庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

アメリカの財政出動が大幅に始まる兆しでドル高傾向。

2016-11-15 | 経済問題

アメリカのインフラが老朽化していることは周知の事実である。

しかし、このところは財政赤字の問題で予算が成立しないに状況があったりして、

オバマ大統領と多数派を占める共和党との間で、しばしば綱引きが行われた。

次期大統領にトランプ氏が当選したが、共和党の幹部との調整が不透明であったが、首席補佐官に調整役の信任が厚い人選が行われて、見通しが明るくなった。

共和党の主流派が、トランプ氏を敵視した姿勢から、主流派に近寄らせる方針に転換して、公共事業の拡大には前向きになれる状況である。

国際的な金融資本を敵視するトランプ氏も、メキシコとの国境に「万里の長城」を計画する上でも、国内でのインフラ投資を活発にする姿勢である。

 

財源問題はすぐには解決策がないだろうが、失業率の改善と、国内建設業関係の活性化には、確実に効果が出る政策である。

この次期共和党政権の姿勢を見ている「金融市場関係者」は、すぐに反応して「将来のドル上昇を予想した市場展開」に入っている。

日本のメディアは、トランプ氏の次期大統領への当選は、経済政策の混乱を招くので、アメリカはドル安になると想定した論調であった。

しかし、情報分析が甘い経済専門家たちは、この事態すらも予想できない。

日本と違って財政出動をする力は、大統領と議会の主流が「財政出動を推進」の方針で一致すれば、世界中からの投資資金が集まる。

 

アメリカ人は、大半の人たちが「消費性向が異常に強い」傾向がある。

生活上に必要だと見れば、可能な限り借金をしてでも購入したがるのだ。

政府が借金を増やしても、お金が市場に回り出せば、消費性向が強いだけに「働く人への給与増加」で、すぐに景気回復に向かい「企業は新規投資」に走る。

その点では、不動産投資で成功して「大統領候補に勝利」したトランプ氏が、一番よく知っている。

その流儀では、日本での超金融緩和で「お金の流通を増やす」ことで、インフレターゲット政策を実施して、「デフレ脱却を図る」アベノミクスは違っている。

 

円安には誘導できても、輸出企業が儲けるだけで、給与増額は「ほんの気持ちだけ」の小額である。

それも大企業の社員だけに過ぎないから、下請けの中小企業の社員には回らない。

その上に、「非正規雇用社員」には、定期昇給制度すらない。

このような事態になるとも想像できない「世襲議員の安倍政権」の感覚では、経済の回復は不可能である。

公共事業のバラマキだけは、従来どうりに実施しても、長続きしないと見ている建設業関係者は、新規の投資をしない。

安倍政権の閣僚、政治家たちは、実業の経験がないからマスメディアの論調に影響されるが、そのメディアの経済部門は、全く読み間違いばかりの能力だ。(続)


犯罪者の野放し状態が社会的に後回しにされるアメリカ。

2016-11-14 | 国創り政治問題

トランプ次期アメリカ大統領が政権公約している、「不法移民の強制送還」は、政権発足後の優先的な計画に入っている。

その中でも、200万人以上の「犯罪歴のある不法移民」を送還させる政策は、トランプ氏を支持した白人層に人気の高い政策である。

メキシコとの国境を守る警備が手薄で、3800kmの3割くらいにしか、国境防護柵が設置されていない。

この柵も、越境支援プロの手によって誘導される箇所には、【乗り越える足がかり】などが作られて、闇夜に紛れて越境するのは容易となっている。

 

これを、全部の国境線の越境が絶対できない「高い塀を作る」との政権公約を掲げて、メキシコ側からの「不法越境者」を取り締まろうというのである。

そして、今までの不法に越境したまま、アメリカの国内で臨時雇い的な仕事について暮らしている「不法滞在移民」を、本国に送り返そうとしている。

この不法移民締め出し政策を、非人道的だとしてトランプ氏を「人種差別主義者」だとか批判する勢力が、相変わらずの論法で暴言呼ばわりをしている。

しかし、この不法移民対策を批判する方が「暴言と言わざるを得ない」。

国境管理をきちんとしないで、成立する法治国家があり得るのだろうか。

アメリカと言う一つの価値観を共有する国が成立する基本は国境をきちんと守ることから始まるのだ。

 

アメリカの国内で、不法滞在者が1100万人に達しているのに、本格的な対策に取り組まないできた「民主党政権の8年間」は、国のやるべき仕事を放棄してきた。

不法滞在者の中には、メキシコ国内で犯罪者となって、逮捕される前にアメリカに逃亡してきている者も多く含まれる。

しかしメキシコ政府は、厄介な犯罪者を国際手配をすることなく、厄介モノ払いを出来た、と歓迎している。

また、失業率が高いままの国内では、非熟練の人たちの職場を確保することもできず、国外に逃亡してもらった方が、国としても助かるのが本音である。

 

アメリカの民主党政権は、安い人件費の人たちが大量に必要となっている企業側の利益を優先して、「不法滞在者を確保し、職場につけるように優遇」してきた。

こうした「一時しのぎ的な失業対策」を実施して「元からの移民立国のアメリカ人」から、賃金の低下の原因が不法滞在者にあるとの、恨みを増加させたのだ。

アメリカ国民の生活よりも、【人件費の安さを求める企業側の要求】を優先させたのが、今回の大統領選での【敗北の最大要因】である。

日本では、「不法越境者もなく、低賃金への悪影響もない」のに、それでも、「非正規雇用従業員」の非合理な増加を招いてしまった。

国民の不満を買って「政権交代した民主党政権」では、効果が全く出せない。

安倍政権は問題の深刻さに気がついて、官製春闘にやっと本気で取組む。(続)


