なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

心因性非てんかん性発作

2020年05月23日 | Weblog

 金曜日の夕方にけいれんの22歳女性が救急搬入された。搬入された時にはけいれんは治まっていたそうだ。両眼は半分開眼していて、少し舌を出していた。呼びかけても反応はない。救急隊の話では間代性けいれんが続いたらしい。

 救急当番の外科医(女性)はジアセパム5㎎を静注して、反応がないのでさらにジアゼパム5㎎を静注していた。本当のてんかん発作かどうかわからないので困ったようだ。

 というのは、この患者さんは5年前に何度かけいれん発作で救急搬入されていて、入院もしていた。いずれも2日くらいで退院になっている。記録では当方が担当したこともあるが、覚えていない。

 けいれん発作として救急搬入された時に、首を左右に振るので、これは神経学的にあり得ないと判断された。上肢を持ち上げて、顔の上で落とすと顔に当たらずゆっくり下ろす。顔を背ける動作もあり、眼を開けようとするとぎゅっと閉じてしまう。心因性非てんかん性発作Psychogenic non-epileptic seisure(PNES)と判断されていた。

 その後の救急搬入時は、異様な舞踏病的な不随意運動をして搬入されたこともある。当院としては、心因性として対処するようになっていった。7~8回くらい救急搬入されていたが、その後は搬入されていなかった。

 高校を卒業して、当地域にはいないのかと思っていた。医学書に心因性非てんかん性発作が出てくると、思い出す患者さんだった。

 外科医から診てほしいと言われて、救急室に診に行った。母親が来ていて、お久しぶりです、とお互いに言うことになった。母親も状況はわかっている。中央処置室のベットに移動して1時間くらい経過をみることにした。

 

 病室で誤嚥性肺炎で発熱した患者さん(94歳男性)の指示を出したり、内科の若い先生の担当している患者さんの相談に乗ったりしてから、診に行った。ベットにすわって母親と話をしていた。少し恥ずかしそうな笑顔もあった。以前からパーソナリティ障害のような雰囲気はなかった。

 県内の都市部にある店(チェーン店)でバイトをしていたそうだ。そこでもけいれん発作を起こして、大学病院に救急搬入されたこともある。精査の結果は異常を認めず、精神医療センターに紹介されていた。(患者さんの話によれば、カウンセリング?を受けていたという)昨年まで行っていたが、その後は行っていない。

 症状を繰り返すようなら、また受診してはどうかと勧めた。週末でもあり、安定剤を処方しますかと訊くと、ほしいという。ジアゼパム(2mg)2錠分2を3日分処方して帰宅とした。現在は当地の店でバイトをしているそうで、また当院に来ることになるかもしれない。

 

 

 

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