読書日記

いろいろな本のレビュー

港区ではベンツがカローラの6倍売れている 

2008-05-13 19:38:43 | Weblog


港区ではベンツがカローラの6倍売れている 清水草一 扶桑社新書
 格差社会に関する書物は最近多い。いずれもそれはいかんのじゃないかという論調だが、本書はそれでいいんじゃないのというスタンスだ。頑張るひとはとことん頑張って冨と地位を求めればいいし、頑張れない人は頑張らなくてもいい。それくらい日本はなにをやってもいい感じの社会になったのではないかと言っている。私自身求めるものが少ないので、金儲けに汲々としている人の心情は理解できない。まあお金はあっても邪魔にならないとは思いますが。
 第一章のベンツがカローラの6倍棲息する東京都港区、軽自動車が49%を占める高知県というルポが出色の出来だ。港区は自称勝ち組が好んで住んでいる所だが、所得に見合う車としてベンツを選ぶわけだ。間違ってもカローラではない。よって地位の象徴として車を選ぶという古風な意識から脱していないということも言える。それに対して高知県では、軽自動車が「経済的」「可愛い」「燃費がいい」など圧倒的な人気らしい。車を完全に道具として捉え、それ以外のムダな部分を排除する、究極の合理主義なのだ。これは決して「格差の底辺」ということではないと著者は力説する。正論だと思う。
 第二章以降、「豪邸格差」「別荘格差」「カード格差」「フーゾク嬢格差」等等興味深い内容が続く。運良くお金をつかんでベンツや豪邸を手に入れたとしても、その維持管理にお金がかかる。結局、普通の暮らしが一番いいというのが庶民感覚だ。成金は飾りたがるものだ。田舎の素封家と言われるところは普段はほんとに質素な暮らしをしている。しかしいざと言うときは多額の寄付をする。ノブリス・オブリージュとはこういうことを言うのだ。日本が品の無い国になりつつあると言われる所以は成金がでかい面をしているからだ。恥を知れ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。