アメリカのインフラが老朽化していることは周知の事実である。
しかし、このところは財政赤字の問題で予算が成立しないに状況があったりして、
オバマ大統領と多数派を占める共和党との間で、しばしば綱引きが行われた。
次期大統領にトランプ氏が当選したが、共和党の幹部との調整が不透明であったが、首席補佐官に調整役の信任が厚い人選が行われて、見通しが明るくなった。
共和党の主流派が、トランプ氏を敵視した姿勢から、主流派に近寄らせる方針に転換して、公共事業の拡大には前向きになれる状況である。
国際的な金融資本を敵視するトランプ氏も、メキシコとの国境に「万里の長城」を計画する上でも、国内でのインフラ投資を活発にする姿勢である。
財源問題はすぐには解決策がないだろうが、失業率の改善と、国内建設業関係の活性化には、確実に効果が出る政策である。
この次期共和党政権の姿勢を見ている「金融市場関係者」は、すぐに反応して「将来のドル上昇を予想した市場展開」に入っている。
日本のメディアは、トランプ氏の次期大統領への当選は、経済政策の混乱を招くので、アメリカはドル安になると想定した論調であった。
しかし、情報分析が甘い経済専門家たちは、この事態すらも予想できない。
日本と違って財政出動をする力は、大統領と議会の主流が「財政出動を推進」の方針で一致すれば、世界中からの投資資金が集まる。
アメリカ人は、大半の人たちが「消費性向が異常に強い」傾向がある。
生活上に必要だと見れば、可能な限り借金をしてでも購入したがるのだ。
政府が借金を増やしても、お金が市場に回り出せば、消費性向が強いだけに「働く人への給与増加」で、すぐに景気回復に向かい「企業は新規投資」に走る。
その点では、不動産投資で成功して「大統領候補に勝利」したトランプ氏が、一番よく知っている。
その流儀では、日本での超金融緩和で「お金の流通を増やす」ことで、インフレターゲット政策を実施して、「デフレ脱却を図る」アベノミクスは違っている。
円安には誘導できても、輸出企業が儲けるだけで、給与増額は「ほんの気持ちだけ」の小額である。
それも大企業の社員だけに過ぎないから、下請けの中小企業の社員には回らない。
その上に、「非正規雇用社員」には、定期昇給制度すらない。
このような事態になるとも想像できない「世襲議員の安倍政権」の感覚では、経済の回復は不可能である。
公共事業のバラマキだけは、従来どうりに実施しても、長続きしないと見ている建設業関係者は、新規の投資をしない。
安倍政権の閣僚、政治家たちは、実業の経験がないからマスメディアの論調に影響されるが、そのメディアの経済部門は、全く読み間違いばかりの能力だ。(続)