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最高裁判例
借家法7条の賃料増額請求の効力発生時期
(最高裁昭和45年6月4日判決 民集24巻6号482頁)
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人の上告理由について。
被上告人が上告人に対してなした本件建物部分の賃料を増額する旨の意思表示が借家法7条に基づく賃料増額の請求であることは、原判決(その引用する第1審判決を含む。以下同じ。)の判文に徴して明らかであるところ、それは形成権の行使であるから、賃料の増額を請求する旨の意思表示が上告人に到達した日に増額の効果が生ずるものと解するのが相当である。本件の場合、民法97条1項にいう「相手方ニ到達シタル時」とは、右の趣旨に解すべきである。従って、被上告人のなした賃料増額の意思表示が上告人に到達した日である昭和37年7月9日から月額20,000円に、同38年12月1日から月額22,000円に増額の効果を生じたとする原審の判断は、正当として是認できる。してみれば、原判決に所論の違法のないことは明らかであり、論旨は採用できない。
よって,民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官大隅健一郎、裁判官入江俊郎、同松田二郎、同岩田誠
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