ことのは

初めに言葉があった。言葉は神とともにあった。言葉は神であった。と、ヨハネは言う。まことに、言葉とは不可思議なものである。

昔のことだが

2017-11-03 11:26:18 | 日記・エッセイ・コラム
もう随分昔のことになるが、
考えさせられる話があった。
ある会社のことである。
その会社は思うように業績が上がっていなかった。
はた目には良い会社のように見えていたが。
トップ曰く、
うちの会社は社員がバカだから業績が上がらない、
と。
従業員曰く、
うちは役員が保身と権力争いばかりでどうしようもない、
と。
もちろん同じところで同時に聞いた訳ではない。
よく覚えていないのだが、なぜかそういう話が耳に入ってきた。
業績が上がらないのは当然だろう。
理由は説明するまでもない。
・・・・・
仮に社員がバカだとしても、それこそ経営の問題である。
採用に不都合があるのか、はたまた社内教育が上手くいっていないのか。
まさに経営そのもので、経営者が問われるものだ。
それをまるで他人事のように…。
もちろん日本的経営で大事なのは社員である。
現場で仕事するのは社員なのだから。
当時よく言われていたが、
社員がしっかりしていれば役員はアホでもいい、
と。
これはあくまで譬えであり、つまり人が大事だということだ。
当然だが役員が本当にアホでは困る。
方向性を見定め、働きやすい環境を整える、
ということが何より重要であり、
それは役員の仕事である。
それがあっていよいよ社員の出番である。
そこで各自が与えられた役割をしっかりこなす。
業績はそういう中でしか上がらない。
そのとき大切なのは信頼関係である。
社員が役員を信頼できないようでは駄目だろう。
それは社員同士でも同様であり、
すべからく敬意と信頼が必要なのである。
いい会社はそれができている。
・・・・・
私がまだ若い頃、職場の上司がよく言っていた。
皆さんがしっかり働いてくれるから、日々の仕事が順調に進んでいる。
すべて皆さんのお陰だと。
口癖のように。
彼は役員ではなかったが、当時の私から見れば役員と代わらなかった。
その時は何となく聞いていたのだが、今にして思えば成程である。
ちなみに彼はいわゆる中間管理職である。
日本企業は中間管理職がしっかりしていれば大丈夫だ、
ともよく言われるが、その通りだと思う。
ともかく、そういう環境が大事なのである。
日本的経営では特に。
それを社風という。
それは目に見えないものだけに、尚更大切であり注意が必要なのだ。
もちろん変化の時代には、
方向性の見定めがより重要になるのは致し方なく、
そこは考えどころだが、
良い社風を守り・育てることを忘れては、
元も子も無くしてしまう。