なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

シンナー中毒

2014年09月19日 | Weblog

 4日前の敬老の日に救急搬入されたシンナー中毒の48歳男性は、18歳から30年にわたる既往があった。それなりに仕事もしていたようだが、失業中にまたシンナーに戻ってしまうらしい。付いてきたおじさん(といっても年齢は近い)によると、警察もシンナーではかかわったりしないそうだ。食事がとれなくなり、動けなくなっての救急要請だった。血清クレアチニンが6.78mg/dlだったので、要請する人がいなかったら、数日後に自宅で死亡していたと思われる。

 救急で診た内科の若い女性医師が主治医となった。代謝性アシドーシス(尿細管アシドーシス)・低ナトリウム血症・低カリウム血症を呈していた。血糖が200ちょっとで高いが、HbA1cは正常域で身体の危機的状況に対して副腎が反応しているのだろうか。ぼそぼそと小声で簡単な会話はできた。脱水症だったらしく、点滴を継続すると低タンパク・貧血が明らかとなった。簡単に言うと飢餓状態だ。

 主治医がトルエン中毒について調べて、電解質の補正を行った。低リン血症があって、どうしましょうと聞かれたが、そもそも血清リン値を気にしたことがない。注射薬と経口薬でリン製剤があるという(当然院内にはない)。とりあえず、リンを含む輸液で経過をみることにした。初めて診たし、今後一生診ることはない貴重な症例だが、診たいかと言われるとそれはない。

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