トランプ次期大統領によれば、政策転換の骨子は「アメリカ第一主義」であり、アメリカ国籍の人とアメリカの雇用に貢献する企業を優先する政策転換である。
非常にシンプルでわかりやすい方針だと、明確に言い切る。
今までのやり方では、お金の移動が自由な世界経済にして、生産物の移動は自由にすることで、適地生産となっていく。
これによって、輸入品の価格が安くなっていくので、国民生活は低価格商品の恩恵で、生活にゆとりが出て豊かになる。
【これが全て嘘である】ことが、1980年代の生活に比較して、【アメリカ国民の大半が貧困化】している事実を見れば分かる。
トランプ氏の主張が現実的になっていくにつれて、株式市場は活況を呈して、アメリカはドル高を引き起こしている。
ドル高は世界中からお金を呼び込んで、金利上昇を招くことで、金融商品の魅力を増す効果がある。
もちろん、輸入品の価格が低下するので、一般国民も恩恵にあずかる。
「物価上昇目標」を掲げて、中央銀行がお金の流通量を増やせば、投資の意欲が増えるのとは反対の政策になる。
日本は未だに【物価上昇目標を達成する政策】に邁進しているが、アメリカは別の方向に転換する。
トランプ氏の政権公約は、財源問題に無頓着に見えるので、批判勢力が「無謀な素人政治家」と蔑んできたが、以前より経済効果ではトランプ氏の勝ちだ。
自由貿易路線を転換して「保護貿易路線」に各国が走ると、世界経済が縮小して「世界的な不況が起きる」と警告していた経済専門家は、どう説明するのだろう。
少なくとも「アメリカ経済にとっては保護貿易路線」が、貧困化しているアメリカの現状を好転させる特効薬のように見える。
ビジネス感覚でのアメリカ経済の立て直しは、しばらくは「トランプ氏の凄腕に期待する」ことになりそうである。
安倍首相は、トランプ次期大統領に早々に面会し、教えを請う形となったが、ウマが合うようならば、何度でもアメリカ詣でをして、もらいたいところだ。
問題は、アメリカ経済の立て直しだけではない。
むしろ、安全保障問題や「対イスラム勢力」との安定的な世界秩序を構築できるかという、最大の問題が残されている。
ブッシュ大統領のアメリカでは、【産軍複合体の利益優先主義】で、世界各地で扮装を勃発させて利益を上げてきた。
オバマ大統領の時代には、人道的な民主化主義の干渉外交によって、【安定した政治情勢を粉砕する政治勢力が台頭】して、混迷した治安が慢性化した。
トランプ氏は、習近平とプーチンを相手に、ビジネス感覚で取組む様相だ。(続)