アメリカは金融資本の支配国から抜け出せるのか問題だ。

2016-11-13 | 国創り政治問題

日本は、アメリカの現状よりも妥当な政策がすでに実現していて、トランプ次期大統領が実行しようとしている政策の大部分は実現済みである。

それを、共和党の競争候補者を次々に退けて行ったのは、アメリカのメディアが偏った報道をしていて、トランプ氏の言葉の一部を切り取っているからである。

確かにトランプ氏は、政治経験をしたことがない特質を際立たせるために、あえて、既存政治家の怠慢ぶりを批判していた。

しかし、その批判の大半は当たっていたので、アメリカの現状に不安を持つ人々が、隠れトランプ支持者となって、メディアの予想を覆したのである。

アメリカのメディアが偏向していたので、彼らにとっては、想定外の事態である。

 

メリカのマスメディアが、大手の金融資本側の傘下にあるのは、よく知られた

事実である。

このことを知っている大半のアメリカ人は、マスメディアの伝える報道内容を【半分以上は嘘である】としている。

日本国民の大半が、マスメディアの報道内容を信じる人の多さに比べたら、アメリカ人は、メディアを半分以上が信用しない。

ヒラリークリントン氏をはじめとして、民主党政権の大半の政治家が、金融業界や大手企業からの政治献金で活動していることを、アメリカ国民は知っている。

だからヒラリー氏の言葉と行動を、信用しない人が多いのは当然である。

 

日本の自民党政権は、国民の代表にように思われているが、実際には、政治献金を多額に出している「大手企業団体」の代弁者に成り下がっている。

それでも、総選挙での多数派を占めるためには、政権公約では、一般国民の利益を最優先するかのように、言葉では表明している。

しかし選挙が終われば、政権公約の言葉を棚に上げて「経済界の利益を最優先」する政策に奔走する。

今回の「TPP交渉の批准」を急いだのも、【大手の産業界の利益優先】を実行して、政治献金の効果を実行している姿勢が重要だからである。

 

アメリカは、国際金融資本家側に利益がある課題ばかりを優先してきた。

それが、稀に見る【収入格差拡大の不公平社会】を生み出してしまい、失業と低賃金の喘ぐ人々の不満を爆発的に高めてしまった。

アメリカ中部の「錆び付いた工業地帯」の反乱を招き、鬼っ子のトランプ氏を次期大統領に当選させたのだ。

国際金融資本家側と、その代弁者である「民主党」「共和党のエリート政治家」は、

この素人政治家を、うまく使いこなそうと、今後の作戦を練っているのだ。

一方の日本では、経済界の代理首相が、当面の支持率も高く維持できるので、とにかく、「経済を上向かせてデフレ脱却を図ること」を最優先するだろう。

それには、経済界の利益よりも「官製春闘」を成功させることしかない。(続)


日本の政策面ではアメリカの新大統領の模範になる事例が。

2016-11-12 | 国創り政治問題

アメリカの経済と国力の衰退が問題とされて、既存の既得権層が支配してきた「民主党」と「共和党の既得権代弁政治家」が、選挙戦で敗退した。

泡沫候補と言われながらも、この「既得権益の代弁をぶっ壊す」と暴言を叫んできたトランプ氏の破壊力に期待して、アメリカは大きく転換しようとしている。

メキシコとの国境に万里の長城を作る。

国境線は3800kmであり、国境線は短いが、陸続きであるから「高い壁を建設する」しかない。

この費用をアメリカ自体が拠出するなら、暴言でもなんでもない。

 

そこで、日本のことを見直してみると、なんのことはない、すでに実行済みのことが多いのである。

日本の国境線は海の沿岸で言えば,3万5000kmもあるので、越境者を監視する必要があっても、警備に必要な経費をかければ、不法入国者は防げる。

もちろん、不法入国者や不法滞在者を見つければ、逮捕して、本国に送り返すのは、主権国家としての常識である。

アメリカの民主党政権が、不法滞在者を「低賃金労働者」の代わりに雇い、低劣な労働環境で働かせる企業利益を優先したのを、ぶっ壊すのがトランプ氏だ。

人種差別主義者でもなんでもない、日本人の法令順守の精神が、アメリカ人にも必要なのであろう。

 

既得権益構造に真っ正面から挑戦を宣言して、国のリーダーに登ったのは、日本での小泉純一郎氏である。

構造的な腐敗が経済成長を阻害する原因であるとして、当時の沈滞した「自民党政治をぶっ壊す」と宣言したのは、トランプ氏よりも12年以上も早い。

これによって、自民党の既得権構造は激震を受けて、まず道路族の建設村を解体することで、道路公団の分割民営化を実現した。

さらに、衆議院解散総選挙によって、郵政族の金融資本の権益を解体した。

こうして、2000年代の初めからは、構造改革路線による「政治の活性化で経済にも好影響」が、もたらされたのである。

 

