庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

11・9は、自由貿易経済の転換期の始まりだ。

2016-11-17 | 経済問題

世界経済は「自由貿易主義」の時代から、モノの移動の自由化を「管理できる移動の自由」に移行する段階に入っている。

【北米自由貿易協定】は、アメリカ人にとっての経済的なメリットは、安い商品が自由に買える時代が到来したことであったが、いまは失業しか生まない。

19世紀の経済学者リカードの「世界経済の分業が進む」理論は、理想的に見えたが、先進国のアメリカにとっては、一部の富裕層のメリットでしかない。

産業の世界分業論は、国際的な金融資本家にとっては、最も生産効率が高くて資本投下に対する利益率が有利な国に、生産拠点を移転する自由ができる根拠だ。

 

そこで得られた莫大な利益は、お金の移動が自由化されているから、課税が低くて利率の高い国に移動するだけで、最も有利な金融利益が得られる。

儲けた利益の配分を、生産拠点のある国に還元しようとする姿勢は皆無である。

生産拠点を誘致したい国や地域は、競って低賃金のメリットと、課税の優遇で企業誘致をすることで、労働者の収入によるささやかな配分を受け取る。

それでも、大量に失業者が救済できるので、製造企業に有利な条件で誘致を競う。

理論的な【国際分業のメリットは机上の空論】となって、ただ、先進国の労働者の賃金引き下げだけは、確実に進行して行くのだ。

 

アメリカのトランプ氏は、この先進国の労働者の不満を汲み取って、アメリカに基盤を置きながら、アメリカの国益を損なう「国際金融資本側」に反抗したのだ。

民主党政権と大統領候補のヒラリー・クリントン氏は、この国際資本家側からの莫大な献金があるから、【自由貿易協定による負け組】には、味方をしない。

表向きだけは、働く人への社会福祉の配分を増やすとして、労働者側の利益代表であるポーズをとるが、「不法な移民滞在者」を優遇して安い労働力を確保する。

これがまた、底辺労働者層の給与を引き下げる効果を発揮して、アメリカ国内では企業側の利益増加に貢献している。

この事実は、トランプ氏が共和党大統領候補合戦の論戦で、あらゆる機会をとらえて主張し続けてきた。

 

アメリカのマスメディアの大半は、【国際資本家側の支配の傘下】にあるから、トランプ氏をとんでもない暴言を吐く「素人の泡沫候補」として報道した。

その話題性を利用したのが、マスメディア作戦に長けていた「トランプ陣営の戦術」であった。

その報道の表面的な風潮を眺めているだけの、日本のマスメディアは「トランプ氏の主張は一切報道しないで、暴言報道を鵜呑みにして、混迷ぶりを誇張した。

ついに次期大統領に決定してから、その背景や勝因分析の報道に忙しい。

この大統領の当選日11・9が、自由貿易論者と「マスメディアア報道偏向」を、転換させる入口となったのだ。

安倍首相が自由貿易論者に引きずられて、国益を損なわない事を祈るのみだ。(続)