庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本の高付加価値の創造性を発揮することが成長の原動力。

2016-11-26 | 国創り政治問題

大量消費商品の輸出による貿易黒字で、日本経済は大躍進を遂げてきた。

その後の円高と人件費の上昇で、大量普及商品の価格競争力が低下するのは、新興国の台頭によって避けられない流れであった。

この流れに逆らうように、「日本の働く人の給与水準を抑える」ことで、生き残りを図かろうとしたのは、時間稼ぎはできても解決策にはならない。

給与が抑えられてしまうと、消費が伸びなくなって「デフレ経済に突入」して、抜け出られなくなってしまう。

歴代の自民党政権は、新自由主義の潮流を疑いもせずに、自由貿易に突き進んできたが、その路線はデフレへの道であり、経済停滞社会の到来を招く。

 

この道をすでに進んできた「アメリカ経済」は、「レーガノミクス路線」によって、市場経済の規制緩和と大企業への減税によって、投資が活発になって、「成長が著しく拡大し税収が増える」としていたが、現実には逆走になっている。

規制緩和と技術進歩によって、引き起こされた「ITバブル」は、一時的な経済成長におわり、一部の「超富裕層を生み出した」だけに過ぎなかった。

金融規制の緩和では、「住宅バブルを拡大」させて金融破綻を引き起こし、大損をした富裕層と金融業界だけは、政府が救済して大復活をした。

しかし、そのあおりをうけたアメリカ国民には、失業と低賃金化だけが残った。

こうして、世界で最も「収入格差が拡大した社会」を作り出している。

 

この事態に対して国民は、保護貿易主義を打ち出し、低賃金労働者のために、仕事を作り出すと公約した「トランプ氏を次期大統領」に選出した。

その政策実現には財源の問題が隠されているが、公共事業の大幅な拡大の期待によって、早くも株価上昇、ドル高、金利上昇の機運が起きている。

アメリカ経済は、行きすぎた国際金融資本の優遇と自由貿易路線に転換によって、「経済の再生と国民の不満解消」を最終戦課題として、新規まき直しである。

そのトランプ氏に教えを請いに行った安倍首相は、信頼に足る人物との意見交換で、何を感じ取ったのか、明らかではない。

だが、[TPP交渉]によって、【市場経済をグローバル化して、アメリカンスタンダードに合わせる方向】が正しくない、と悟ったはずである。

 

安倍政権の路線変更の兆候はまだ見えないが、少なくとも「賃金引下げによる価格競争力維持路線」は、正しくないと認めているはずである。

では、日本国民の賃金を引き上げて、【少子化で縮小する消費経済】を、成長軌道に載せるには、非常に困難な障害があるから、長期間を要すると覚悟しただろう。

それは高価格でも、「世界の富裕層が価値感を認める商品とサービス」が、日本の特質を活かせる「成長分野であると腹を決めて取り組む」日本再生路線である。

もうアメリカの真似と後追いは、一切やめようと覚悟したならば、急遽、信頼できる人物として「訪米したトランプ詣で」の、貴重な成果である。(続)