■日の丸・君が代巡る通達は合憲、東京都職員逆転敗訴
朝日新聞 2011年1月28日13時37分
入学式や卒業式で、日の丸に向かっての起立や、君が代の斉唱とピアノ伴奏をしなければ処分するとした東京都教育委員会の通達をめぐり、教職員約400人が従う義務のないことの確認などを求めた訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁であった。都築弘裁判長(三輪和雄裁判長代読)は、一審・東京地裁が、通達は思想・良心の自由を定めた憲法と「不当な支配」を禁じた教育基本法に違反して無効だとした判決を取り消し、合憲と判断した。
教職員1人につき3万円の慰謝料支払いを都教委側に命じた一審判決も退け、教職員側が一転、全面敗訴した。教職員側は上告する方針。
問題の通達は、2003年10月に都教育長から都立高校などの校長に出された。校長の職務命令に従わなかった教職員は今も停職、減給などの懲戒処分を受けている。
06年9月の一審判決は、君が代・日の丸について「皇国思想や軍国主義思想の精神的支柱として用いられ、今も国民の間で宗教的、政治的に価値中立的なものとは認められていない」と言及。都教委の通達は「教育の自主性を侵害し、教職員に一方的な一定の観念を生徒に教え込むことを強制するに等しい」として、教育基本法が禁止する「不当な支配」にあたり、違法だと判断した。さらに、国旗国歌をめぐる訴訟で初めて、処分を前提とした起立や斉唱の強制は憲法19条が保障する思想・良心の自由の侵害にあたると明確に認めた。
一方、最高裁は07年2月、音楽教諭がピアノ伴奏を拒んで受けた処分の取り消しを求めた別の訴訟で「校長の職務命令は憲法19条に反しない」とする初判断を示した。同種訴訟では、最高裁の判断にならって教職員側が敗訴する例が続いている
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