読書日記

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橋下「大阪改革」の正体 一ノ宮美成 講談社

2009-02-07 10:59:06 | Weblog

橋下「大阪改革」の正体 一ノ宮美成 講談社



 人気絶頂、タレント知事の仮面を剥ぐ!というのが腰巻のコピー。某新聞社の調査では、支持率80%と驚異的な数字が出ているが、ホンマかいなというのが実感。府職員の給料を一割削減したし、退職金の5%を分捕ったということで府民の溜飲を下げたがゆえの数字かなとも思う。しかし、そのうち府民自身にこの予算大幅削減の余波が押し寄せた時どうなるかである。まあ朝三暮四のレベルの話ではないか。
 橋下は前出の石原慎太郎を師と仰いでいるようだ。なるほど、マスコミを巻き込んで攻撃目標を作り、民を煽っていくという手法は共通点がある。ただ、橋下は石原に比べて文学的才能が皆無なため、その言葉は原始的な凶暴性を秘めており、攻撃的だ。レトリックとは無縁の粗雑な言葉は聞くに堪えないが、大阪府民にはそれが心地良く聞こえるのだろう。まあそれが府民の民度といえばそれまでの話だが、こういう手合いを上に仰いで仕事をする府職員にとっては、内心忸怩たるものがあろう。橋下は石原と同じく、知的スノビズムを口を極めて痛罵するのが特徴だ。しかも自己絶対化の希求が誠に強い。この衝動が実人生に現われれば、権力意志、或いは虚栄心という悪徳になるのだが、今のところ権力に対する意志が強烈に出ているといえる。これは本書でも指摘されているように、家庭的、経済的に不遇な少年時代を過ごした反動が出ているといえる。不遇であったがゆえに反権力に向かうのではなく、体制にべったりとくっつきながら権力を握ろうというサクセスストーリーを演じて成功したのである。ご同慶の至りといわねばならぬ。
 橋下の改革の最終目標は大阪府を解体して道州制に移行させることらしいが、そんなものが政府のどこで検討されているのか。皆目わけがわからない。まあ、大阪をかき回すだけかき回して、その知名度で国政に打って出るというのが彼のシナリオだろう。石原とは逆パターンだが、麻生でも首相になれるのだから俺にでもできると妄想はどんどんエスカレートしているのだろう。まあ足元を掬われないようにお気をおつけあそばせよ。おごる平氏は久しからずと言いますから。



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