東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【判例】*賃借人が無断譲渡または無断転貸したときは、賃貸人は常に契約を解除できるのか

2018年10月25日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

賃借人が無断譲渡または無断転貸したときは、賃貸人は常に契約を解除できるのか
(最高裁昭和28年9月25日判決 民集7巻9号979頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(地主)の負担とする。


       理   由
 上告理由第1点について。
 原判決の確定したところによれば、被上告人X(借地人)はかって本件宅地上に建坪47坪5合と24坪との2棟の倉庫を建設所有し前者を被上告人Yの父Z(借家人)においてX(借地人)から賃借していたところ、昭和20年6月20日戦災に因り右2棟の建物が焼失したので、同21年10月上旬Z(借家人)はX(借地人)に対し罹災都市借地借家臨時処理法3条の規定に基き右47坪5合の建物敷地の借地権譲渡の申出を為し、X(借地人)の承諾を得てその借地権を取得した、そこでZ(借家人→転借地人)はX(借地人)の同一借地上である限り右坪数の範囲内においては以前賃借していた倉庫の敷地以外の場所に建物を建設しても差支ないものと信じ、その敷地に隣接する本件係争地上に建物を建築することとし、X(借地人)も亦同様な見解のもとに右建築を容認したというのである。


 元来民法612条は、賃貸借が当事者の個人的信頼を基礎とする継続的法律関係であることにかんがみ、賃借人は賃貸人の承諾がなければ第三者に賃借権を譲渡し又は転貸することを得ないものとすると同時に賃借人がもし賃貸人の承諾なくして第三者をして賃借物の使用収益を為さしめたときは、賃貸借関係を継続するに堪えない背信的行為があったものとして、賃貸人において一方的に賃貸借関係を終止せしめ得ることを規定したものと解すべきである。従って、賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用収益を為さしめた場合においても、賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合においては、同条の解除権は発生しないものと解するを相当とする。然らば、本件において、被上告人X(借地人)がZ(転借地人)に係争土地の使用を許した事情が前記原判示の通りである以上、X(借地人)の右行為を以て賃貸借関係を継続するに堪えない著しい背信的行為となすに足らないことはもちろんであるから、上告人(地主)の同条に基く解除は無効というの外はなく、これと同趣旨に出でた原判決は相当であって、所論は理由がない。

 次に所論特約の趣旨に関する原審の判断は正当であって何ら違法の点はないから、これを非難する所論も採用することはできない。

 同第2点について。
 論旨前半において指摘する原判示部分は判旨いささか明瞭を欠くきらいがあるけれども、要するに、X(借地人)がZ(転借地人)に係争土地の使用を許した前記行為を以て背信的行為とはなし得ないことの説明にすぎないことは判示自体に徴し明かである。そしてX(借地人)の右行為が背信的行為とはいえないとの判断自体が正当であることは前記の通りであるから、原判決中所論部分の説明の不備を捉えて、原判決に理由不備の違法ありとする所論は、到底採用できない。

 また論旨後半のX(借地人)に背信的行為ありとの主張は、本訴の請求原因とは無関係な事実に関する主張にすぎないから、もとより適法な上告理由となすに足りない。

 同第3点について。
 原判決が上告人(地主)の被上告人Y(転借地人Zの子)に対する請求を棄却した理由について首肯するに足る説明を与えていないことは、正に所論の通りである。しかしながら原審の確定した事実によれば、係争土地に建物を建築しその敷地を占有する者はZ(転借地人・Yの父)であって、その建築許可申請の便宜上被上告人Y(転借地人Zの子)の名義を使用したに過ぎないというのであるから、被上告人Y(転借地人Zの子)に対し不法占有を原因として建物収去土地明渡を求める上告人(地主)の請求はこの点において棄却を免れず、従って右請求を棄却した1審判決を維持した原判決は結局正当であるに帰し、論旨は理由がない。


 よって民訴396条、284条、95条、89条に従い主文のとおり判決する。


 この判決は藤田、霜山両裁判官の少数意見(略)を除き全裁判官一致の意見である。

    最高裁裁判長裁判官霜山精一、裁判官栗山茂、同小谷勝重、同藤田八郎、同谷村唯一郎

 

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

この記事についてブログを書く
« 【判例】*賃料不払を理由と... | トップ | 【判例】*無断転貸を理由と... »

民法・借地借家法・裁判・判例」カテゴリの最新記事