東京・台東借地借家人組合1

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【判例】*賃借権の無断譲渡を理由とする契約解除権が時効消滅した場合でも賃貸人は譲受人に対し明渡請求が出来るとした事例

2018年10月29日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

賃借権の無断譲渡を理由とする契約解除権が時効消滅した場合でも賃貸人は譲受人に対し明渡請求が出来るとした事例
(最高裁昭和55年12月11日判決 裁事131号285頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(賃借人)の負担とする。


       理   由
 上告(賃借人)代理人山崎利男の上告理由1及び2について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用できない。

 同3について
 原審の適法に確定したところによれば、上告会社(賃借人)は本件建物を譲り受けるとともに本件各土地の賃借権の譲渡を受けたが、右賃借権の譲渡については賃貸人である被上告人らの承諾を得ることがなく、また、右賃借権の無断譲渡について被上告人(賃貸人)らとの信頼関係を破壊するものと認めるに足りない特段の事情があるとはいえないというのであるところ、所論は、要するに、被上告人(賃貸人)らの右無断譲渡を理由とする契約解除権は、右賃借権が無断譲渡された昭和34年1月31日から既に10年の経過をもって時効により消滅したにもかかわらず、右契約解除権が時効により消滅したとは認められないとした原判決には民法166条の解釈適用を誤った違法があるというのである。

 しかし、賃借権の譲渡を承諾しない賃貸人は、賃貸借契約を解除しなくても、所有権に基づき、譲受人に対しその占有する賃貸借の目的物の明渡を求めることができるのであり(最高裁昭和25年(オ)第87号同26年4月27日判決・民集5巻5号325頁、同昭和25年(オ)第125号同26年5月31日判決・民集5巻6号359頁、同昭和41年(オ)第791号同年10月21日判決・民集20巻8号1640頁)、賃借権の譲渡人に対する関係で当該賃貸借契約の解除権が時効によって消滅したとしても、賃借権の無断譲受人に対する右の明渡請求権にはなんらの消長をきたさないと解するのが相当であるから(最高裁昭和52年(オ)第260号同年10月24日判決・裁判集民事122号63頁)、論旨は、畢竟、原判決の結論に影響を及ぼさない事項について違法をいうものにすぎず、採用できない。

 同4及び5について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原審の認定に沿わない事実に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用できない。

 上告(賃借人)代理人松井順孝の上告理由について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原判決の結論に影響を及ぼさない部分を論難するものにすぎず、採用できない。


 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


   最高裁裁判長裁判官本山亨、裁判官団藤重光、同藤崎萬里、同中村治朗、同谷口正孝

 

 

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