ニーチェ (ツアラトウストラの謎) 村井則夫 中公新書
ニーチェの「ツアラトウストラはかく語りき」の内容を解説したものだ。「永劫回帰」の思想を書き記したものと言われているが、原典の翻訳とこの解説を読んでも理解不可能だ。大体ドイツやフランスの哲学書の翻訳はどこまで正しいのか分からない。中には日本語になっていないものが多い。原典が難解な上に翻訳がむちゃくやだから理解しようがないわけだ。これでは本が売れるはずは無い。
ツアラトウストラの名は拝火教の宗祖ゾロアスターから来ている。ゾロアスターの多面的な人間性をモデルにしているらしい。また「超人」「力への意思」など有名な言葉の出典になっている。この原典を極力分かりやすく解説しようとされる熱意は充分伝わってくる。しかし難解だ。仕方が無いので、リヒャルト・シュトラウスの「ツアラトウストラはかく語りき」(カラヤン指揮 ベルリンフイル ドイツグラモフオン)を聴いた。こちらの方がよくわかった。音楽の偉大さを再認識した。音楽は世界の共通語だ。