東矢憲二の「気づきの経営」

経営コンサルタントとしての長年の経験を活かして、様々な気づきをご紹介します。
毎日読んでいただくと、心がホンワカ・・・

歴史に学ぶ動機付け

2010-03-18 | 経営の気づき
人をやる気にさせる名手と言えば、そのトップクラスに入るのが、木下藤吉郎であろう。その優れた才覚が遺憾なく発揮されたのが、「塀直し」である。城を守る塀の補修を短期間で成し遂げた業績が認められ、いつものようにごぼう抜きで出世するのである。その時の優れた差配の様子を分析してみよう。

先ず第一は、仕事の意味を従事させる人たちに正確に伝えたことである。身分の低い者卑しい者であっても、その意義が分かれば、踏ん張りようも違うと考えた。あの身分制度がはっきりしている時において、藤吉郎ならばこその考えである。

次は、計画の樹立である。段取りが正しければ、作業能率は随分違ってくる。その段取りを、これまでの常識を覆した考えを持ち込んだわけだ。今までの方法がベストではない、工夫すれば幾らでも改善できると言う考え方、これも見事である。

次はインセンティブ。腕に自信のある職人は、誰のために働いているかと言えば、一つは家族のためである。したがって、家族の喜ぶ顔を思い起こさせるかのように、褒美を設定する。しかも、仲間たちと競わせるというテクニックがにくい。10人ずつのグループを10組作り、そのグループに競わせる。グループの組織化も、職人たちに任せる。期限内に出来上がれば、たくさんの褒美をもらえるのだから、皆、必至で頑張る。

このような幾重もの道筋を作ったうえで、初日は酒盛りを開いて、仲間たちの盛り上がりを誘導している。

これら全ては、我々ビジネスマンに参考になると思われるが、如何。