見つけ出した。すなわち「階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおの無能のレベルに到達する」というものである。「階層」とは「身分や等級や階級に従って構成員や従業員の配置が決まる組織」の意味で、会社、役所、学校等を想像すればよい。言われてみればなるほどと言う感じだ。真理をついている。やり手の営業マンがその成果を評価されて管理職に抜擢される。ところが、部下を統率する能力が弱い場合、管理職の仕事が上手くいかなくて、評価は下がり、あげくのはてに病気になって休職。結局、ヒラの営業マンでいた方が能力が発揮できて、本人も幸せに暮らせたのにということだ。
 ピーターはこのような事例をたくさん挙げおり、誠に説得力がある。かつてアメリカのビジネスマンの間で話題になったというのもうなずける。教育界の於いてはまさにこの法則がピタリと当てはまる。生徒を相手にしている時は誠に素晴らしい先生が、教頭や校長になるとまるでダメになるという話は私自身目の当たりにしていることだ。無能な校長は、時にピントはずれの指示を出してヒラ教員の失笑を買う。本人自身は無能だということを理解していないので、よけいにたちが悪い。
 それでは、この昇進による無能状態を避けるにはどうすればいいのか。ピーターは言う、初めから昇進の話を持ちかけられないように工夫することによって、上のポストに昇るのを避ける。これこそが、最終的な昇進を避けるための確実な方法で、仕事に於いても、私生活に於いても、健康と幸福を手に入れるための秘訣だと。これを「創造的無能」と名づけている。なんと素晴らしい言葉であろうか。日々上を目指して頑張っている諸君、どうかこのピーターの言葉を肝に銘じて、くれぐれも後悔の無いようにして頂きたい。

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