At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Back Together / The Diamond Five

2006-09-10 | Hard Bop & Modal
昨年ユニヴァーサルから再発された1964年のBrilliantというアルバム(当ブログでも紹介済み)のおかげで、ここ日本でも急激に知名度が増したオランダの名コンボThe Diamond Fiveによる73年の蘭Basf盤。先のBrilliantを録音した後に一度は解散した彼らが、10年の時を経て再結成を果たしたという曰く付きのアルバムです。時代柄かCees Slingerは主にピアノではなくフェンダーローズを弾いているし、音の質感自体もわりと新しめの作りになってはいるのですが、それでも各ソロは相変わらず格好良く、また書下ろしによるオリジナル曲はクォリティが高いので、おそらく純ジャズ・ファンでもわりと聴けるはず。もちろんエレピに対して違和感のないクラブ世代には、まったく問題なくオススメできるアルバム。アルバム中では同郷のヴォーカリストGreetje Kauffeldが3曲で参加していて、彼女のファンならばそれを目当てで買う盤なのでしょうが、当ブログ的にはむしろインストである残り4曲に注目したいところ。例によって異常に格好いいテーマでバピッシュに飛ばすA-1のSneezyから否応なく気分は盛り上がります。しっとりとしたA-3のBecauseに、クラブ映えしそうなB-1の高速サンバ・ジャズJam-Bazzと総じてクォリティは高め。そしてB-3、Day By Dayは個人的にこの盤のハイライト。やわらかな夜に聴きたいメロウで暖かいワルツ・ジャズ。リュニオン後の彼らの作品には、もう一枚アメコミ風ジャケのEMI盤がありますが、個人的には全体の完成度はこちらの方が高いと思います。あちらはSamba To Come以外は微妙なので…。
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Clap Hands Here Comes Charlie / Karl Drewo

2006-09-10 | Hard Bop & Modal
このジャケットを見てピンと来る人は少ないはず。と言うか過去に10作ほどリリースされているRearwardのカタログ中にあって、一際影の薄い存在が本作ではないでしょうか。最も若いリスナーにとってはClarke = Boland楽団の関連作が圧倒的に人気であり、年配の方にとっては例の「ヨーロッパのジャズ・ディスク1800」にてカラーページに掲載されたEraldo VolonteとGiorgio Azzoliniや、澤野からも再発されたFranco Tonani辺りの影響力が凄まじいことを考えると、それもまた仕方のないことなのかもしれませんが…。しかしながら、だからと言って聴き逃すのはちょっともったいないです。いくら地味な作品とは言え、あの鬼のようなカタログの一翼を担っているのだから、考えてみれば内容的に悪いわけはありません。さて、本作はオーストリアはウィーンのテナー奏者Karl Drewoによるリーダー作。最も実質的にはピアニスト兼アレンジャーを務めているFrancy Bolandのリーダー作と言った方がいいかもしれませんね。テナー・サックス1本とトロンボーン3本という珍しい編成で、後のCBBBに繋がるようなビッグバンド的アレンジの曲をやっています。Clarke = Boland楽団前夜といった雰囲気。全体的にクォリティ高めですが、そんな中で白眉なのはA-1のYoung Bucks。ボランのペンによるオリジナル作で、重厚な4ビートと3本のトロンボーンによる援護射撃も素晴らしい直球ヨーロピアン・ジャズです。文句なしに格好いい一曲。中古であれば安いので、買ってみてはいかがでしょう。
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Soul Station / Hank Mobley

2006-09-10 | Hard Bop & Modal
名門ブルーノートの4031番にして、モブレーにとって8番目のリーダー作。先日紹介したRoll Callと同様に、ピアノにはWynton Kelly、ベースにはPaul Chambers、そしてドラムにはArt Blakeyを配した編成ながらも、管楽器はモブレーによるテナー1本のみというワン・ホーン作品に仕上がっています。従って当然、このアルバムの聴き所は良くも悪くもモブレーのソロ。円熟した暖かみのあるテナーを堪能できる作品と言ったところでしょうか。強烈に格好いいと言った類のアルバムではありませんが、全体的にリラックスした雰囲気で演奏されているので、のんびりと部屋聴きするには悪くないのでは。年配の方が好むというのも良く分かる、オーソドックスなワン・ホーン・アルバムですね。そんな中でクラブ世代的に注目なのは、B-1のSpilit Feelin's。先日発売された夜ジャズ<裏>N°2に収められていたのが、このナンバーです。各ソロもそこそこ悪くないのですが、何よりブレーキーによる手数の多いドラミングが素晴らしい。特にボサ打ちと4ビートを行き来するテーマ部のプレイには、リズムに敏感なクラブ世代でも好感が持てるはず。曲調的にもマイナー・コードで今風だし、たまにはこういうアメリカのジャズを聴きなおしてみるのも悪くないかもしれませんね。やっぱり僕らみたいな人間は、そもそもこういうところからジャズに入ってないんで、意外にこういう基本盤を聴き逃したり聴き飛ばしたりしているもんで。それにしても毎度のことながら、この時期のブルーノートはジャケットがいいですね。是非レコードで持っていたくなる逸品です。
コメント (8)
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