なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

消化器科は頑張っていた

2014年09月29日 | Weblog

 先週の金曜から土曜の日中まで内科当番(消化器科も兼ねていた)だったが、新規入院はなかった。朝病院に来ると、土曜の夜間と日曜の当番だった消化器科医は忙しかったそうだ。先々週から上部消化管出血が続いていたとは思ってはいた。今週末にも、35歳男性と86歳男性が出血性十二指腸潰瘍で入院した。

 35歳男性は自宅でシャワーを浴びていて、めまい(presyncope)がして倒れて嘔吐もした。受診した時、起立性低血圧による症状かと思ったそうだ(眼瞼結膜の貧血ははっきりしない)。血液検査の結果Hbが12.9で、これだけだと何とも言えないが、数年前の結果が残っていて、その時はHb16.4だった。これは貧血になっていると判断され、あわてて直腸指診をするとタール便だったという。内視鏡検査をした時には止血処置をするような露出血管はなく、トロンビンの噴霧のみで処置を終えたそうだ。

 86歳男性は前日の夜間に、具体的にどこが悪いのかはっきりしない訴えで受診した。当直医は循環器科医だった。経過をみて、調子が悪い時はまた来てくださいと、帰宅になった。翌朝にトイレで倒れて、救急搬入された。日直はその消化器科医だった。搬入時には意識が回復していたので、最初は排尿失神かと思ったそうだ。検査でHbが8.7と低下していた。ふだんは脳神経外科の外来に通院していて、Hb13.3だった。やはり直腸指診でタール便だった。内視鏡を十二指腸球部に挿入すると真っ黒な穴が見えて、穿孔したのかと思ったそうだが、球部のTasche(今となっては珍しい)に凝血塊がつまっていたという。

 消化管出血以外にも、温泉のホテルから意識障害の58歳女性が救急搬入された。当直の循環器科医が搬入時の検査として、血清アンモニアも測定していて、161と高値だった。肝機能障害と白血球減少・血小板減少があり、肝硬変による肝性脳症と診断された。この場合はナイスプレーだった。

 ただこの患者さんは他県の病院に通院していて、親戚の結婚式で当県(当院の診療圏ではない)に来ていた。せっかく来たので温泉に行こうとなって、当地の温泉に来ていた。B型・C型肝炎は陰性で、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性肝硬変の有無は不明だった。女性でもアルコール性はあるだろうが、わからなかった(後から考えると、温泉に来て増悪しているのでアルコール性だ)。

 アミノレバンの点滴静注で翌朝には意識が回復していた。消化器科医が、通院している他県の病院に電話で問い合わせると、その病院の日直はたまたま以前当院にいた循環器科医だった。アルコール性肝硬変と診断されていると教えてもらったそうだ。ごくろうさまでした。

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