定年退職して、初めてまとまった金を手に入れた。
なにしろ、貧乏人である。
それで、念願の株式を買った。
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安く買って、高く売る。
高く売って、安く買い戻す。
などと、売買で儲けようとは思っていない。
会社の価値が一日やそこらで、大きく変わることはない。
あれば、それはインチキであり、しょせん博打である。
私は、気に入った会社の将来を買っているのである。
その会社が頑張って成長してくれればよい。
それが、私の儲けである。
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会社とは、その会社の生業を為そうとする意思そのものであり、
その意思を体現させようとする役職員こそ会社である。
株式を持ったところで、仕事のやり方に口出しする気はない。
口出しする能力もない。
気に入らなければ、売ったらいいのである。
また自分が経営したいなら、
自分で会社を作ればいいのである。
私は「もの言わぬ」株主である。
もの言わぬ、立派な株主である。
その持ち分は微々たるものではあるが。