読書日記

いろいろな本のレビュー

日本共産党の深層 大下英治 イースト新書

2014-09-09 19:12:32 | Weblog
 本書の腰巻には 大反響!売り切れ店続出。アマゾンイデオロギー部門第一位 「原発再稼働反対、ブラック企業告発、平和憲法堅持」の共産党が政権を狙う日。〝暗黒日本、戦争への道を許さない〟結党九十一年、「自共対決」の時代へ  というコピーが代々木の共産党本部とマルクスの資本論(岩波書店版)の写真をバックに書かれていて、これだけで読んだ気になる。まるで週刊誌並みだ。最近の共産党の人気は自民党の安部政権に対するアンチテーゼという意味であろうが、昔のイメージからは想像もできない人気ぶりだ。その先駆けとなったのは平成25年7月の第23回参議院議員通常選挙の東京選挙区で吉良よし子氏が当選したことである。腰巻にある公約を掲げて立候補したが、勝手連の活躍もあり大激戦区を勝ち抜いた。
 それ以後、安部内閣の集団的自衛権の行使容認問題もあり、ストッパーとしての共産党の役割が大きくクローズアップされてきた。以前は暴力革命を是認しているのではないかという自民党からの中傷にさらされてきたが、最近は暗いイメージの払拭に努力している様子がうかがえる。とはいえ、テレビ・新聞のアンケートの支持率は2~3%で、とてもじゃないけど自共対決という構図にはなっていない。だが維新や結いのような胡散臭さは無いので、反権力のメンタリティーを持っている人にはアピールするかもしれない。
 本書でも主な共産党員の履歴が紹介されているが、ベテランの松本善明氏が取り上げられていたのが印象的だった。非常に懐かしい人物でかつて田中角栄と張り合ったことが記憶に残っている。著者の人物紹介の特徴は主人公に会話させることで、これによって人となりが浮かび上がる利点がある。講談の「見て来たように嘘をつく」の方法だ。これは有力な方法で、今回は共産党の固いイメージを払拭するのに貢献している。
 昔は共産党の幹部は高学歴で(東大卒が多かった)官僚的なところが欠点として指摘されてきたが、この流れの中で改める度量を見せることが大切だ。とりわけ平和憲法堅持は作家の大江健三郎氏もライフワークにされているので、その辺の連帯も大事かと思われる。

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