庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

安倍政権の経済成長戦略は自由貿易路線しかないのか。

2016-11-25 | 経済問題

アベノミクス一本槍できた「安倍政権の経済成長路線」では、すでに円安誘導では企業の国内投資は増えず、国民の消費購買力も増えないことが実証された。

それでも、アベノミクスの達成には、「さらにエンジンを全開にふかす」と、大声による掛け声だけは勇ましく、TPP交渉の批准に全力を注いできた。

しかし、緊急訪米による外交も空振りに終わり、TPPの発効は絶望的である。

これでは、日本は【デフレ経済に逆戻り】は避けられない事態だが、安倍政権には代替策は全くないように見える。

自由貿易協定の拡大による路線では、現在の貿易依存度17%をいくら増加させても、経済成長率への貢献はわずかなものであろう。

 

日本の経済再生には、『内需の拡大』と、「企業の設備投資、研究開発投資の増加」が不可欠である。

にもかかわらず、既存の企業の生き残り戦略に加担するだけの自由貿易依存では、

【低賃金依存を強化】するだけの、デフレ経済への逆走しかない。

日本がデフレ経済に落ち込んで「経済停滞社会」が当然のようになっているから、国民の大多数が「消費の節約志向」が、生活防衛の主軸になっている。

「インフレターゲット政策」のような、アメリカ流の消費喚起策では、消費の増加も起こらず、それを見越した企業の投資行動も、国内には回らない。

国内の需要喚起策の第一は、『恒常的な賃金上昇の流れ』を作りだすことから、始めなければならないのだ。

 

そんなことは、「できるはずが無い」と言い切る人は、初めから経済政策の検討に加わる資格はない。

安倍政権はデフレ脱却を目指して、とにかく「官製春闘を来年も継続」と言って、賃上げをリスクとして逃げたがる大企業に、迫る方針だ。

同時に今までの制度では、「中小企業への賃上げ支援策」が抜け落ちていたので、発注元の大企業に対して、「購買制度の再検討」を要請している。

つまり、中小企業に賃上げ余力が出るように、発注元の価格を上げる事を、努力義務として負わせる方針である。

現実的に実行可能かは、安倍政権の政策実行能力によるが、人手不足にならないように、「中小企業ができるだけ賃金は引上げる」経営方針とするだろう。

 

価格競争力が不利になるからといって、賃上げの実施を拒否する企業は、人手不足に陥って徐々に、縮小していかざるを得ない。

中には、人員整理でしのぐところもあるから、政府や地方自治体は、十分な公共事業費を確保して、雇用市場の悪化を防ぐ事が必須で、安全防護策を実施する。

つまり安倍政権は、計画的に「賃金上昇によるインフレ政策」に転じるしか、「デフレ脱却」の方策はないのだ。

アベノミクスは【トリクルダウン】から、「賃金押上げ政策」に転換するのだ。(続)