なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

糖尿病を放置

2014年09月16日 | Weblog

 49歳男性が転倒して下肢の擦過傷様の潰瘍ができて、外科外来を受診した。外科医は皮膚科に回した。外科で提出した検査結果を見た皮膚科医が、そのあまりの悪さに驚いて内科に連絡してきた。血清クレアチニン4.78mg/dlでHbA1c12.5%だった。

 昨年の3月に糖尿病で通院していた近くの病院から、糖尿病腎症で当院の腎臓内科に紹介された。血清クレアチニンは1.4mg/dl程度だった。その後当院に通院してHbA1cは7%台で経過してした。今年2月の血清クレアチニンは2まで上昇していた。そこで通院を中断してしまった。

 先月で腎臓内科医が退職したので、常勤医はいなくなった。週に2回大学病院から応援がある。今日も来ていたが、糖尿病腎症は安静で利尿剤を使いうしかないとアッサリ言われた。治療を再開すれば、血清クレアチニンは少し戻るのかもしれない。ネフローゼを呈して、下半身全体に浮腫が目立つ。足が重くて動くのが大変な様子だった。胸水・腹水も軽度にある。むくんだ両下肢は赤黒く汚い色を呈していた。そこに浅い皮膚潰瘍が散在している。下肢の閉塞性動脈硬化もありそうだ。

 大至急透析ではないが。これは腎臓内科のある病院で診てもらう方がいいと判断した。やめた腎臓内科医が、困ったら腎センターのある病院に送るようにと言い置いていった。さっそく電話してみると、明日来てくれれば診てくれる(入院)というので、ありがたくお願いした。酸素飽和度は92%(室内気)と軽度に低下していた。下肢の潰瘍からは浸出液がたらたらと出ていて、内科外来の処置室で看護師さんが皮膚科で処方された軟膏を塗布して包帯を巻いた。

 高齢の両親が来ていたが、患者さん本人よりもしっかりしていた。患者さんはことの重大さがわかっていないようだ。糖尿病腎症は血清クレアチニンが5mg/dlを超えると、そこから一気に悪化してくる。以前病院にいた透析担当医は糖尿病腎症はクレアチニンが5を越えたら、シャントを考慮する様にといっていた。この前腎臓内科の外来に紹介した糖尿病腎症の患者さんは5を越えたところで、シャント造設となったが、それからあっという間に6から7と上昇した。

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