庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

自由貿易協定の抜本的な改定が必要だが、まずは景気回復。

2016-11-18 | 経済問題

自由貿易論者のイデオロギーに疑問を唱えて、「アメリカ人の利益代表を自認」するトランプ次期大統領が誕生した。

アメリカは「新自由主義経済論」が、主流に躍進して経済成長を維持する事が最大の目標の国の成ってしまったことで、貧富の格差が拡大してしまった。

経済成長していると言っても、全部のアメリカの総生産で平均値の話であり、勤労者層は物価上昇率を考慮に入れると、実質の収入は減少している。

アメリカ国民の10%程度しか、収入増加の恩恵にはあやかれない。

わずか1%の超富裕層だけが、一人が勝ちの経済的な成功者として、自由主義経済、貿易の自由化のメリットを実感している。

 

それでも自由化推進論者は、収入格差の拡大や、負け組の脱落者には、政府が再配分の役割を果たして、「セーフティネット」を充実するのが適切だ、と主張する。

だがアメリカの現実では、脱落者は膨大に増加して、政府の財政赤字の壁で救いきれないアメリカ国民が増え続けている。

犯罪者の増加も社会的な不安を増大して、正常な社会がなり立っていない。

いまやエリート層と、一般の勤労者層の間には、信頼も失われて敵対するように分断されてしまった。

ヒラリークリントン候補は、この深刻な分断状態を直視しないで、従来の延長である「福祉政策の充実」によって、生活不安を除く路線で支持を得ようとした。

 

新自由主義経済の弊害と限界が見えて、自由貿易経済による「勤労者の生活不安」を取り除く「社会福祉の充実」は、財政負担の壁でもはや、実行不可能になった。

8年間のオバマ大統領の政策では、国際金融資本の強欲の前には、中途半端なおざなり政策しか実現できなかった。

民主党政権の政治家は、自由貿易協定の悪影響も放置し、活路を[TPP交渉]の批准に託したのだが、民主党内部の議論すらも、深めることができていない。

対抗する「共和党の政治家」には自由貿易を信奉するが、負け組に対する救済策は「小さな政府を信条とする」共和党には、支持されない。

民主党も、共和党もメタメタの状態で、大統領候補の論戦に入ったのだ。

 

しかし、トランプ氏のように真っ向から「自由貿易の勝ち組」を批判して、白人の低所得者層の支持を獲得していく「素人の政治論法」には、翻弄されただけだ。

トランプ氏の訴える「画期的に国益を取り戻す政策」」には、膨大な財源を必要とするだろう。

しかし財源を、アメリカ人が納得できる捻出政策の論戦はできないままである。

自由貿易協定をかいていして、国境関税を復活する、と宣言しても、すぐに妥結できる訳ではない。

海外の軍事基地の維持費用を、同盟国に負担を要求しても、交渉に入る長い時間がかかる。まずは謝金頼りで、公共事業の増加による景気回復からだろう。(続)