老朽化したインフラの修理や、建て替えが優先的に実行されるべき課題であるのは、どこの国でも「国益優先の精神」から、当たり前である。

日本は特に「土建国家の歴史」があるので、各地の老朽化した道路、トンネル、橋の建て替えと修理には、誰も異存のない「公共事業」として歓迎される。

問題はその財源をどこが出すかであり、日本の場合は、高い燃料税で調達する。

構造改革路線に加えて、老朽化インフラの建て替え、高いガソリン税による財源の確保などは、日本で実施済ことを、アメリカではできない状態だった。

それを、共和党の内部に巣食った【利権族をあぶりだして】、トランプ新大統領が、実行できるかが問われる。

日本は追従してくるアメリカを見ていれば良い。(続)


アメリカ新大統領の100日計画が経済の活性化に影響する。

2016-11-11 | 経済問題

次期アメリカ大統領に決定したトランプ氏の政策で、すぐにでも実行に移せる計画では、メキシコとの国境に長大な壁を作り、不法移民の遮断を図る公約だ。

この計画の費用はメキシコ政府に払わせる公約だが、その交渉は長引くので、象徴的な地域を優先的に選んで、アメリカ国民に国益優先を訴えるだろう。

トランプ氏は、もともとは不動産業やホテル業などの建設方面は得意分野だから、有言実行の証として、まず第一の取組みとしての実現を図るだろう。

低賃金労働者の流入が制限されると、安い労働力依存の企業は悲鳴をあげるだろうが、もう一方では法人税の減税により、企業の優遇も押し出そうとしている。

 

どちらの政策も、企業の投資行動を刺激して、アメリカの経済は一時的にでも活況を呈するだろう。

アメリカや日本の株式市場では。2ヶ月半ぶりの高値をつけて、経済成長に効果がでると期待が膨らんでいる。

これは、トランプ氏が勝利演説で「高速道路、橋、トンネル、空港、学校、病院。我々はインフラを誰にも負けないものに建て直す。そして数百万人の雇用を生み出す」としたことを、経済成長に前向きと受けとめられたからだ。

アメリカは、財政赤字に苦しめられて、各地のインフラの老朽化に対応できるインフラの建て替えが出来ていないのだ。

 

自動車大手のGMや自動車関連部品メーカーは、人件費の安いメキシコに生産を移転していたが、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを公約している。

このような生産の空洞化の歯止めをかけて、アメリカ人が購入する自動車などの生産を、国益優先をして国内生産に戻すように、大企業に働きかけるだろう。

具体的には、どのような政策を何年で実行するのか不明だが、少なくとも、今から生産移転をする計画は中止せざるを得ないだろう。

商品生産の将来にある対姿は、可能な限り、購入する消費者がいる国内で生産する方向で、調整が進んでいく始まりになる。

貿易自由化の流れの中では、最終到達地は人件費の安い国にほとんどの生産が移転して、アメリカのような大消費国が、軒並みに貿易赤字に苦しむ事態が来る。

 

トランプ新大統領が、理想をどのように掲げているかは、暴言の中には見えにくいが、少なくとも自国民の雇用を守ることには、最重点を置いている。

トランプ氏を新大統領に選んだアメリカ国民には、何よりも安定した雇用が大事であり、こんな自明のことが、ヒラリー候補には切実にはわかっていない。

民主党の政策で、雇用の確保を最優先事項にできなかったのはなぜか。

トランプ氏の陣営が訴えてきたことは、民主党も、経済界から多額の献金を受けているので、企業経営にマイナスに働く「NAFTAの見直し」は、できないのだ。

企業献金を受けていないで自前の資金で選挙戦を戦うことができるのは自分だけだ!と訴えていた。

アメリカの民主主義は、企業寄りになって不健全なのだ。(続)


新自由主義経済から転換して管理貿易協定主義の経済に。

2016-11-11 | 国創り政治問題

今回の大統領選挙で勝敗の決定の大きな要因には、アメリカの製造業の衰退が影響している。

ミシガン州などの自動車産業が盛んであった地帯が、「北米自由貿易協定」によって、メキシコのような人件費が格安の国の生産に移転して、雇用は縮小した。

大量に生まれた失業者は、賃金の安い臨時雇いの仕事につくか、失業したままになり、蓄えを失って最低レベルの生活水準で暮らしている。

このような生活に落ち込んだままで20年以上もいれば、既製の政治家饒波完全に失望して、この境遇から救われる可能性があれば、その候補者に投票する。

その候補者がトランプ氏であったのだ。

 

8年前の大統領選挙で「チェンジ」をスローガンにして大きな期待で登場したオバマ大統領は、前任者のブッシュ政権が、破壊した経済の立て直しで苦戦した。

その時期から、アメリカの製造業は「新自由主義経済」のかけ声のもとに、自由貿易至上主義一色で染まった経済界に対して、なすすべが限られていた。

マネーゲーム市場と変化してしまったアメリカ経済界は、投下資本の回収が早い産業にしか、投資をしないで、高収益産業に力を入れている。

金融業がもっとも高収入を得られる産業であり、ほんの一部の人だけが勝ち残って、1%の富裕層と99%の貧困層と非難されきくらいに格差が拡大した。

 

これが「新自由主義経済が行くつく社会の分断」であることにやっと全世界が気がついて、問題として大きく浮上している。

アメリカの製造業が復活するには、まず、この「新自由主義経済」から離脱しなければ成功はしない。

トランプ氏が、いくら不動産王としてのビジネスの力を最大に発揮しても、製造業は、世界中での競争的な商品市場での取引が浸透している。

新自由主義的な政策手段である「法人税の減税」を優先的に実行するとしているが、自由貿易協定を破棄して関税制限をかけても、雇用の復活は困難である。

 

