■10・9三里塚全国総決起集会、「農地死守、第3滑走路粉砕」誓う
前進 速報版 2016年10月11日 07:21
10月9日、成田市東峰で三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する全国総決起集会が開催された。悪天候をはねのけて全国から720人の労働者・農民・学生・市民が結集し、市東さんの農地を守り、第3滑走路建設計画を安倍戦争政治もろとも粉砕することを力強く宣言した。
会場は萩原さんの「清水の畑」。午前中振り続いた雨で深くぬかるんでいる。演壇の向きを90度変えブルーシートをかけることでこの雨に対処し、集会場が設営された。B'滑走路に着陸する旅客機が数分おきに目の前を轟音とともに横切っていく。この場所は空港敷地を食い破り滑走路の南側延伸を阻止している闘いの拠点であり、ここへの結集自体が実力闘争なのだ。
集会を前に反対同盟は会場の一角で記者会見を開いた。「4者協議会」をもって全貌を現した第3滑走路攻撃に対し、周辺住民の怒りを組織して全力で迎え撃つ決意を明らかにし、記者との熱心な応答が続いた。
全国労組交流センターと全学連は意気高く前段集会を開き、会場の熱気を高めた。
正午、司会の伊藤信晴さんが「第3滑走路との対決の出発点として本日を闘いぬこう」と第一声を発して、集会が始まった。
最初に主催者あいさつとして、療養中の北原鉱治事務局長のメッセージを伊藤さんが読み上げた。「1千町歩の田畑をつぶして第3滑走路を造るとは、政府と空港会社はこの50年を何も反省していないのか! この空港は最初から間違っていた」と一刀両断し、安倍戦争政治との対決を訴えた。
続いて基調報告を会場を提供した事務局員の萩原富夫さんが行った。
この間の闘いの勝利の総括を、①市東さんの農地死守決戦で上告棄却を許さず2万を超える署名を最高裁に提出、②7・3三里塚50周年東京集会の大成功、③第3滑走路計画との対決の3点にまとめた。そして第3滑走路が「空港面積の1千ヘクタール拡大、200戸に移転強制、2千世帯が騒音下へ」というとてつもない規模の地域破壊であることを暴いた。さらに「夜間飛行制限の午前1~5時への緩和はもはや実質上の24時間空港化」と断罪した。そして沖縄辺野古訴訟での多見谷・定塚の「三里塚コンビ」による国側勝訴の判決、福島での甲状腺がん被害隠しと帰還強制の攻撃を弾劾し、安倍政権のTPP推進と戦争政治、差別排外主義との対決を訴え、ゼネストに立つ韓国民主労総と連帯して11月共同行動へ決起しようと呼びかけた。
そして闘いの方針として、次週10・17耕作権裁判闘争、来春3・26全国総決起集会への大結集を訴えた。
連帯のあいさつに入り、最初に動労千葉の田中康宏委員長が立った。三里塚闘争50年と国鉄闘争30年はこの時代の反撃の拠点だと位置づけ、CTSでの「5年で解雇、再雇用で選別」の攻撃に対し動労千葉は工事用臨時列車を中心に連続してストを闘ったことを報告した。そして、日本労働運動の復権をかけて、11月国際共同行動に取り組むことを決意を表し、11・6日比谷野音への大結集を訴えた。
関西空港反対住民のあいさつに続き、全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部の西山直洋さんが登壇した。2月に大阪で三里塚の大集会を企画することを明らかにし、11・6日比谷に港合同の仲間とともに決起する意気込みを述べた。
大きな拍手に迎えられて、天神峰の市東孝雄さんが発言に立った。市東さんは「最高裁でいかなる判決が出ようと、私はこの地に残り農業を続ける。自分の生き方を貫く」と不動の決意を表明した。そして第3滑走路を厳しく批判し、最後に「三里塚は不滅です。その気持ちをこの背中が語っています!」と着用したTシャツのデザインを誇らしげに示した。「闘魂ますます盛んなり」の文字と東市さん・孝雄さん親子の肖像がプリントされた特性Tシャツだ。
反対同盟顧問弁護団が登壇した。最初に発言した葉山岳夫弁護士は、農地法裁判控訴審判決を最高裁で覆す決意と展望を語り、「実力闘争と一体の裁判闘争」であることを強調した。
「市東さんの農地取り上げに反対する会」と、各地の「市東さんの農地を守る会」が登壇した。群馬の会は9・11高崎集会の成功と群馬合同労組中央タクシー分会の闘いの前進を報告した。茨城の会を代表して発言した動労水戸・木村郁夫書記長は、援農の取り組みを報告し、労農連帯の力で農地を守る決意を述べた。
全国農民会議が壇上に勢ぞろいした。共同代表の小川浩さんは、第3滑走路攻撃を「50年前と同じやり方」と弾劾し、「市東さんの農地を守る闘いは日本農民全体の未来をかけた闘いだ」と強調した。
続いて反原発を闘う福島からの参加者が壇上に並んだ。代表してマイクを握った椎名千恵子さんは、DVD「三里塚闘争不屈の50年」の上映会を開いたことを報告し、10月20日に帰還強制攻撃を許さない「怒りの福島大行動」に立つことを明らかにした。
さらに市東さんの農地を守る沖縄の会の発言、婦人行動隊・木内敦子さんのカンパアピールが続いた。
司会を婦人行動隊・宮本麻子さんに交代し、住民・市民団体の発言として全国水平同盟、婦人民主クラブ全国協議会、星野全国再審連絡会議の星野暁子さん、動労水戸などが連帯発言を行った。動労水戸の国分勝之副委員長は、「動労水戸は結成30年。三里塚50年の5分の3をともに闘ってきた。正義は屈しない」と三里塚への限りない連帯を表明した。
全学連の斎藤郁真委員長の発言で集会は最高潮に達した。三里塚闘争の国際的影響力の大きさを再確認し、京大の闘いを先頭に全国で学生運動の復権を必ず成し遂げる決意を述べ、10・21国際反戦デー闘争、11・6日比谷への結集を呼びかけると、参加者は歓呼の声で応えた。
集会の最後に、太郎良陽一さんが「集会宣言」を読み上げ、団結ガンバローを三唱し、ただちに反対同盟を先頭にデモに出発した。宣伝カーからは宮本さんがシュプレヒコールをリードした。
すっかり雨は上がった。東峰地区の頭上40メートルを飛ぶジェット機の騒音、大量動員された警察機動隊、地形を破壊して造られた不自然に曲がりくねる誘導路――。反対同盟が日々農作業に励みながら向き合う現実を体感しながらデモは進んだ。
デモは天神峰の市東さん宅前から第3誘導路を横切り、ヘアピンカーブを曲がり、南台の市東さんの畑へ。団結街道破壊以降、南台の農地までの「代替道路」として市東さんに強いられたルートだ。そしてこの南台の畑が「への字誘導路」の直線化を阻んでいる。
この日も到着した隊列を、豊かに実った作物が迎えた。労農学連帯の力でこの農地を必ず守り抜くことを、全員が心に誓った。(TN)