なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

低ナトリウム血症ー多発性筋炎

2014年09月22日 | Weblog

 昨日(日曜日)の日直で2名入院して、急性冠症候群疑いの患者さんを搬送するというバタバタしている時に、59歳女性が食欲不振を訴えて受診した。多発性筋炎で神経内科外来に通院している。プレドニン10mg/日を内服。8月に食欲不振・倦怠感で入院して、9月になってからも食欲不振を外来を受診して、点滴を受けていた。点滴希望ということで、点滴をして帰宅予定だった(調子が悪ければ明日の神経内科害外来で相談して下さいと)。

 点滴している時に立ち上がろうとして(普段から歩行時は杖使用)転倒した。頭部打撲で皮下血腫によるコブができてしまった。当直は消化器科医で、頭部CTを検査して骨折や頭蓋内出血はなかったが、経過観察のため短期入院とした。

 夜間に呼吸苦を訴えて酸素吸入が開始されていた。もともと心房細動があって心不全になってもおかしくない。胸部X線と血液検査を行った。胸部X線で心陰影拡大と肺うっ血を認めて、BNPが480と上昇していたのは予想通りだった。血液検査でCKが1000とこれまでの値と比べて上昇していた。他の筋源性酵素も上昇していた(心電図は軽度に頻脈性の心房細動で虚血性変化はなし)。白血球数増加とCRP上昇もあった。多発性筋炎自体の悪化としていいのかもしれない。それにも増して、血清ナトリウムが108と著しく低下していた。血清カリウムも2,2と低下している(CKの上昇の原因になった可能性あり)。意識は昏睡ではなく、ぼんやりした印象はあるが、会話はできた。

 この方の夫が心房粗動で循環器科に入院して、今日退院になる予定だった。夫に事情を聞くと、入院中に妻からメールが来たが、内容がおかしかったという。夫の不在で食事の準備や服薬がきちんと行われていなかった可能性もある。このナトリウム値で会話ができるのは急性というよりは亜急性に低下したと推定された。降圧薬としてフルイトランが入っているのも影響しただろう。

 神経内科医(ひとり科長)は今週夏休みをとっていて1週間不在だった。大学病院から応援の神経内科医(毎週来ている)に相談して、神経内科医が複数いる(循環器科医も複数、リウマチ膠原病担当医もいる)地域の基幹病院に治療をお願いしてもらった。電話したのも以前当院に外来診療の応援に来ていた先生なので転院の話はスムーズにいった。

 後で当院の循環器科医と相談すると、ナトリウム・カリウムの補正と副腎不全疑いのステロイド点滴静脈注に加えて、サムスカがいいのではないかと言われた。たしかにこの病状にはぴったりかもしれない。

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