しかし、オバマ大統領自由貿易主義の究極の「TPP交渉」を政権の主要経済政策として進めてきた。

トランプ次期大統領は、TPPはアメリカの製造業にとって不公平だから、現状の交渉案では、即座に拒否するとしている。

つまり、自由な貿易ではなく、関税や輸入制限を課した「制限貿易の世界」に戻すことが、トランプ政権の最大目標になるだろう。実業家出身の次期大統領は、企業活動の活力を最大に生かすことを公約しているが、それも、アメリカ国内に置いて、勤労者の給与を高く維持し、雇用を最大に増やす条件のもとで、企業を誘致するというのである。

この公約は、人気中の4年間では「実現するのは超難関」であろうとなかろうと、貫き通すだろうし、場合によっては8年間も続くのだ。(続)

 


アメリカの大統領選挙で転換の兆しが現実に見えてくるか。

2016-11-09 | 国創り政治問題

泡沫候補と言われて、はじめは相手にされなかったドナルド・トランプ氏が次期アメリカ大統領に当選した。

この現象をショックな事実だとして、受け入れられない人が各方面にいる。

その問題を一つずつでも理解できるように、各マスメディアが情報を探り出して説明を始めるだろうが、適確な問題の認識につながることを期待していこう。

少なくとも、単純な誤解の報道はすぐにでも修正して、まともな政策論争が見えるようにしていくべき責任が「マスメディアの幹部」には、あるのだ。

誤った解釈の報道や偏った論調は、世論の動向を混乱させるだけで、真の問題点を見えなくする悪影響しかない。

 

一番わかりやすい誤報道は、「トランプ氏は差別主義者」で移民を排斥しているとの論調である。

次期大統領のトランプ氏は、メキシコの国境を不法に越境してくる「無法者を収監して送り返す」と言っているのだ。

これを日本の状況に置き換えると、「海を越えて不法に領海に侵入し、不法上陸をする入国者を捉えて、出身国に送り返す。」と言っているに相当する。

極めて正当な主権国家の責任者の発言である。

それを、【国境に壁を作ることは移民排斥につながる】と誤った報道を続けた「マスメディア関係者」は、多くの人の面前にでて、誤報道を謝罪すべきである。

 

ただし、20年以上も前に越境してアメリカに定住している不法滞在者を。【直ちに強制送還】するのは、人権問題として慎重に処置を決めるべきであろう。

メキシコの麻薬常習者や犯罪逃亡者が、アメリカに侵入してくる実態を知れば、膨大な費用をかけても、国境に強固な壁を建設するのは、急務であろう。

アメリカの国民を犯罪者や麻薬常習者から守ることは、主権国家のリーダーの当然の責務であり、民主党政権の8年間は怠慢の誹りを免れない。

もう一つの大問題は、不法滞在者を放置してきた影響が1100万にも達すれば、【正当なアメリカ国民の雇用を奪っている】との批判も当然である。

もし日本で400万人にも不法滞在者が増えて、まともな勤労者の仕事を奪うならば、その政権は打倒されるに違いない。

 

アメリカのオバマ政権が、人権擁護を最前面に掲げて、不法滞在者の処遇を次々に優遇してきた成果が、従来の移民と低所得者をますます貧困に追いやった。

オバマ氏の断固たる法順守の姿勢のなさが、低所得者を苦しめる社会になり、収入格差の拡大をしてしまった。

オバマ氏以前のブッシュ政権の8年間がひどすぎたので、アメリカ経済の衰退ぶりを少しでも弱める政策に追われてしまったが、根幹の部分が腐り出している。

これらの真実の実態を報道してこなかった「アメリカのマスメディアの責任」は大きいが、それを鵜呑みにする、日本のメディアも怠慢である。(続)

 


安倍政権は未だに貿易自由化路線による経済成長の幻想に浸る。

2016-11-08 | 経済問題

アメリカの次期大統領が「貿易自由化の象徴的な制度としてのTTP交渉案」に否定的なのは、貿易自由化が国益にならない、としているからである。

無制限の物の移動の自由化は、トランプ氏の指摘どうりに、製造業の海外移転を加速して、国内の雇用を大量に減少させてきた。

雇用減少を補うくらいに「新産業の育成が進行」すれば、アメリカの国益は守られるのだが、新産業の育成は「革新的な技術進化」か、従来にない「イノベーションの新事業」が創出されるのが原点である。

一時は、金融工学を次世代の新産業の要と想定したが、完全なあだ花であって、【マネーゲームの賭博場】の創出では、経済の成長には寄与しない。

 

流通業の大幅な生産効率の改善は、物の移動と取引、売買の効率化を生んだが、雇用は減少する方向に進化した。

つまり、人の手を省くことが生産性の向上であり、雇用を生み出すことはホンのわずかである。

アメリカのようなイノベーションの盛んな国においても、製造業の海外流出による雇用減少分を、「新技術、イノベーションによる雇用創出」分では補えない。

そのうえに、アメリカの場合は【不法な越境移民による低賃金労働者の激増】が、賃金の低下傾向に大きく作用して、中間層の給与までもが低賃金化していった。

 

