庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本はアメリカの先を進んでいる保護貿易立国だ。

2016-11-24 | 経済問題

日本の安倍首相が、アベノミクスに不可欠の戦略が、[TPP交渉]の成立だとして、3年間の取り組みの成果を国会で論戦している。

その最中に、トランプ次期大統領は明確に離脱すると、第1番目の政策に掲げた。「TPPの貿易協定が発効すれば、アメリカを破滅的な状況に陥らせる懸念がある」

との、アメリカ国民にとっては、恐怖感を引き起こす選挙演説を行ってきた。

大統領に当選したら、この選挙公約を実行するのが「アメリカ国民」に対する、誠実な公約履行となる。

 

それをよく理解しないで、安倍首相は「トランプ次期大統領は信頼できる人物だ」と日本国民に説明していた。

あたかも大統領に着任したら「TTP交渉」の成果を認めて承認に転じるかのように印象を振舞って、参議院での国会審議を急がせていたのである。

しかし、信頼できる人物とは「国民に対する公約を実行するひと」であると、明確に示したのだ。

それを世界の流れに逆行する誤った「保護貿易主義」だと批判を強めているが、もともと、各国は、国益を優先してあらゆる方策で貿易の保護をしているのであり、国益を損なう政策は誤りなのである。

 

アメリカの民主党政権は、製造業が国外に移転することを阻止できないので、アメリカの底辺の労働者の賃金を抑制することに重点を置いてきた。

それでも輸出競争力を低下させて、輸出依存度は12.7%に縮小してしまった。

さらに人件費を引き下げる手段として、メキシコ国境からの不法移民滞在者を、職業に就くことを黙認して「最低賃金以下の給与」で、働かせてきた。

ついに、1000万人以上の不法移民労働者に依存する製造業が、かろうじて生き延びているのが現状である。

そもそも、自由貿易の理念では、産業は各国の特徴に応じた住分けが目標で、賃金を不当なレベルまで引下げて対抗するのは、貿易の保護政策である。

トランプ次期大統領は、低賃金で働く不法移民労働者を締め出し、関税を引上げて製造業を守る保護貿易の方針を打ち出した、合理主義者であろう。

 

同じように、日本で働く人に賃金を抑制する手段として、経済界は「非正規雇用社員」の適用拡大を図ってきた。

最近では働くひとの4割が非正規雇用であり、賃金は正社員に比べて3割上も低い実態で、消費不足によるデフレ経済の原因となっている。

つまり、人件費ダウンによる不当なダンピング政策を行い、保護貿易主義で製造業を延命させているのが実態である。

安倍政権は、自由貿易協定の推進こそが経済成長の要だとして、[TPP交渉]を進めてきた建前上、非正規雇用社員の削減と、不当な賃金差別を廃止すべきだ。

現在の貿易依存度は17.4%にすぎないのに、輸出強化で経済成長できるのか。(続)