その一方で、マネーゲームの激化による「一握りの勝ち残り層が莫大な利益独占」がおこり、「IT産業界のエリートスペシャリスト」だけが、高収入を独占する。

こうして、国全体では経済成長率がプラスでも、9割以上の人たちは、賃金水準の向上なないか、転職せざるを得ない人々が低賃金化の憂き目に合わされる。

高収入を得た人たちのお金が「トリクルダウンで周辺に恩恵をもたらす」という、【従来の経済成長路線は消滅】している。

新興国に投資機会が増えているので、儲けた利益は「投資効率のよい国への資金」に流れて、アメリカや日本のように、消費購買力の衰えている地域には行かない。

 

このように「グローバル化された経済市場」では、製造業の海外移転による「所得格差の拡大」は、必然的に起きている世界的な潮流である。

それでも、安倍政権は自由市場のメリットが未だに有効であると勘違いをして、【輸入関税ゼロの物の移動の自由化】が、経済成長に貢献すると主張する。

この方向では、日本の生産効率が横ばいになっている産業、例えば、農業分野などでは、海外生産の「品質向上も果たした大量流通商品」」によって駆逐される。

各地の高品質の特殊な産品の分野では、輸出にも寄与するだろうが、全体の経済規模では、【海外生産品に凌駕される傾向】になるのは間違いない。

せめて、国内でのイノベーション産業が育成されるまでは、今以上の貿易自由化は、急ぐ理由は全くない。

今後の8年間は、トランプ氏の国内経済最優先の路線に転換すべきだろう。(続)

 


目的地を見失ったがとにかく進むしかないと暴走する運転。

2016-11-07 | 経済問題

安部政権は、デフレ経済に逆戻りをしている状況に、なすすべなく手をこまねいていると言われないように、暴走の様相を呈している。

実現できる可能性がない「TPP法案」に、国民の信頼を得るための誠実な議論を省いて、無責任な大臣の空疎な答弁を繰り返して時間を費やしてきた。

時間の累積だけが「慎重審議の目安」という情けない状態で、ついに、予定時間がきたので、「粛々と審議打ち切りをして採決」というお定まりの儀式だ。

その肝心の相手国のアメリカは、今の「TPPはアメリカに不公平」という候補者同士が否定合戦に終始して、アメリカの経済戦略が大きく転換される。

それでも、アベノミクスの目玉であったという理由だけで、とにかく【TPP法案の可決だけでも実現】して、アベノミクスのアクセルを踏み続ける。

 

そもそも、経済成長を維持することを目的にするならば、国内の投資拡大を継続するか、働く人の収入を増やし続けて、消費の拡大を継続するしかない。

安倍政権だけの責任ではないが、日本はバブル崩壊以後の経済界では、生き残りのためには【働く人の賃金を引き下げる努力】ばかりを実施しているのだ。

その政策は「非正規雇用社員」の対象を広げ続けて、今では4割にも達している。

しかも正規社員に比べて賃金水準は、3割以上も低いレベルで放置してきた。

これでは、消費性向が増加するわけがないのは、ネコでもわかる。

日本の高度経済成長時代には、企業収益の増加を上回る賃金上昇が、企業度努力の象徴であったのだが、いまでは、賃金抑制が経営努力の成果とされている。

 

また経済成長の維持のためには、輸出を拡大して外貨を稼ぐことが、経済成長の代名詞になっていた。

しかし日本が一人勝ちになった時代から、輸出で稼ぐ産業分野が、海外への移転を迫られる時代になり、家電業界、自動車業界などは製造拠点を移転し始めた。

現在のアメリカでも問題となっている【メキシコへの製造拠点の移転】を加速して、メキシコの製造業の技術水準のレベル向上に貢献してきた。

それが、アメリカ企業の製造拠点の移転も促進して、アメリカ製造業もメキシコへの移転が生産コスト削減の大きな潮流となっている。

メキシコへの経済貢献が、日本とアメリカの製造業に空洞化を加速していたのだ。

 

それでも安倍内閣は、「製造業の復活をアピール」して、円安誘導の成果で、一時的には輸出競争力を増加させたが、また逆戻りで進路を見失った。

労働者の賃金抑制がデフレ経済の要因になっていることも、やっと気が付いたが、賃金水準の引き上げは、容易な政策ではない。

残された唯一のアピールする政策は、「TPP交渉案の早期批准」であったが、アメリカ大統領選の行方で暗雲が立ち込めた。

専門家は、【TPP交渉案】は、経済的にはプラマイゼロと、評価している。(続)

 


東京都は都民の信頼を取り戻す道に進み、国は不安が増大中。

2016-11-06 | 国創り政治問題

今回の豊洲新市場への移転において、大量の汚染物質を蓄積している用地を移転先に決めた感覚からして、【東京都の都知事と幹部の判断は落第】である。

食品に関しては、「体内に入る安全性」だから、他の商品よりも敏感な感覚で扱わなければならないのに、無神経さも酷すぎる。

その上に、現代は女性たちの感性が、ますます重要になっている潮流で、【安全性確保を言うだけではダメ】で、「安心できる」ことが、重要な価値担っている。

「安心とは文字通り、心が安らかになる」ことで、その前提には、相手の説明が信頼できることが最重要である。

その信頼を大きく裏切ったのだから、豊洲新市場への移転は、不可能な状態だ。

 

歴代の都知事や、東京都の幹部の市場長は、男ばかりの感覚で、「安心のあの字」も理解できていない。

安心の大元は「安全であることの最善の処置」をしてきたことを説明して、信頼されなければ、成り立たないのである。

その点では、今後の処置と判断の最終責任を負う「新都知事が女性」であることは、問題だらけの東京都の体質を少しでも、安心に向ける感性が期待できる。

【男は理屈詰めで押し通そうとする】が、いまや、女性の発言権が大きくなって、食品関係の問題は、男が解決できる可能性はほとんどない。

 

これが子供の健康や成長した将来に関わるような懸念が生まれれば、さらに、解決策は限定されるのだ。

「原子力規制委員会」が安全と認定したならば、原発の再稼働を認める、と安部首相が言明しても、【原発稼働中の不安がつきまとう状況】では信用されない。

福島の原子力発電所の放射線物質の大量排出は、中央政府の専門家に対する信頼関係を喪失して、国民を心理的に不安状態に押し込んでいる。

安部首相の掛け声で、「アベノミクスを最大限に加速する」と言い張っても、将来に希望をもてない状況では、消費意欲は減退するだけである。

 

ついに、【日銀のインフレターゲット政策は失敗】に終わったと、「日銀の黒田総裁」は、白旗を掲げている。

お金の流通を増やせば、企業が投資を増やして生産力を強化するとは、完全な的外れである。

ほんの一時期に給料の増加を政府主導で進めても、景気減速では、大半の企業は賃金引き上げは見送ることになる。

消費意欲の増加の元になる「賃金引き上げが停滞」して、「将来の希望もない」状態に陥ったのでは、大半の企業は新規投資をしなくなる。

理屈上の説得では全く効果はでないと、安部政権は認識を変えるべきである。

肝心なのは、安心感を持てる将来と、希望を与える国の将来像を掲げることで、国民からの信頼感を取り戻すことに尽きるのだ。


東京都の上層部には食品の安心を管理する責任感覚がない。

2016-11-05 | 環境問題

東京都知事をはじめとして都議会議員の大半は、「豊洲新市場の土壌汚染対策」には、殆ど関心がなかった。

その証拠に、土壌汚染対策の成果が確認される「地下水の汚染レベル」を、最終チェックの2017年1月を待たずして、11月7日に「豊洲新市場への移転」を開始することを決定して、関係者に通知してしまった。

もし、【最終チェックで汚染物質が検出された場合】に、どのように、「市場関係者に説明」をするつもりであったのか、お粗末な感覚である。

すでに最終チェックの前に、今までの検査では検出されなかった汚染物質がみつかり、豊洲新市場の抱える「不安定な土壌のりスク」が顕在化している。

 

現在の段階では、【豊洲移転するには15ヶ月以上の延期】が必須になっている。

安易に移転期日を決定した、「前東京都知事と都議会議員」には、延期に関しての損失や賠償の責任があると自覚すべきである。

そして、東京都の市場関係の決定に権限のある幹部には、汚染物質対策が大きな方針変更された事実を【隠したり、知らなかったふりをした責任】がある。

豊洲新市場に移転した後で、【土壌汚染対策が説明とは大きく違っていた】ならば、市場関係者と消費者が、どう反発するかも予測できなかったのか。

その時期には、自分は他の部署に移っているから、【責任者としての批判を浴びる懸念はない】と、甘い想定をしていたのであろう。

 

前東京都知事は、すでに別の不信任行動で辞職を迫られて、罷免された。

現在の東京都議会議員は、来年の都議会選挙で、都民からの審判を受ける。

市場関係に権限のあった【幹部職員の職務怠慢の行政処分】は、事実を可能な限りあきらかにして、厳正な処分を実行するだろう。

こうして、不適切な行政を進めてしまった権力者は、主権在民の意味で「東京都民の審判によって処分される」仕組みになっている。

それが実行されるのは、ブラックボックス化している「馴れ合い権力行政」を、オープンにすることが、チェック機能を生かす上での最大のルールーであろう。

国防や治安維持に必要な「公開しない情報を最小」にすることで、ブラックボックス化を防ぐことである。

 

しかし、このように「オープンな情報公開の上に、決定プロセスを遵守」していくと、行政経費は大きく膨らむ可能性がある。

今までは、このようなルールを守ることが、経費の増加を招くから、【限られた関係者だけで決めて、後は形式的な後承認】をするのが、政治手法とされてきた。

東京都民も、それで良しとしてきた節があるから、今回の「豊洲市場に絡んだ損失や賠償費」は、東京都民の税金で負担することになるだろう。

情報公開と民主的プロセスの遵守には、必要な税金負担が不可欠なのであるが、それを節約すると、密室行政によって「あとで大きな税金負担」のツケが回る。(続)

 


豊洲市場問題は東京都のブラックボックスの一部だが・・? 

2016-11-04 | 環境問題

東京都の「豊洲市場建設方針に反したモニタリング空間」の設置を決めた部課長会議は、正当な議論の上で方針を転換した。

これを暴論だと考える読者は、次の事態を想定して考えてみて欲しい。

埋め立て地に建設した地域に、一定規模以上の地震が発生して、地下土壌の流動化が起きて「地上に地下土壌が噴出した場合」を想定する。

その場合は、地下土壌が取り除かれた「汚染物質は出てこない」が、【その下の地層に染み込んだ土壌】からは、当然のように地上に汚染物質の一部がでてくる。

噴出量は少ないが、環境基準を超える「汚染物質が地上に出てきた場合」は、どうすればよいか、その答えは、「地下にモニタリング空間を作っておけば」よい。

 

豊洲市場の建物の地下には、各種の配管が必要で、その地下空間に噴出した汚染物質ならば、直接に市場建物には侵入しないから、早期の汚染物質を除去する。

その作業のためには、除去する機械が活動できる地下空間を作るのが、「予防安全の考え方からも適切」と言える。

つまり、東京都の豊洲市場建設の部課長会議では、まともな技術者の議論が通じていたのである。

盛り土をしておけば、地下の汚染物質が噴出する量は、多少は減らせるだろうが、完全に遮断することは不可能だろう。

この正当な説明と提案が、東京都では上層部には通用しないのかもしれない。

 

今回の東京都の公表では、この「部課長会議が独断専行」で、上層部が決めた「盛り土方式」の判断をくつがえしてしまった、【組織ルール離反】をしている。

同じ建物の中にいる上司に、このような議論を経緯も伝えずに、独断専行で方針転換をすることは、通常の感覚ではありえない。

これからは、想像の範囲になるが、方針変更の件は市場長や都知事にも、情報をあげていたのが事実であろう。

しかし、東京都議会と築地市場関係者には、すでに「盛り土方式にして建設すれば汚染物質は完全に防げる」と、説明してきた経緯がある。

つまり、「盛り土方式は絶対に安全だから専門家に任せよう」との論法である。

 

この段階で、「大地震の時には地下から汚染物質が噴出する恐れがあるから、その時のために作業空間を作っておく」といいだすのは、責任者として躊躇する。

そこで、東京都の責任者は、地下空間の存在を公表せずに、「配管等のメンテナンス用の空間があることだけにして、万一の汚染物質除去することは言わない。

いや、言わないとすると後で、問題とされるかもしれないから「知らなかったことにするのが無難」であると判断した。

この考え方を当時の東京都知事には報告して、了承を取っていたと想定できる。

こうして、各部門の利害が一致して、地下空間の存在には触れないことが、暗黙の了解事項になったのだろう。

それが、ブラックボックス改革で噴出したのだ。(続)

 


設計方針の変更が独断的に実行された本当の理由が不明確だ。

2016-11-03 | 環境問題

東京都の豊洲新市場への移転計画において、地下のモニタリング空間を新たにもりこむ必要性は、純然たる「土壌汚染対策に万全を期す」目的であった。

しかし、そのために、「技術会議」「専門家会議」での、「盛り土を建設計画の前提とする」提言を無視するのは、明らかに組織のルール違反である。

盛り土をした上で、地下にモニタリング空間を設けることは、設計方針として実行可能な提案であったはずである。

なぜ、最前線で建設計画の詳細を具体化する部課長クラスの提案が、正式の設計方針変更として、議論されなかったのであろうか。

今回の処分を検討する上で、この疑問を解明して都民に説明する責任がある。

 

ここで、当時の社会状況の変化を振り帰って、東京都の「豊洲市場設計方針会議」の場が、どのような環境の中で議論されたかを、推定して見てみよう。

東京都のトップの判断によって、【最も汚染物質が蓄積された「東京ガスの跡地」】に、汚染物質が出ることを厳重に管理しなければならない、市場を建設する。

このような理不尽な判断が安易に決定された用地に、専門家会議では、「盛り土をすることで汚染物質を抑制できる」と、甘い想定の方針が決められていた。

実務者の判断が入る余地はほとんどなく、そのままの建設方針に従って、いいなりに進めることもできたはずである。

しかし、部課長会議の技術者の信念では、【盛り土では汚染物質を防げない】と考えて、次善の対策を考える必要があった。

 

その時節に、東日本大震災が発生して、上司の命令通りに設計して建設された【福島第一原発が炉心溶融事故を起こした】。

原子力発電所の基本設計は、アメリカの原発企業の専門家が、方針を決めたとうりに設計され、建設作業は完全に実行されている。

福島原発の建設関係の技術者たちは、真面目に上層部の命令通りに設計し、工事は完璧に施行されたのだ。

しかし、建設地の環境条件は、「アメリカの原発企業」が想定した場所とは全く違って、太平洋の沿岸に面した「津波の襲来のリスク」がある用地であった。

真剣に検討すれば、もっと高台の位置に用地を移すか、「盛り土を高くして」、主要な設備関係は、津波時にも水没のリスクのない高い位置に建設ができた。

 

だが、当時の福島原発の建設関係者は、そんな心配をするよりも「上層部が決めた方針には改善提案もしない」で、組織のルールを守ったのである。

その結果は、日本全体に大きな損害と不信を生み出して、その後処理の膨大な年月と費用を浪費せざるを得ない。

上層部の判断が、甘い想定だと見えたら、たとえ組織上は下位の技術者であっても、毅然として「意見を具申する」のが、本来の技術専門家である。

そのように見ると、東京都の「部課長会議」は、正当な議論をしたのである。(続)


東京都の豊洲市場建設関係者の将来対応の想定は正しかったが。

2016-11-02 | 環境問題

東京都が築地市場の移転先を「土壌汚染のもっどもひどい豊洲の用地」に決めてしまったのが、問題の発端である。

そのあとフォローとしては、「土壌汚染対策は盛り土方式」と、専門家会議の提言を受けて、東京都の正式方針として決定した。

その基本方針を受けて実務者は、「安全対策として疑問」を持ったとしても当然である。

しかし、「専門家会議」と「都庁の正式決定」には、異論を挟むことは、内部会議で問題としても、変更は簡単なことではない。

ここで、唯々諾々と、「お説ごもっとも」として、設計方針通りに決めていけば、今回の豊洲問題は起きなかったと、言えるのだろうか。

 

問題は、国の方針で進めていた「土壌汚染対策法の改正」が影響して、市場の関係者が「将来的な土壌汚染に不測の事態が見つかった場合」の懸念であった。

つまり、社会の環境に対する意識が高まり、国の方針も厳しくなく傾向を意識していたのである。

もし【汚染土壌が見つかり、国から対応を求められた事態】を想定すると、「全面を盛り土」にしたから、OKと承認されるはずは無い。

その場合に備えて、「重機を搬入できて対策工事のできるモニタリング空間」が必要になると判断したのは、正しい技術的な判断であった。

 

さらに、2011年3月の大震災の被害で、【埋め立て地周辺では土壌の液状化】が著しいことが判明した。

豊洲の用地は、液状化の被害が想定されるのは当然であり、その被害が生じても、対策工事が可能になる「地下のモニタリング空間の設置」は、想定される将来に向けてのベストの選択であるとの認識になったのだ。

新市場の整備部長が「地下にモニタリング空間を作らないとダメだ」といって、部の方針として内部会議で確認した、のは、今からみても、正しい選択であった。

しかし、その方針変更を、上司や技術会議に報告して説明をしなかったのは、不可解な判断である。

 

最善の策は、盛り土をした上に「モニタリングとメンテナンス用の地下空間を設置するのが、技術上での最良の選択であろう。

ここで、当時の状況を推定すると、費用の増加に神経を尖らしていた、「当時の石原都知事」の意向に逆らうことは、役人の本質上はできない。

そこで4.5mの盛り土をやめ、その部分だけを「モニタリング空間に変更」する設計方針にすれば、建設コストも削減できる上に、将来的に責任を最小にできる。

一石二鳥の妙案に、部課長会議のメンバーは満足したであろう。

2011年8月には、「基本方針に反して部としてモニタリング空間設置」に、実務的に決定した。ここで、上司や技術会議の了承を取り付ける責務があったのだ。(続)


無責任な組織軽視の勝手な判断によって被害の拡大が膨大に。

2016-11-01 | 国創り政治問題

東京都の築地市場移転問題で、土壌汚染対策の方法を「専門家会議で提案した盛り土方式」を、正式に東京都の方針として決定している。

ところが、本日に公表された事実調査では、正式に決定した方式を変更する設計方針を、【担当部局の内部会議で変更した方式で決定】がされている。

しかも、その変更は上層部には伝えずに、ずっと、従来の方針を守っているかのように都議会に説明を続けて、建設工事を完了してしまった。

これは、組織としての基本が全く成立していない、【ルール破り・組織軽視・都民不在】の、東京都の実態を露呈した。

しかもその経緯を、直接の責任者は変更した事実も知らず、当時の最高責任者は、【記憶が無いの連続】で、責任者としての自覚はまったくない。

 

そもそも、人の健康維持の生鮮食料品を大量取引市場の立地を、複数の選択案のなかから、最も避けるべき【土壌汚染のひどい用地】を選んだ経緯が問題だ。

だが、今はその経緯を追求している時間の余裕はなく、とにかく移転問題の着地点が緊急の課題となっている。

それでも、土壌汚染対策の「盛り土の方針を変更した経緯」の方に、マスメディアの関心が向けられているのは、東京都庁のブラックボックス的な体質の象徴とみられて、【犯人探しに報道に重点】が置かれてしまった。

どうやら、独断専行の犯人は、8名の都庁幹部役人にたどり着いたようである。

 

なぜ、こんな愚かで怠慢な行政判断をしていたのか、都庁のぬるま湯と腐敗の構造が、愚策の温床になっているようである。

築地の【移転先を豊洲の用地に決めて】しまった後で、付け焼き刃的に「土壌汚染対策の専門家会議」を設置して、なんとか、安全性を確保したと「都民に説明できる大義名分」を、求めたようである。

専門家会議といっても、汚染物質の実態を十分に知っている専門家ではない。

とにかく、地中の汚染物質をすくいとって廃棄して、そのうえに、汚染されていない土を「できるだけ厚く盛り土」を、すれば、数年は地上に出てこない。

だから、「4.5mの盛り土方式」で建設すれば、よしとした。

 

東京都の責任者と幹部は、この方式で「「やるべきことは十分に対策した」とのお墨付きをもらう形で、この「全面盛り土方式」を、との方針として決定した。

あとで、地下からなんらかの事態で、地上に汚染物質が出てきてしまったら、【その時は想定外でした】と、言い逃れが出来る体制であった。

問題が噴出しても、だれも責任を取らないで済むプロセスであり、不可抗力の状況であれば、責任者はだれもいない。

これは、ちょうど、【福島原発の「安全対策の論法」と同じ構造】である。

想定外の津波の来襲によって、非常用電源が全て喪失した状況は、不可抗力であるから、東京電力の責任者が、断罪されることはない。との論法を思い出す。(続)